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竹かごを素地にした「籃胎漆器」 深い墨黒の「錆」が人気

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 漆を木や紙などに塗り重ねて作る「漆器」は、国内外を問わず人気を得ている。なかでも竹細工の持つ粋と漆の持つ堅牢さ、そして、優雅さを合わせ持つ伝統工芸品として注目を集めているのが「籃胎漆器(らんたいしっき)」だ。

「この“籃”は、竹かごのことで、“竹かごを母胎(素地)にして、漆を重ねた漆器”という意味なんです」

 そう話すのは、「井上籃胎漆器」(福岡県久留米市)の3代目当主・井上正道さんだ。その技法は、明治初期に元久留米藩の塗師であった川崎峰次郎が、竹細工師の近藤幸七の作品に漆を合わせたことから生まれたというが、昭和天皇の御大典(ご即位式)に使われた漆器の屏風は、同社初代当主の井上熊吉が製作したものだ。

 素地の竹細工には、地元の真竹を使用。竹の成長が落ち着き、ほどよく乾燥している11~12月に切り出し、節を切り取って保管した後、竹ひごにする。

「手作業で限界の細さまで割った後、専用の機械で紙のような薄さにしています。古い機械なので修理する技術者はいません。機械の調子を見ながら作業をしているんです」

 さらに、その竹ひごを編んで成形した後、堅牢にするための下地塗りをしてから、色漆などを順に8回ほど塗り重ねる。最後に、研ぎ出して竹の編み目を浮き上がらせ、仕上げ塗りをすれば完成だ。

「竹ひご、かご、下地塗り、中塗りなど、ひとつの作業を終えるたびに風で乾かします。自然の力を加えることで趣ある漆器になるんです。25年ほど前に作り出した“錆”という色は、墨黒の深い色合いで、竹の目がくっきり浮き上がる、と人気です」

 軽くて丈夫な籃胎漆器。特別な手入れは必要なく、水で洗い、丁寧に拭き上げるだけで何十年ももつという。日常使いしたい逸品だ。

※女性セブン2016年9月1日号

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