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宮崎県の超ローカル柑橘「へべす」が、ナゼか東京・吉祥寺で大流行している!

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「かぼす」「すだち」とも違う柑橘

こんにちわ。メシ通レポーターの塩月です。

皆さん、「へべす」って知っていますか?

宮崎県北部の街、日向市特産の香酸柑橘で、レモンやゆず、かぼす、すだちの仲間です。初夏から秋にかけてが収穫期で、ちょうど8月から露地ものが出回り始めます。

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▲これが露地ものの「へべす」です。

私、宮崎県出身ですが、「へべす」といえば、日向市の平兵衛さんが木を見つけたとかなんとかで、県内でもさらにローカルなイメージのある食材です。

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▲見てのとおり「すだち」や「かぼす」とも似て非なる柑橘なのです(写真提供:日向市消費拡大プロジェクト)

JA日向からは「酢ミカン」という摩訶不思議な別名でも呼ばれるこの「へべす」、なんと東京の住みたい街ランキングで常にトップを争う、あの吉祥寺で流行っているというのです!

メニューには本当に「へべす」の名が

宮崎県のローカル柑橘が、あの吉祥寺で……!?

信じられません。さっそく調査に行って参りました。

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うかがったのは、JR吉祥寺駅から徒歩5分圏内にある鴨料理店「藁ウ鴨ニハ福来ル」

店内に入りメニューを見ると、ありました!

「へべすサワー」(500円)に「へべすハイボール」(550円)!

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何食わぬ顔でサワーの王者「生レモンサワー」をしのぐ位置に書かれているではありませんか。

え、そんなに厚遇されてるの? 正直、宮崎県の繁華街でもそんなに特別扱いされていなかったような気がするんだけど……。

遠い記憶をたどりつつ、店内を見渡すと、常連さんらしき男女3人が「私、へべすー」と慣れた様子で頼んでいるではありませんか。

なぜに宮崎からはるか遠く離れた吉祥寺で、「へべす」が市民権を得ているのか!?

「それは私たちが持ち込んだからです!」

理由を聞かせてくださったのは、吉祥寺の「へべす」ブームの仕掛け人、松江勇武さん(写真右)と松木雄一さんです。

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「HEBESU」(ちょっとイメージを変えてアルファベットにしました)に恋して、地元・吉祥寺の皆さんに、もっと「HEBESU」を味わってほしいと、2014年には「へべす」専門の卸販売売会社「まるへ」まで立ち上げてしまったお二人。

宮崎県日向市の提携農家から、いまや年間2トン近くを吉祥寺のハモニカ横丁を中心に、約50店舗の飲食店に卸しているそうです。

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▲年に数回、都内でのマルシェでも「へべす」を販売するという松江さん

いやー、『メシ通』編集者Mさんに聞くまで全く知らんかった。

「へべす」、すごいがね!

肉にも魚にも相性抜群!

さて、仕掛け人のお二人にエピソードをうかがう前に、実際にこのお店で「へべす」がどのように使われてるのか、いくつかメニューを頼んでみました。

まずは、「へべすサワー」(写真右)と「へべすジュース」(写真左)。

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お~。サワーを一口飲むと、爽やかな酸味と香りが口から鼻に抜けます。でも酸っぱすぎず、後味の切れもいいです。

「ヘベす」はドリンクだけでなく、料理にも。

たとえば、日替わりメニューにあったのは「カツオとスライスオニオンにヘベすのジュレ」(600円)!

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カツオのたたきといえば高知県の郷土料理。ニンニクスライスと醤油が定番で、しかも同じ四国・徳島県のすだちエリアの料理ではないですか。

四国人が見たら怒りださないか、周囲を気にしてこわごわ食べると……う、うまい!

「ヘベす」の酸味がカツオの生臭さを消して、ねっとりとした魚の赤身のうま味を引き立てます。マヨネーズ風味のやや甘めのソースとの相性もいいです。

ほかにも「へべすのジュレ」は、さまざまなメニューに登場していました。

焼いた鴨肉とネギに薬味として合わせるのは……。

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▲藁焼き鴨しゃぶ 1人前2580円〜

「へべすのジュレ」!

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ちなみに、鴨肉メニューはまだまだあります!

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さっと湯をくぐらせた鴨肉のしゃぶしゃぶにも、「へべすのジュレ」を合わせて。「へべすサワー」も、脂っぽい料理との相性が良いようです。

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「へべす」よ、いい働きをしているじゃあないか。

今やハモニカ横丁の“新名物”に

「へべす」を使ったお料理と飲み物を堪能したところで、ブームの仕掛け人である松江さん&松木さんにお話をうかがいました。

吉祥寺での「へべす」ブームのきっかけは3年前にさかのぼります。父親が「ヘベす」栽培の発祥地出身だという宮崎県日向市出身の松木さんが、夏の帰省から露地ものの「へべす」を松江さんに郷土土産として渡したのが始まりだったといいます。

夏に戻るときはいつも自分用にたくさん買って帰るので、地元のおすすめのものを日ごろからお世話になっている松江さんにお渡ししたい、そんな軽い気持ちでした。(松木さん)

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▲「身近すぎて、『へべす』の魅力にはなかなか気づかなかった」と語る松木さん

「へべす」の土産を受け取った松江さん。競争の激しい吉祥寺で勝ち抜いてきた飲食店経営者の勘が、すぐさま反応します。

「ヘベす」の名前は聞いたこともなく、目にするのも初めてでした。ちょうどお店にいたので、すぐに1個を切ってサワーに入れて飲んでみたら、香りがすごく良かった。酸味のパンチがあり、コクと甘みもある。そばにいた何人かの常連客にも飲んでもらったら、反応も上々で。これは間違いない、お客さんとのコミュニケーションツールにもなる、と若手の飲食店主の仲間にも持っていきました。(松江さん)

松江さんの吉祥寺での人望もあり、「へべす」は一気にハモニカ横丁に広がっていきます。

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▲「出会った当初から手応えを感じていた」と松江さん

「まるへ」の代表取締役である松江さんは振り返ります。

2015年でしょうか。ハモニカ横丁の一角にある小さな店の前で5、6人のお客さんが飲んでいるのをたまたま目にしたんですけど、その人たちのグラスがすべて「へべすサワー」だったんです。それを見たとき、ぞくっとしましたね。あ、もうこんなに広がってるんだって。いまでは、こうした飲食店の方々、一軒一軒の取引先に迷惑がかからないように、しっかり仕入れないといけないという責任を感じています。

吉祥寺での「へべす」ブームは、夜のハモニカ横丁にとどまらず、吉祥寺の若い母親たちの間にも広がりを見せています。

理由は、皮が薄い「へべす」は、防腐剤が散布できないから。皮ごと使える「ノーワックス柑橘類」として健康に敏感な母親たちの関心を集め、いまでは、メロンパンならぬヘベすパンを夏季限定で販売するパン屋もあるほどだといいます。

なんかうれしいなあ。故郷の友が知らないうちに東京で活躍しているのを知ることができたような、心がほっこりする夜でした。ほかのお店でも「へべすサワー」を一杯。

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うーん。うまい。はまりそう。でも、うちの近所のスーパーには「へべす」は入荷していないんだよなあ。

JA日向によると例年、宮崎県外に出荷される「へべす」は露地もののみで関東と関西合せて年間10トンほど。JAに出さず直接納品しているところを含めても、東京で購入できる場所は限られていて、だからこそ、あちこちのお店で飲める吉祥寺は貴重な“へべすヘブン”になっているのです。

「まるへ」の松江代表によると、今年の露地ものは8月の第1週目に入荷予定。吉祥寺のあちこちで、「へべす」入りのグラスを傾けるお客さんの姿を目にする機会が増える見込みです。

さらに時期は未定ですが、より独創的な「へべす」メニューを作った飲食店に贈られる初の「へべすアワード」も計画されているそうです。

これから数カ月かけて、どんな新メニューが登場するのか。本拠地・宮崎県日向市をしのぐ熱い“HEBESU愛”に沸く吉祥寺。

今夏は夜な夜な通ってしまいそう~!

お店情報

藁ウ鴨ニハ福来ル

住所:東京都武蔵野市吉祥寺南町2-8-8

電話番号:0422-24-9383

営業時間:17:00~24:00(LO 23:30)

定休日:無休

※金額はすべて消費税別です。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

書いた人:塩月由香(しおつき ゆか)

塩月由香(しおつき ゆか)

1977年生まれ。宮崎県出身。自称、日本で一番諦めの悪い一人社会部ライター。学生時代を阪神淡路大震災後の神戸で過ごす。卒業旅行は日本縦断。13年連続新聞社受験落ちの偉業あり。それでもパソコンメーカー勤務などを経て新聞社、週刊誌、月刊誌で計8年の記者経験を積みフリーランスに。コスパが高くて美味しいものに出会うと店の心意気に感動して人に伝えたくなる。好物は魚。

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