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原田信助さん国賠訴訟 証拠提出されない「防犯カメラ」映像

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原田尚美さん

 JR新宿駅で痴漢の容疑をかけられた都内大学職員の原田信助さん(当時25)が、新宿警察署による取り調べ後に自殺した事件について、信助さんの母親・尚美さん(55)が「息子は違法な取り調べによって精神的苦痛を受けた」などとして、東京都(警視庁)に対して1000万円の国家賠償を求めた訴訟の第3回口頭弁論が2011年11月8日、東京地裁(相澤哲裁判長)であった。被告の東京都は「捜査に違法な点はない」と反論、双方の主張は全面的に対立している。原告側は8月30日に開かれた第2回口頭弁論で、信助さんによる痴漢行為があったことを裏付ける「防犯カメラ」の映像を提出するよう被告側に求めていたが、この日の口頭弁論では証拠提出されず、原告側代理人が「不公平だ」などと語気を荒げる一幕があった。

■警察の捜査は「違法」だったのか? 全面的に対立する双方の主張

 原告が提出した訴状によると、信助さんは新宿駅構内で面識のない男子学生らに突然飛びつかれ、腹部を蹴られるなどの暴行を受けたという。しかし、駆け付けた警察官は信助さんを暴行事件の被害者ではなく、痴漢事件の被疑者として取り調べを行った。原告側は、取り調べの過程で警察官らの捜査に違法行為があったと主張。供述拒否権の告知をせずに被疑者として取り調べをしたことや、任意捜査にもかかわらず電話の使用や帰宅を認めなかったなどを挙げた。

 また、信助さんの死後、迷惑防止条例違反の被疑者として検察官に送致したことについて、被害を受けたとされる女性の供述があいまいであり、仮に接触行為があったとしても同条例に違反するものではないと主張。「犯罪が成立していないことが明らか」であり、東京地検に送検したことについても違法であるとしている。

 一方、原告の訴えに対して東京都は、男子学生による信助さんへの暴力行為はなかったと主張。警察官の対応についても「違法な点はない」とした。また、信助さんの犯行を裏付ける証拠として防犯カメラの映像や被害者らの供述調書などを挙げ、「被疑者として検察官に送致するだけの嫌疑が存在したことは明らか」として、迷惑防止条例違反の被疑者として書類送検したことについても「違法はない」とする準備書面を提出した。さらに、準備書面では、信助さんの自殺と新宿署の職務執行には「因果関係はない」として、原告側の主張に対し、全面的に争う姿勢を示した。

■提出されない証拠映像 「不公平だ」と原告代理人

 原告側は、被告が信助さんを迷惑防止条例違反の被疑者として認めたことについて、「被告がどのような証拠に基づいて主張しているのかを明らかにすることによって、相互の主張が錯綜することを極力、回避したい」として、防犯カメラの映像や供述調書など「証拠物」の提出を被告に求める「求釈明書」を提出していた。

 だが、この日被告側が提出した準備書面では、証拠ビデオの提出についての記載はなかった。供述調書についても、「(証拠を)公にすべきか否かを決定する権限を有するのは、検察官であって、被告である東京都でないことは明らか」として、提出を拒んだ。

 これに対し原告側は、被告側の準備書面の前提としている証拠資料を見てからでないと「反論のしようがない」として、証拠とされる防犯カメラの映像や供述調書などの提出を再度要求。「証拠は全部あちら(被告側)が持っていて、こちら(原告側)に反論できるなら言ってみろというのは、とても不公平なやり方」と意見陳述した。被告側は原告側の要求に対し、「確認します」と返答。すると、原告側代理人の清水勉弁護士は「『確認します』じゃないですよ。あなた方は監視カメラを見て準備書面を書いている。だからそれを出してください。裁判所に対する冒涜ですよ」と迫った。さらに、「証拠に基づかない準備書面であれば、主張を撤回していだきたい。そうでなければ捏造ということになる」と述べた。

 原告の尚美さんは、口頭弁論後の報告会で「この国の司法は根本からおかしいと思いました。警察が息子を犯人と認定した証拠である防犯カメラの映像を提出していただきたいと思います」と語った。

 第4回の口頭弁論は2012年1月17日の予定。被告側が原告側の要求にどう応えるかに注目が集まる。

◇関連サイト
・原田信助さんの国賠を支援する会 – 後援会のホームページ
http://haradakokubai.jimdo.com/

(三好尚紀)

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