聴力が落ちている高齢者ほど「固いもの」を食べなければならない理由

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聴力が落ちている高齢者ほど「固いもの」を食べなければならない理由

人間、歳をとれば、身体のあらゆるところに衰えが見え始める。

そうした衰えを目の当たりにしたとき、本人や周囲の人はつい「負担のないように」と身体をかばう方向へ動きたくなるものだ。だがそれは時として、人の生命力を奪うことにもなりかねない。

今回は、『血流を改善するとたった1分で耳がよくなる!』(三笠書房刊)の著者であり、中医学にヒントを得て難聴の施術をおこなっている今野清志さんに、高齢者が来院したとき、どのようなアドバイスを送るのかについてお話をうかがった。

■高齢者が、日々の食事と運動で気をつけるべきこと

――インタビュー前編では「若い女性でも難聴を訴えて治療に来るケースがある」というお話をしていただきました。今野さんはよく「3歳から99歳まで」という言い方をされますが、高齢者の方も治療にいらっしゃるわけですよね。

今野:はい、高齢者の方もかなりいらっしゃいます。では、そういった方々に対して、どうアドバイスするか。

その話に入る前に、耳鼻咽喉科の医師や私たちの多くがしてしまいがちな「誤解」について、少し触れておきたいと思います。それは、「歳をとったら耳は聞こえづらくなって当たり前」というものです。

――なぜそれが誤解なのでしょうか。

今野:こちらに見えた高齢者の方々の話をよくよく聞いてみると、生活習慣に問題ありといわざるをえないような日々を送っていることが少なくないからです。

つまり、身体に悪影響を及ぼすような生活習慣を長年続けてきてしまったために、結果として耳の聞こえが悪くなるケースが少なくない。

――では、そういった「老人性難聴」を訴える高齢者の方に向けて、どんなアドバイスをすることが多いのですか。

今野:こまめに運動するようにし、食事内容を改善する。この二つを徹底するようお伝えすることが多いですね。

まず、なぜ運動が大事なのか。歳をとれば、代謝が落ちます。代謝が落ちれば、それだけエネルギーを使わなくなる。これが高じると食欲も湧かなくなる。こうして食はどんどん細くなっていきます。

食が細くなると、内臓の働きが衰える。それに伴って自律神経が弱り、乱れてしまうということがよくあるのです。特に、内臓のなかでも最大の面積を占める腸と胃の働きが鈍くなると、自律神経へのダメージも大きく、耳に悪影響が出てきます。

つまり、こまめに運動をすることで代謝が上がり、エネルギーを使うようになるため、食欲も湧く。結果、食事量も増え、内臓の働きも活発になるというわけです。

――インタビュー前編でも少し触れましたが、本書ではいくつかのエクササイズが紹介されています。運動不足の人は、まず何から始めるのがいいでしょうか。

今野:前編で紹介した「チョッピング呼吸法」はもちろん、内臓マッサージを目的とした「エア縄跳び」から始めるのがいいでしょう。

これは、縄を使わずに上下にジャンプするだけのとても単純な動きですが、いざやってみると、フラフラしないで跳び続けるには、足やお腹、腰、背中、腕など全身の筋力を使う必要があると分かります。

ジャンプは有酸素運動であるため心肺機能を鍛えられますし、物理的にも胃腸を刺激して活性化させることができます。先ほどの繰り返しになりますが、胃腸の働きが促されれば、自律神経によい影響を与え、血液の流れもよくなります。

――食事に関しては、具体的にどんなアドバイスをすることが多いのですか。

今野:高齢者の方には特に、「固いものを食べなさい」と伝えることが多いですね。

柔らかいものばかりを食べていると、当然、噛む力は弱まります。その結果、唾液の量が減ってしまう。そうすると、消化の力も弱まってしまう。完全に悪循環です。

人間にとって「固いものを齧る」ということは自然な行為なんですよ。本能的な行為といってもいい。つまり、柔らかいものばかり食べるというのは、自ら生命力を弱めているようなものなんです。

――最後になりますが、読者の皆様へメッセージをお願いします。

今野: 難聴を訴えてうちへ来る方に、いつもまずお伝えするのは、「耳はそんなにすぐには良くならないよ」ということです。何十年かけて、少しずつ悪くなっていったものを、1日や2日で治せるわけがない、と。

でも同時に、「決してあきらめる必要はない」ともお伝えするんです。これまでお話してきた運動や食事の面での改善をふくめ、コツコツとやるべきことを続けていけば、耳の聞こえは少しずつ、でも確実に良くなっていきます。

もし少しでも耳の聞こえに不安をおぼえていたり、過去に病院へ行ったもののこれといった効果が見られず、そのままにしてしまっているという人は、ぜひ本書を手にとっていただき、聴力を回復させるためのきっかけをつかんでほしいですね。

(新刊JP編集部)

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