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『コピーライター』ってどんな仕事?【気になるカタカナ系職業を突撃取材!】

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こんにちは、大学生ライターの西野です。このコーナーでは憧れるけど謎すぎる、カタカナ文字の職業をご紹介します。前回のアートディレクターに引き続き、今回はコピーライターの謎を解き明かしていきます!

みなさんは、カルピスのCMと言えば何を思い浮かべますか?そう、あの印象的な「カラダにピース。カルピス」ですよね。

今回はこの有名なキャッチコピーの生みの親である、コピーライターの坂本和加さんにインタビューさせていただきました。

プロフィール

坂本 和加さん:コピーライター。

貿易商社OLからコピーライターへ。一倉広告制作所を経て、独立。2016年より、コトリ社主宰。主な仕事に、「行くぜ、東北」「カラダに、ピース。カルピス」などがある。東京コピーライターズクラブ会員。受賞歴に、毎日広告デザイン賞最高賞、準朝日広告賞、カンヌ国際広告祭ゴールドなど。

—よろしくお願いします!それではまず、コピーライターがどういうお仕事なのかを説明していただけますか?

ひと言で伝える仕事です。物を売りたいとか誰かに好かれたいとか、そういう悩みをもつ企業や人に対して、こういう言葉でコミュニケーションしていけばいいじゃないですか?と提案する仕事かな。CMもポスターも、広告の限られた時間の中では、短い言葉で伝える必要があります。例えば、「行くぜ、東北。」のような、「ひと言で言いたいことが伝わる」言葉を見つけるのがコピーライターの仕事です。

—なるほど、言葉を使って物のイメージを作るのですね。坂本さんがコピーライターのお仕事をされていて、楽しいと感じるのはどんなときですか?

「あ、こう言ってほしかったんだ。」と向こうの伝えたいことにパチッとはまる言葉が見つかったときは嬉しいですね。主にチームで仕事をしているのですが、言葉を考えていると「この指とまれ的な言葉」が見つかることがあるんです。

—「この指とまれ的な言葉」、ですか?

チームのみんなが、「あ、いいね」と思うような言葉です。その言葉を軸にイメージを作っていけるような。「ジャガイモみたいな言葉」とも言えるかな。どんな料理でもできてどんな色も付けられる、ごろんとしてて不特定な言葉。それが決まるとコピーライター冥利に尽きます。

—(言葉のセレクトがすごい…!言葉の魔術師…!) ふわふわとしたイメージを言葉という形にしていくのは難しそうですね。コピーはどのようにして考えているのですか?

いきなりコピーを書くことはしないかな。考える時間がとても大事なので。まず、具体的なゴールを設定します。「こういう時に、こんな人に…」というターゲットや、他の会社はどう思うかな?など、いろんな視点から考えますね。イメージが固まってきたらようやく言葉に落としていきます。

—考える時間がすごく多いんですね!ミュージシャンがよく言う「歩いてたら歌詞が突然浮かんできた!」みたいな感じで言葉が浮かぶのかなー?なんて思っていました。

そうだったらいいですねぇ(笑)。いろんな人を納得させないといけないので、ある程度、「これならいけそうだ」と左脳的に検証します。どんな言葉が今キテいるのか、それはどう(ことばとして)響くのか、とか。だから、今流行っている、新しい情報は入ってくるようにしています。

—言葉の材料はどこで仕入れていますか?

特にこれといったことはしていないですけど、本屋の徘徊は好きです。平積みされている本を見て、世の中の流れを知るというか。コピーは、常に宿題みたいに頭にあってアンテナを張るようなことになっていて、情報が自然と集まってくるんです。漫画を読んでいて何気ない一コマにヒントをもらうこともあります。常にいろんなところからインプットはしているみたいです。

—コピーライターがどういったお仕事なのか、よく分かりました。もしよろしければ、お仕事の実例を見せていただくことはできますか?

いいですよ、持ってきますね。最近だと、GOCOCI(ゴコチ)という下着ブランドを作りました。ネーミング、キャッチコピーからリーフレットまで、ほぼすべての言葉を手がけました。

—ネーミングやキャッチコピーだけでなく、全体的に関わることもあるんですね。このブランドを作っていく過程で、大変だったことはありますか?

この商品は、30代から50代までの幅広い世代をターゲットにしているのですが、ネーミングはわかりやすく愛され続けられるものを。表現は、商品(=ラクなブラ)をしっかり理解してもらうのはもちろん、つけてハッピーになれるよう感じであったり、華やぐ気持ちをたいせつに、世界観を作りました。GOCOCIって聞いただけでイメージできるものがありますよね。ブランドの方向性を、ネーミングで定着させるのも大事な仕事です。

—ブランドの方向性を担う、重大なお仕事なんですね。

—次は坂本さんの人生をさかのぼってお話をお聞きしたいと思います。高校生や大学生の頃、坂本さんはどんな学生でしたか?

めちゃくちゃでした(笑)。わりと自由人でダメ人間でした。大学進学に関しても、就職がいいから商学部や法学部に入るとかいうような思考には全くならなくて。何も考えてないというか。

—その当時はまだコピーライターになりたいとは思っていなかったのですか?

全然考えていなかったです。大学生の頃は文章を書くバイトをしていまして、旅行が好きだったこともあって、旅行会社が発行している学生向けの雑誌に載せる旅行記を書いていました。なんとその時の編集長は当時まだ高校生だった石川直樹さんだったんですよ。

—へぇ~!旅行はどんなところに行っていたのですか?

ひたすら中米に行ってました。ロスまで飛行機で行って、そこからバスで南下して中米をバックパックとかしていました。そして戻るとふざけた旅行記を書いてました。

—大学を卒業してからは何をされていたのですか?

貿易関係の会社に就職しました。でもそこは第一志望じゃなかったんです。私たちのころは就職氷河期で…。8月になり暑くなったので(笑)、そこにさせていただきました。

—そこではどんなお仕事をされていたのですか?

まさにOLさんでした。大量のコピーを取ったり、お茶を汲んだり。でもそういう事務仕事が本当に向いていなくて。そもそもダメな人間なので。それで次の仕事をどうしようか考えていたら、「コピーライターよいかも」って思ったんです。

—えっ!突然ひらめいたんですか!?

会社(ブランド)じゃなくて、肩書きで就職したいと思ったんです。書くことは好きだったし、会社を変えても通用する仕事がしたかった。それで、とりあえず「コピーライターになる」と母親に報告したら「あら、アナタ向いてるわよ」と。たぶん学生時代の独り旅で、心配させまいと毎日はがきを出していて。何か感じてくれていたのかもしれないです。いや、おもしろく書く努力をしてました(笑)。

—お母さんは坂本さんの能力を見抜いていたんですね。その後どうやってコピーライターになったのですか?

当時はネットがないから情報もないし知り合いもいなくて。とりあえず職案(職業安定所)に行って、「すみません、コピーライターの募集ありますか?」って一応聞いてみたら、なんと募集してた。それで電話して面接行って、トントン拍子で採用。超楽勝じゃん、って 。生意気に(笑)。

—すごいですね!とりあえず職業安定所に行くっていう発想はぶっとんでますね(笑)。

いやいや、今もあるかも(笑)。そうして入った会社で仕事をしていく中で、もっとコテコテ?のコピーが書きたいと思い、1年くらいで辞めました。

—その「違う」と思ったらきちんと方向転換できる決断力はすごいですね。その後はどうされたんですか?

もう肩書きはあるので楽勝だ!と思って、次はプロダクション年鑑で就活をしました。業界誌の求人は競合も多そうだし…てことで、五十音順に「ア」から順番に電話をかけた。ガッツのあるところを見せたかったんでしょうね (笑)。それで「ア行」で次が決まったのですが、すぐに倒産となり…。その頃になり、ようやくお仕事ファイルもできてきたので、まともな就職活動をして、晴れてコピーライターっぽい?仕事にも恵まれ…たのですが、仕事のストレスで禿げたこともありました(笑)。

—ええ~っ!!今までのお話に聞く限りのポジティブな坂本さんからは全然想像できないです…。

1円玉くらいのハゲが出来ちゃって、帰り道のタクシーで涙(笑)。で、ご縁あって一倉広告制作所(坂本さんの師匠、一倉宏さん)の事務所に拾われ、独立して今に至ります。

—紆余曲折あったんですね。何かをしようと思った時に、上手くいくヒケツって何かありますか?

思い込みです。それで、運がいいのかもしれません。できるにちがいない!という根拠のない自信というか自己暗示というか。そういうのってすごく大事に思っていたりします。

—最後に、高校生に何かアドバイスはありますか?

うーん、自分が楽しめることをやっていればいいんじゃないかな、そう思います。突き放したみたいな言い方になってしまうけど(笑)。あと、人とつるみすぎないことですね。他人に合わせちゃうとか、LINEで既読無視がどうだとか、そういうのはすごくつまらなく感じてしまいます。友だちいなくてもいいじゃん!とさえ思っちゃう。みんなよく自分探しをしているけど、自分とか個性っていうものは意識しなくても出てきちゃうものですから。個性を大事になんてしなくていいです。ちょっと本をひらけば、オジサンはみんなそう言ってます(笑)。それよりも、たのしいと思える本とかを読んだほうがいいと思います。

—面白いなと思う人の本、ですか?

私の中ではおじいさんがブームで、お気に入りのおじいさんがいます。ご年配、というだけで知識をたくさん持ってますし。ヒモ読書(書籍に出てきた本を読む)もたのしい。流行ってる本に興味を持つのも大事だけど、自分が欲してるものを自分にご飯としてあげているかっていうのがとても大事だと思いますよ。

(隣の部屋には壁に貼ってあるたくさんのコピー(割愛してます)と本棚いっぱいの本が...!)

自分を信じてやりたいことをやりたいようにやる、という坂本さんの前向きな姿勢はとっても参考になるのではないでしょうか。坂本さん、貴重なお話をありがとうございました!

バックナンバー 『ベンチャーキャピタリスト』ってどんな仕事? 『アートディレクター』ってどんな仕事? 『AI人工知能研究者』ってどんな仕事?

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大学生ライター

ちさと

新潟県産の早稲田大学文化構想学部生。動物デザインの物が大好きで、部屋はことりの大きいぬいぐるみだらけ。人生最後の日に食べたいものは鳥皮餃子です。

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