体験を伝える―『ガジェット通信』の考え方

面白いものを探しにいこう 本物を体験し体感しよう 会いたい人に会いに行こう 見たことのないものを見に行こう そしてそれをやわらかくみんなに伝えよう [→ガジェ通についてもっと詳しく] [→ガジェット通信フロアについて]

アスペルガーより悩みが深い!?症状はあるのに認定されない“隠れアスペ”とは?

f:id:k_kushida:20160829125257j:plain

昨年、「世界一のデータアナリストになったアスペルガーの会社員」の記事が掲載され、大変な反響を得た。彼は社会に出て自分が電話番すらできないことに悩み続けた。苦手な仕事を続けたため、うつ状態にもなった。その後、相談に行った医者からアスペルガー症候群の診断が下され、障がい者採用で得意とするデータアナリストの職を得た。

彼の場合は、相談に行った産業医から「アスペルガー症候群」ではないかと指摘され、最終的に専門医からも認められた。しかし世の中には、「アスペルガー症候群」という診断は下されなくとも、ある程度の症状があらわれる「隠れアスペルガー」が数多く存在する。いわゆる「グレーゾーン」の人々だ。「アスペルガー症候群」だと認定された人と同様に、「働きづらさ」に悩み、退職に追い込まれる人も多いとか。そんな人たちは、どうやって自分に適した職場環境や仕事を見つければいいのか。発達障がいカウンセラーの吉濱ツトムさんに、「隠れアスペルガー」の適職の見つけ方を聞いた。

東大卒のエリートビジネスパーソンが引きこもりに

現在、発達障がいカウンセラーとして活躍する吉濱ツトムさんは、幼少のころからアスペルガーで苦しんできた。当時は今より研究が進んでいなかったため、自ら様々なアスペルガー改善法を調べ、何年もかかって症状を改善していった。その経験を体系化し、アスペルガーをはじめとした発達障がいで悩む人に個人指導をするカウンセラーになったという。症状の改善、適職アドバイスなど、これまでに指導した人は、700人以上。その8割がアスペルガーだ。

「僕が指導してきた発達障がいの人のほとんどは、ごく普通の会社員です。なかには高学歴のエリートビジネスパーソンもたくさんいます」(吉濱氏)

恵まれた人生を歩んでいるように見える彼らが吉濱氏のもとを訪ねるのは、日々の生活の中でとても大きな「働きづらさ」を感じているからだ。特に深刻なのが、グレーゾーンと言われる「隠れアスペルガー」の人だと吉濱氏は言う。最近は大人の発達障がいに対する情報が増えてきたため、「もしかしたら自分もアスペルガーかも?」と、精神科に診断を求める人も多くなった。しかし、精神科の門をたたいても、症状が全体的に軽かったり、症状に偏りがあるなどの理由から、「アスペルガー症候群」だという診断はなかなか下されない。そのため、どうしたらいいかわからず、悩みがますます深くなるのだという。

吉濱氏の経験からすると、こういった隠れアスペは、アスペルガー全体の7割を占めるそうだ。なかには学生時代までは優秀だったが、社会に出て職場環境になじめず、働くことを辞めてしまう人も数多くいるとか。

たとえばこんなケース。東大卒のエリートビジネスパーソンから引きこもりになったAさん。学生時代は物理を専攻し、成績は常にトップクラス。しかし、物理の研究では食べていけないと、卒業後は大手広告代理店に入社した。もともとまじめで勤勉な性格のAさんは、入社後も成果を上げようと人一倍頑張ったそうだ。しかし、なぜか頑張れば頑張るほどうまくいかない。成績がぐんぐん上がった学生時代では考えられなかったことだ。

Aさんが一番苦手としたのは、“雑談”だ。営業の仕事はたわいのない話からクライアントとの関係を作っていくことが多い。顧客のもとに行っても、何を話していいのかわからず、途方に暮れたという。

次に難しかったのが、“2つの仕事を同時にする”こと。事務作業をしながら電話に出る、上司の話を聞きながらメモを取る、作業中の仕事の手をいったん止めて急ぎの仕事をするなど、同時に何かをすることは、大の苦手。急に入ってきた大事な案件の資料を同僚たちが忙しく作っているときに、Aさん一人だけ名刺作成に没頭していた、なんてこともあったとか。

また、上司からの“あいまいな指示”も理解できなかった。「ざっくり資料作っておいて」と上司から言われると、意味がわからず固まってしまうことも多かったとか。入社2年目になってもこの症状は変わらず、次第に周囲から疎まれる存在に。同僚からの嫌がらせもあり、やがて、Aさんには抑うつ症状が現れる。4年目にはほとんど出勤できないほどのうつ状態に陥り、6年目についに退職。外に出るのが怖くなり、家に引きこもるようになってしまったという。

適職を見つけるのは、まずは“体づくり”から

1 2 3次のページ
リクナビNEXTジャーナルの記事一覧をみる
  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。