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45歳の現役最年長ラガーマン 2019年のW杯出場に意欲

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 ラグビーの釜石シーウェイブス(トップイーストリーグ1位)のフォワードとして活躍する伊藤剛臣(45)。かつては神戸製鋼ゴスペルスティーラーズで主力選手として活躍。一度は引退を表明したが、神戸製鋼時代に阪神大震災も経験した伊藤は東日本大震災を機に「ラグビーで釜石復興を支える」との思いから2012年にトライアウトを経て現役復帰し、釜石に入団した。

 復帰後の伊藤の活躍は目覚ましく、ロック(FW)のレギュラーとして体を張り続け、その年のチームはトップイーストリーグ1部3位。翌年から3位、2位、2位と順位を上げ、今年が5年目のシーズンだ。

 チームだけではない。伊藤のスキルもあがっている。ベンチプレスは過去最高の150kgを記録。オフ・ザ・ボール──ボールを持っていない時のプレースキルも格段にアップした、と本人は自負する。

「20年前の自分と勝負しても勝てる自信があります。足は遅くなりましたけどね(笑い)。いつまで続けるか? 実はまったく考えていません。というより、いつも『今日が最後かもしれない』と思っています。

 怪我で再起不能になるかもしれない。そういう緊張感とプレッシャーの中で毎日やっています。で、終わると『今日は無事だった』とホッとして仲間と酒を飲む。この繰り返しです。試合ともなると、緊張で吐きそうになるけど、その緊張感がたまらないから、やめられない。ただのラグビー馬鹿ですね(笑い)」

 伊藤が現役にこだわるのは、釜石復興と自分を重ね合わせているからだ。

「トップリーグへの昇格。そしてラグビーでの町の復興。こうした夢とロマンと目標が、自分を支えています」

 実は伊藤は、トライアウトを受ける前に、釜石の被災地を訪ねている。そこで伊藤は言葉を失った。神戸の震災以上の光景が、そこには広がっていた。多くの半壊した建物、沿岸部深くまで乗り上げた船……。

「緑色の大きなピラミッドがいくつもありました。近づいて見ると、瓦礫の山でした。瓦礫が長い間放置されていたせいで、草が芽吹いていたんです」

 あれから5年。

「神戸の仮設住宅は、5年でなくなりました。でも釜石にはまだあります。復興は道半ばです」

 だからこそラグビーで盛り上げたい。伊藤の気持ちは、真っ直ぐだ。

「3年後、日本でラグビーW杯が開催されますが、開催地のひとつは、ここ釜石なんです。去年のW杯の日本対南アフリカ戦は、試合を観ながら号泣しました。あの感動をもう一度、再現したい。代表に呼ばれたら? もちろん、48歳の体で駆けつけます!」

◆いとう・たけおみ:1971年生まれ。東京都出身。法政二高でラグビーを始め、法政大学を経て神戸製鋼(コベルコスティーラーズ)に入社。1994年度の日本選手権7連覇、1999年・2000年度の日本選手権優勝など主力選手としてチームに貢献。24歳から日本代表に選ばれ、キャップ数は62を数え、1999年、2003年にW杯出場。2012年、神戸製鋼を退団してトップイーストの釜石シーウェイブスに入団。9月10日に開幕する今シーズン、トップリーグ昇格を目指す。

撮影■渡辺利博 取材・文■角山祥道

※週刊ポスト2016年9月9日号

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