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「無洗米」開発契機は海の汚染 主婦の不精推進との批判も

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 ギネス世界記録公式認定証授与式で、「おいしくて体にいい米ができました。私たちは日本の水田を守り、米の生産農家に元気になってもらうために、世界最高米を展開していきたい」と、抱負を語った東洋ライス代表取締役社長・雜賀慶二さん。

 今年7月、同社が発売した「世界最高米」が文字通りギネス世界記録「世界で最も高額なお米」に認定された。なんと1kgで1万1304円。ちなみに、スーパーなどで売られているお米は5kgで1700円前後だ。

 そんな衝撃を与えた、同社だが、無洗米の発売も他社より先駆けておこなった。

「きっかけは、旧婚旅行です。家内と婚約したのが昭和31年で、“あれから20年経ったね。2人の思い出の地、淡路島へ行こうか”言うて、夫婦で出かけたんです」

 20年ぶりに見る紀淡海峡の汚染に、雜賀さんは呆然とする。それまでも和歌山市内を流れる河川の汚れが気になっていたが、海までがこれほど透明感を失っていたとは、と。

 河川や海の汚染は下水道の不備が大きな要因だが、さらにそのもとをたどると工場排水などによる汚染もあるが、各家庭から出る生活排水の影響も無関係ではない。米のとぎ汁の研究もしていた雜賀さんは、すぐにそれを思い浮かべ、下水に流される量を計算した。

 とぎ汁に含まれるのは、お米全体の約3%を占める米ぬかだ。それ自体は肥料にも飼料にもなるし、有益なものだが、ご飯を炊くたびにとぎ汁を流すのは、河川や海を汚染するだけだ。

「その当時、和歌山市の人口は40万人でした。この40万都市で排出されるとぎ汁からぬかを取り出して乾燥させたとすると、なんと1日あたり大型ダンプカー山盛り1杯分になるんです。そんな量のぬかが毎日捨てられているとなると、これはなんとかせないかんと考えますよね」

 そこで家庭でとぐ必要のないように、精米の段階でぬかを取り除く技術を開発すればいいのではないか、と考えた。

「とがないでいい米、“無洗米”という言葉自体は、私の子供時代にもあったんです。でも、それは氷の天ぷらを揚げるよりも難しい、と業界内ではいわれていたんです」

 しかし、雜賀さんはその難題に挑戦し、「お米の革命」と注目された「BG無洗米」に辿り着く。ちなみにBGのBとは「ぬか(Bran)」、Gは「削る(Grind)」の英語の頭文字だ。これが世界初の無洗米だ。

 普通のお米(精白米)は、玄米から胚芽とぬかを取り除いているが、表面にはまだ粘着性のある「肌ヌカ」が残っている。BG無洗米はその「肌ヌカ」まで工場で取り除いているので、とがなくてもいい。この「肌ヌカ」という言葉は、雜賀さんが命名したものだ。

 粘着力が強い肌ヌカは、お米の酸化、劣化を促進させて味を落とす。これはどんなに高価なブランド米でも例外ではない。

 名だたるブランドの精白米と、いわゆる標準的なお米の無洗米とを比べると、肌ヌカを取り除いた後者のほうがはるかに食味がいいという。

「発売した時は、“とがなくていい米? 主婦の不精を推進する米だ”などと、ずいぶん批判を浴びました(笑い)」

 しかし、無洗米は水が自由に使えない災害時や水不足の時には大いに重宝されるし、何よりも河川や湖沼の汚染の防止に力を発揮した。今では誰もが重宝している。

 昨年には「BG無洗米による米のとぎ汁公害及びCO2排出の削減活動」が評価され、「第24回地球環境大賞 環境大臣賞」を受賞。他にも環境保全の活動で自治体などから贈られた賞は数えきれない。だが、こんな難題に好んで挑戦していくので、当初は業界や経済界では、「なんや雜賀いうのは変わり者や」と、笑われてきたという。

※女性セブン2016年9月15日号

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