ガジェット通信

見たことのないものを見に行こう

中国人民解放軍内部文書「日本国内の反核勢力支持」を主張

DATE:
  • ガジェット通信を≫

 7月の参議院議員選挙で、非改選を合わせて自民党を含む改憲勢力が3分の2を占めたことで、中国は安倍政権の憲法改正の動きに警戒を強めている。そんななか、ジャーナリストの相馬勝氏は「日本では右翼勢力が台頭しており、近い将来、核武装に踏み切るのではないか」などと予測する中国人民解放軍の内部文書を入手した。

 * * *
 内部文書はまず、日本の核武装論の歴史的経緯について触れている。

 日本は第2次大戦中、核兵器の開発に取り組み、ドイツから核兵器の原料の提供を受けることになっていたが、敗戦により、製造は中止となったとしたうえで、「戦後半世紀にわたって、日本の指導者が日本の核兵器開発の意思を表明するとともに、国内右翼勢力も再三にわたり日本の核兵器製造を主張してきた」と説明。

 このうえで、核問題の専門家は「核兵器製造には次の4つの条件が必須である」として、日本は4条件とも備えていると主張する。

 4条件とは(1)豊富な資金(2)国際的にも先進的な科学技術(3)世界一流のロケット技術(4)核兵器製造の大量の原料である。特に、科学技術については、日本は世界でも1、2位を争うスーパーコンピュータを有しており、核実験をしなくても、コンピュータ解析によって、完全な核兵器は製造できると分析。

 ロシアの専門家の話として、「日本は1年以内に核兵器を製造できる能力を有している。核実験をしなくても、大規模容量のスーパーコンピュータの3次元解析によって、核爆発の全工程をシミュレーションできるはずだ」と指摘する。

 また、日本の衛星ロケット技術は進んでおり、「日本はすでに1基のロケットで、3個の弾頭を発射できる実験にも成功している」として、多弾頭化の技術も獲得していると結論付けている。

 さらに、内部文書は「日本の核兵器製造の目的と動機」について、4点にわたって論じている。

 第1は「日本は世界の大国としてアジア太平洋地域において主導的な役割を果たそうとしている」というもの。日本は戦後、経済発展が著しく、1980年代には米国に次ぐ世界第2の経済大国にのし上がり、「日本の右翼勢力が日本の軍事大国化を進めようとする昔日の野心を燃え上がらせている」ためだ、と説明する。

 第2は日本が国連安全保障理事会の常任理事国入りの障害を取り払うためだ。なぜならば、現在の5常任理事国で米英仏露中の5か国はすべて核保有国であることによる。

 第3には、日本と対抗する国を軍事的に威嚇するため。

 第4は、日本国内の経済不振が続くなか、核兵器を保有することで、国内矛盾を転化するためだ。内部文書は、ここでも「右翼勢力」の意図が反映されていると主張するが、「右翼勢力」について、具体的な説明はない。

 実際問題として、常識的に、核兵器を保有することによって、日本国民が経済不振の不満を解消できるはずはない。

 この内部文書の筆者は、「右翼勢力」が尖閣諸島の主権の維持や領土拡張を主張し、その発言力が強まるなか、「安倍(首相)が軍国主義の執政綱領の復活を主張して首相に再選した」と強調するなど、論理的な説明がつかないところで、都合のよいように、「右翼勢力」を持ち出している。

 文書は最後に、日本の核武装に対する今後の対策として、日本の核問題の動向を密接に見守りつつ、国連を通じるなどして日本の核武装についてあらゆる手段を通じて反対するとしている。

 昨年10月の国連総会では、中国の傅聡軍縮大使が「日本が保有する核物質は核弾頭千発以上に相当する」と指摘したうえで、「核セキュリティーと核拡散の観点から深刻なリスクを生んでいる。(プルトニウムや濃縮ウランなどの核物質)所有量は正当な必要量をはるかに超えている」と批判したが、傅大使の発言も中国側の日本の核武装阻止対策の一つといえそうだ。

 さらに、阻止対策として、文書で注目されるのは「日本国内の反核勢力の支持」という言葉だ。「日本国内では反核の立場と発言力は一定の社会的基盤を築いている」として、「民間の反核組織に適当な支援を提供すべきだ」と主張。これは、中国政府が国内の民主化問題などで、海外勢力を批判する際、必ず持ち出す「内政干渉」に当たるのは明らかだ。

 文書では、日本の民間組織に経済的支援をすべきだと主張しており、外交的な常識が欠如していると批判されても、抗弁できないだろう。

 そして、最後の対策として、「核に関する各種突発事故に対応できるように準備しておくこと」を挙げている。「日本の核武装はわが国(中国)にとって、百害あって一利なし」と強調したうえで、中国国民に対して、放射能事故に対応できるよう教育をする必要があるとしている。

 そのうえで、軍事的な訓練を通じて、「戦う準備をして、戦えば勝つ」ために、「軍内の各部署では訓練を強化し、有効な反撃を加えることができるように日ごろから備えておかなければならない」と強く主張し、文書を締めくくっている。つまり、間接的ながら、日本との戦争の準備をすべきとの主張だけに、穏やかではない。

●そうま・まさる/1956年生まれ。東京外国語大学中国語学科卒業。産経新聞外信部記者、香港支局長、米ハーバード大学でニーマン特別ジャーナリズム研 究員等を経て、2010年に退社し、フリーに。『中国共産党に消された人々』、「茅沢勤」のペンネームで『習近平の正体』(いずれも小学館刊)など著書多 数。近著に『習近平の「反日」作戦』(小学館刊)。

※SAPIO2016年9月号

【関連記事】
中国人民解放軍内部文書「日本は2000発の核弾頭製造可能」
北朝鮮核ミサイルに対抗するには日韓核武装も選択肢と専門家
中国軍 全長9600kmに及ぶ秘密地下核兵器貯蔵基地を建設中か

NEWSポストセブンの記事一覧をみる ▶
  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。

TOP