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ソニックガーデンはなぜリモートワークを成功させたのか──離れても仕事がうまくいく4つの秘訣 #engineer_moshi

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社員の半数が地方在住のリモートワーカー。打合わせはビデオ会議で

ソニックガーデンはこの春、渋谷から自由が丘に本社オフィスを移転した。
部屋がいくつもある広々とした住居用マンションで、以前は外資系企業の幹部家族が住んでいたという。

現在、社員数は24名と聞いたが、この日出社していたのは6~7人ほど。入社早々の新人はオフィスへの出社が義務づけられているものの、それ以外はオフィスに来てもいいし、自宅で仕事をしてもOK、旅先でプログラムを書いてもよい。

コアタイムのない完全なフレックスかつリモートワークを実践して、早6年になる。

東京以外の地方で在宅勤務をするエンジニアも12名いる。広島、長野、富山、兵庫、岡山、浜松など全国に点在。以前はアイルランドを拠点にヨーロッパを旅しながら仕事を続ける社員もいた。

▲4部屋ある中の1室。打ち合わせやオンライン会議などに使われる

▲バースペースのある部屋。仕事の後にホームパーティー的な宴会をすることもあるのだとか。

▲外国人向けに作られたマンションなので間取りも広く、お風呂やキッチンも完備。

社長の倉貫義人氏自身が、大宮在住で今日は取材があるので久しぶりの本社出社だ。

「案件ごとの受注ではなく、月額定額制の顧問契約という形で、企業の新規事業のシステム開発を中心に、システム企画立案からRuby on railsによるWebサービス開発、スマートフォン・アプリ開発まで幅広く業務を請け負っています。
一人のエンジニアが顧客企業を複数担当しながら、足りない部分はチームワークで補い合うというスタイル。東京の顧客を地方に住むエンジニアがリードで担当するのは、当社では当たり前のことです」

▲株式会社ソニックガーデン 代表取締役社長 CEO Founder 倉貫 義人氏

その場合、顧客との顔合わせや、進捗報告の定例会などはどうしているかといえば、ほとんどがWeb上のビデオ会議を使う。

「ビデオ会議の画面越しで顔合わせはしているし、メールやチャットなどでコミュニケーションも頻繁にとっている。業務を委託しても数カ月に一度ぐらいしか顔合わせしないのより、顧客とはずっと密に付き合っていると思います。画面越しでは嫌だ、どうしてもエンジニアに直に触れないと仕事が頼めないというクライアントはいないですね(笑)」と、倉貫氏は言う。

「いまどきメールや電話でのコミュニケーションに慣れないという人がいないように、ビデオ会議も結局は慣れ。リアルに会っていないからといって、システム開発の品質や効率が落ちることはありえません」

「論理出社」と「物理出社」──Remottyこそが僕らのワークプレイス

社員の半数以上が在宅勤務を選択しているから、社内のコミュニケーションも、基本はビデオ会議やチャット、掲示板機能などがついた独自開発のWebシステム「Remotty(リモティ)」で行う。

▲Remotty(リモティ) – リモートワークのためのバーチャルオフィス

もともとは自社で使うツールをエンジニアが仕事の合間に作る「まかない」という活動から生まれたもの。

顧客にも評判がよかったため、無料・有料版をWebで提供し、その販売は同社のもう一つの事業の柱になっている。

「Remottyでは、PCに向かって仕事をしている人が常に画面上に表示されます。顔が見えるというのは大切なポイント。メールやチャットよりも在宅状況が確認しやすいので、コミュニケーションのロスが少ない」と倉貫氏。

自社開発のコミュニケーションツールを開発しながら、その使い方のノウハウを蓄積してきた6年間でもあった。

例えば、本社にいる複数人がリアルに会議していて、一人だけリモートで参加すると、リモートの人が孤立しやすい。

しかし、全員でPCとイヤホンを使ってビデオ会議に参加すれば、疎外感がなくなる。リアルに顔を合わせていても、あえてビデオ会議をすることもあるそうだ。

プロジェクト会議の参加者は最大3~4人までと限定。それ以上だと議論が散漫になるし、話題に参加しない人も出てくるからだ。

しかし、自分が関係のない会議でも会話の流れだけは知っておきたいというメンバーもいる。

音声だけ聞くことを同社では「ラジオ参加」と呼ぶ。Webシステムなので会議の録音も簡単。所用で会議に参加できなかった人も、録音ファイルを後から早送りして聞けば、話題に遅れることがない。

社長の朝礼もあらかじめ録音したメッセージを全員のスマートフォンに配信する「社長ラジオ」で行われる。

「Remottyは単なるコミュニケーションツールではなく、私たちのオフィスそのものなんです。だから私たちは、Remottyにログインすることを“論理出社”と呼び、実際のオフィスに出社することを“物理出社”と分けて呼ぶようにしています」

ときにはオフラインミーティング。互いの家族のことを知るのも大切

ソニックガーデンのような働き方は、一般にリモートワークとかテレワークと呼ばれる。
テレワークは離れて働くこと一般を指す言葉。在宅フリーランスへの発注や海外アウトソーシングも一種のテレワーク。

ソニックガーデンの場合は全員が社員として雇用されているので、厳密には「雇用型テレワーク」と呼ぶべきだろう。

倉貫氏は、リモートワークをするようになってあらためてチームワークとは何かを考えるようになった。

「チームワークの本質は、いつでも他のメンバーに相談できるということ。それを可能にするためには、離れていてもほぼ同じ時間帯で働くことや、フリーランサーのような出来高制ではなく給料制で働くという条件が必要になる」

離れて仕事をすることは、必ずしもフェイス・トゥ・フェイスの機会を避けることではない。同社ならではのユニークなオフライン活動として、半年に一度の合宿がある。

本社オフィスに寝泊まりしながら、仕事以外の話もする。みんなが家族連れで集う「家族感謝祭」も年に一度実施している。

「お互いの家族のことまで知っていると、ある人が子どもが急病でと休むと言ったときなど、ああ、あの子が病気なのかと優しく思いやれる」

一人ひとりが離れているからこそ、こうした共感や助け合いの感情は、意図的に醸成する必要がある。それがチームワークを強固にする上で欠かせないのだ。

リモートワークを成功させる4つの秘訣とは

システムさえ導入すれば、どんな会社、どんな業態でもリモートワークは可能なのだろうか。

「私たちがやっているのはあくまでもリモートワークの一つの形態にすぎない。各社いろいろなやり方でできると思う。ただ、共通していることは適切なツールを使うこと。リモートワークを成功させようという、メンバー全員の合意があることが重要です」

さらに、倉貫氏はこれまでの実践をベースに提唱する。

「リーダー自らが実践することが必須です。社長が社員にオフィスに来なくてもいいよと言いつつ毎日会社に顔をだすのでは、メンバーも気が気でない。そして、最後に会社としてリモートワークをルール化、制度化しておくことが大切なんです」

リモートワークは現在の労働基準法が想定していない例外的な働き方だ。だからこそ社内ルールの取り決めが必要なのだ。

倉貫氏は、リモートワークに先進的に取り組む企業と連携して、いま企業へのリモートワーク導入のためのガイドライン作りに取り組んでいる。いずれは厚労省に法制度化を働きかけたいという。

近年、ソニックガーデンに応募してくるエンジニアの多くが地方在住か、あるいはいずれ地元に帰りたいと考えている人たちだ。

「地元に帰っても東京でしていたような仕事があるかどうかはわからない。そこでリモートワークが重要な選択になる。結婚や転職でライフスタイルを変えざるをえなくなった30歳前後のエンジニアたちのリモートワークへの関心は高まっています」

インターネットを使えば、仕事はどこにいてもできる。むしろこだわるべきなのは、生活の場所だ。田舎暮らしがいいというのであれば、それを選び、仕事はリモートワークでこなせばいい。

エンジニアが自分らしい働き方を選ぶ上でも、日本の地方を活性化させる上でも、リモートワークは重要な選択肢の一つになりつつある。

(執筆:広重隆樹 撮影:刑部友康)

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