東浩紀が考える日本人の「国民国家再構築」への道

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東浩紀が考える日本人の「国民国家再構築」への道
J-WAVE平日20時からの番組「JAM THE WORLD」(月曜ナビゲーター:津田大介)のワンコーナー「BREAKTHROUGH!」。8月15日のオンエアでは、作家・思想家の東浩紀さんと津田大介が、「国民国家はもはや幻想なのか?」をテーマに語り合いました。

この日は71回目の終戦記念日。日本に限らず世界中で、いわゆる戦後に築かれてきた社会秩序が変わろうとしているということで選ばれた、このテーマに、「国民国家はそもそも幻想なんです。それでも幻想だからいらない、という話にはならない」と東さん。

グローバリズム、EU、ヘーゲル哲学など話題が多岐にわたったなか、東さんが日本型のコミュニティの再構築のためのキーワードとして重要だと考えているのが、カタカナで書く“イエ”と“日本型の会社”とのこと。これについて聞いてみると「今、『会社が重要』と言うと…叩かれる感じもしますが(笑)」と前置きしながらも…

「“家”というと家父長的なお父さんがいて、非常に閉鎖的な組織というイメージがあると思いますが、“イエ”というのは、昔、西日本に氏(うじ)という血縁制度があって、それに対して東日本で『“イエ”という形だけを守るためだけに作られた、すごく柔軟な制度』という主張の本があって。その本では“イエ”というのは血縁主義じゃないわけです。

“イエ”を守るのが大事なので、養子もどんどん取るんですね。長男がダメな奴だと、どんどん追い出すわけですよ。“イエ”という単位は、産業の単位、つまり今でいう会社なんですね。“イエ”というシステムがあったからこそ明治以降、日本は非常に速やかに資本主義に対応できたと言われているんです」

と東さん。

しかし、この書籍は日本が経済的に強かった時代に「その謎を解き明かす」という形で作られたものだということもあり、「そこはある程度、差し引かないといけない」としながらも、「日本において戦後なぜ、会社というものを中心にして、さまざまな社会措置が作られていたか…ということを考えると、当時は、会社というのが“短期雇用の雇い主”というものではなくて、社員の福利厚生や、生き甲斐なんかも与えるような、非常に多様な機能を持ったコミュニティだったんですね」と続ける東さんに、津田も「それを維持する知恵として、年功賃金とか生涯雇用などがあったわけですね」と重ねました。

東さんによれば、企業がそこまで社会的に多様な役割を担うことは、ほかの先進国では起きていないそうです。しかし、「それは日本の強さでもあるけど、経済状況が変われば逆に、それが若い労働者にとっては非常に抑圧的に見えたり、いろいろな弊害も出てくる」ということから「イエ=会社」ということを、東さんは必ずしも肯定はしてはいないそうです。

ただ、今の日本人の社会は

・地縁がほとんど無い
・宗教も無い
・日本民族そのものが、血縁が非常に弱い

ということから、「動員できる共同体のきっかけというのが無くて、戦後日本において非常に大成功していた『イエ=会社』というのを、今の21世紀において、弊害を取り除きながらどのように再生するのか、ということは社会思想的に考えていいでしょう」と語る東さん。

ここまでの東さんの話を聞き「こういったグローバリズム時代に対応した、新しい“イエ”というか、共同体のような会社…半分公的な機能を持った会社や、公と民の中間団体みたいなものを充実させることが、これからの日本の生きる道なのかな、と思いました」と、まとめながら感想を伝える津田でした。

あなたは、どう考えますか? さまざまなゲストを迎える「BREAKTHROUGH!」は、平日20時55分頃からのオンエアです。どうぞお楽しみに!

【関連サイト】
「JAM THE WORLD」オフィシャルサイト
http://www.j-wave.co.jp/original/jamtheworld/

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