遊びながら可能性を発掘する「まちのトレジャーハンティング」

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遊びながら可能性を発掘する「まちのトレジャーハンティング」

株式会社リノベリングが全国の自治体とともに開催する「まちのトレジャーハンティング」。「リノベーションスクール」と並び、リノベーションを軸としたまちづくりの新しい手法として注目されています。6月末に行われた「まちのトレジャーハンティング@そうか」をユニットマスター(講師)の目線から現場をレポート!

地元の人と、全国から集まった仲間が2日間でまちを探検

「まちのトレジャーハンティング(以下トレハン)」は、住民自身がまちを歩いて「お宝」=まちに潜在する資源を探すイベント。チームに分かれ、それぞれ別のエリアを担当します。1日目はお宝を探してまちを探検。2日目は発見したお宝をもとに、こんなふうにまちを楽しくできる!という夢やビジョン(現実的でなくてもOK!)を報告会で参加者にプレゼンします。

2016年6月25日~26日に埼玉県草加市で開催されたトレハン@そうかには、計8名のユニットマスター&サブユニットマスター(講師)に加え、地域住民を中心に35名の参加者が集まりました。なかには東京や奈良など県外からの参加者も。まちの隠れたポテンシャルを発見するには、“ヨソモノ”のフレッシュな視点も大切です。

ユニットマスターはお宝探しのコツを伝授し、プレゼンまでをサポートするコーチのような役割。いずれもまちづくりや不動産プロデュース、イベントの企画等に携わるプロたちです。そしてサブユニットマスターはすでに地元でビジネスをしていたり、コミュニティ活動に取り組んでいたりするまちのエース級プレイヤーたちです。【画像1】「お宝」を見つけようとみんな真剣そのもの! 実際はわいわい和やかでした(画像提供/草加市役所)

【画像1】「お宝」を見つけようとみんな真剣そのもの! 実際はわいわい和やかでした(画像提供/草加市役所)

一見ネガティブな要素にも注目しよう。磨けば光るダイヤの原石

トレハン@そうかでは4ユニットにわかれ、それぞれ松原団地駅西エリア、松原団地駅東エリア、草加駅西エリア、草加駅東エリアのお宝を探すことに。私のユニットが担当した草加駅西エリアは、いわゆる繁華街。東京への通勤者が多い土地柄、マンションも増えています。参加者たちが注目したのは、マンション建設に伴い至るところに生まれたポケットパーク(小規模な公園)。公園なのに、人っ子一人いない…。どうやら「◯◯してはダメ」という禁止事項が多かったり、木陰が極端に少ないせいで利用者の足が向かない模様。

もうひとつ注目したのは、市街地に点在する農地。われらがサブユニットマスター中山拓郎さんは地元農家の二代目で、産地直送に農業体験や飲食を組み合わせた新しい農業ビジネスで成功を収めています。でも中山さんのような取り組みをしている農家は、まだごく一部。

活用されていない公共空間と、暮らしのそばにある農業。この2つの「お宝」を掛け合わせて、都市型農業を楽しむ若者たちのライフスタイルを提案することになりました。【画像2】タイムリミットまで全員必死でプレゼン準備(画像提供/草加市役所)

【画像2】タイムリミットまで全員必死でプレゼン準備(画像提供/草加市役所)

会場を盛り上げろ!まちづくり提案のプレゼンはリング上の戦い

草加小学校の体育館で行われた2日目のプレゼンはリング形式。場内を盛り上げたチームに加点されるルールなので、みんなパフォーマンスに力が入ります。私のユニットは「co-vegetable」というコンセプトを掲げ、サポート付き貸し農園の無料貸与やシェアマーケットなどの仕組みで、若者が野菜を3年間無料で食べられるプランを提案。25歳の市役所職員であるAくん(板橋区在住の参加者)が草加に移住し、畑や野菜を通じて地域の仲間ができたり恋をして結婚したり、という近未来を演劇仕立てでプレゼンしました。

他ユニットからも、松尾芭蕉『奥の細道』にも登場する宿場町の細道を活かしてインバウンド向けの観光地を目指すプラン、水路を動物園に転用するプラン(!)、川沿いの公共空間で忍者を育成するプラン(!!)など「なんだか草加、面白くなりそう!」という予感が生まれたトレハンでした。【画像3】まるでプロレス! つまらないと客席からタオルが飛んでくる(画像提供/草加市役所)

【画像3】まるでプロレス! つまらないと客席からタオルが飛んでくる(画像提供/草加市役所)

6月にトレハン@そうかを行い、この秋には「リノベーションスクール@そうか」も開催予定です。こちらはきわめて現実的に、事業計画を含めたビジネスのプランを企画提案するスクール。草加市民以外も参加できるので、まちづくりに関心のある方はチェックしてみてくださいね。

まちづくりの第一歩は、大人も本気でまちで遊ぶこと! 全国各地で開催されるトレハン、提案が非現実的!なんて冷静なコメントをもらうこともありますが、そこまでリアリティは重視していません。そのまちで暮らす人の心が動いて、視点と想像力の幅が広がること。そこから初めて「自分たちのまちを楽しくするにはどうしたらいいかな?」と行動する原動力が湧いてくる。それがトレハンの真骨頂のようです。●取材協力

そうかリノベーションまちづくり Facebookページ

・株式会社リノベリング

●参考

・リリリ・リノベーション(リノベーションスクール、トレジャーハンティング募集情報など)
元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2016/08/116853_main.jpg
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