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介護漫画「介護士、アートする。」vol.3

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祖父とした最期の会話を、今でもふと思い出します。

祖父は寝たきりで認知症が進み、言葉を失っていました。枕もとに耳を寄せた私に、祖父は数分、様々な「音」を発しました。私は何ひとつ、祖父の言わんとしていることを理解出来ませんでした。

認知症の進んだ方々が話す「言葉」や「音」の意味を、聞き手は理解できないことがあります。

しかしそれこそが、深い対話への入り口だと感じています。

本編

認知症が進んで、ご自身の歴史を語れなくなったハナさんが、どんな人生を歩んで来たのか、私は知らない。

昔、軽々と宙を舞っていたかもしれないお手玉は、今はハナさんの手の平で、すずめの重みになった。

それからハナさんの節くれだった指は、千代紙をゆっくりゆっくり千切った。

ハナさんは切り紙で、すずめを飛ばした。戦時を生き抜き、小さな命の重みを知る手のひらで。

おしまい

あとがき

アートは、言葉に頼らない対話です。

高齢者の表情やまなざし、呼吸の様子、今感じてらっしゃる感覚…。
共にアートする私は、そんなものを汲み取りながら傍らで過ごします。
そして完成したアートがまとう雰囲気をご本人へお伝えして、その時間を完了としています。

意味を持たせない対話こそが、あるがままのその人を理解できると、私は高齢者とのアートで知りました。

今でもあの時の、祖父の気高い息遣いがふと蘇ります。

この記事を書いた人

飴色珈琲

介護福祉士 /クエスト総合研究所 シニアアートワークセラピストコース卒業。日々、介護現場でアートを行っている。
※漫画は実際の経験をもとにしたフィクションであり、実在する、人物・地名・団体とは一切関係ありません。

カテゴリー : 生活・趣味 タグ :
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