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第73回 刑務所の一日(帰房後)

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 居室に帰りタオルを再度洗ってハンガーに掛けて、時間があれば部屋の中をすみずみまで丁寧に掃除する。
 総転房といって、一斉に部屋の変更が行われることがある。個々の転房は単に「転房」という。
 独居は、廊下をはさんで北側と南側の部屋に分かれているので、日当たりなどで不公平にならないように、北側の者は南側にというように行われる。転房した後に新しく移った人から部屋が汚いといわれることがないように、常に掃除をしておくことが肝心なのである。
 もちろん、冬になると、南の居室の方が北の居室に比べるとはるかに暖かい(程度の問題であるが)。温度にして2度以上は違うと、みんなが話していた。二度目の冬は北側で、確かに寒かった。

 4時50分近くになると、担当刑務官が「お~い、点検始めるぞ」と事前告知をしてくれる。そして、正式に「点検用意」との声がかかり、点検が開始される。
 担当刑務官の点検はかなり早い。速足で手際よく点検を済ませる。あっという間に終わるから、最後の人の点検まで正座をしていても苦にならない。

 5時からは夕食である。朝と同じく、そのフロアーで4人ほどの者が担当となり、白衣を着用して台車に乗った食事を運んでくる。
 夕食後は就寝時間まで余暇時間となり、自由時間となる。冬場には6時に布団を敷いて横になることができる。この仮就寝は冬場以外では7時からである。
 余暇時間には本を読んだり日記をつけたり手紙を書いたりする。私は電気カミソリでの髭剃りもしていた。電気カミソリを持たない者は、入浴の際に自分のカミソリで髭剃りをすることになる。
 規則によれば居室での髭剃りは余暇時間でしか許されておらず、平日の余暇時間は夕食後就寝までの間しかないから、この時間に髭剃りをするのである。朝から髭を剃っていると、余暇時間外なので規則違反となる。
 隣に入っている人は、毎日朝に髭剃りをしていた。周囲から嫌われていた人で、刑務官に見つかって懲罰になればいいのにと不穏なことを言う人もかなりいた。だから誰も彼に注意をすることはなかった。

 ラジオは6時から入り、7時にはテレビの主電源が入る(外部からの刑務官の作業で入る)。7時になると、冬は寒いところを布団から出て、ラジオのスイッチを切り、テレビのスイッチを入れる。独居に備え付けられているテレビにはリモコンがないのである。
 寒い夜にはリモコンが恋しくなると皆が言う。雑居のテレビにはリモコンがついていた。独居についていない理由が分からない。
 テレビは、ブラウン管式である。ただ、雑居のテレビはブラウン管式から液晶にグレードアップされた。今後暫時交換されていくのだろう。

 テレビは、もちろん見たくなければ見なくてもよい。大体の人が見る。大分でのチャンネルは確か3~4チャンネルしかなく、普段からあまりテレビを見ない私は特に面白そうなもの以外はテレビを見ずにラジオを聴いていた。
 ちなみに累進処遇の関係で、私は月曜日と金曜日のテレビは見ることができなかった。この両日はラジオだけである、しかも、有線放送か何かで一日は演歌特集、その他一日はジャパンポップスと決まっていた。
 なお累進処遇のことは記憶を喚起してまたの機会に書く。
 テレビで人気の高い番組は「警察24時間」といったような警察物であった。翌日の休憩時間、昼食時間、運動時間には話題になる。「あれで捕まるなんて馬鹿だよな」とか話をしている。身の程知らずとはこのことを言う。

 また、「警察24時間」では、職務質問から覚せい剤事犯が逮捕される場面がよく出る。その翌日も、「○○さん、今は1パケ(小袋1個)でいくらくらいなの?」、「○○さん、それでどれくらい儲かったの?」などと話をしている。そこには、反省の態度はない。
 「出たらまた売って儲けるよ」などという者までいる。売る方も買う方も再犯率が高いはずである。(つづく)

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第73回 刑務所の一日(帰房後)

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