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リオに行くことを"国が"おすすめしないって?

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 リオ・オリンピックが開催され、特にリオとの時差は12時間となっていることから、応援するために寝不足になってしまったという人は多いのではないでしょうか?
しかし、現地まで旅行すれば時差なんか関係なく、思い切り楽しめる環境が手に入ります。ところが、外務省の海外安全ホームページで、ブラジルの「海外安全情報」を見るとブラジル全土に危険情報として、「レベル1:十分注意してください」との表示がなされているのを確認できます(2016年8月8日時点)。

 この「十分注意してください」というのは、「渡航・滞在に当たり特別な注意が必要な場合に発せられる」ため、穏やかではない内容です。
 さらに言えば、レベル2では「不要不急の渡航は止めてください」、レベル3では「渡航は止めてください(渡航中止勧告)」、レベル4では「退避してください。渡航は止めてください(退避勧告)」となります。高レベルでは、外務省が全力で引き止めています。

 外務省が”勧告”と名のつくものを出すわけですから、法令による根拠があって、強制力を持つものかと思いきや、実はそうではありません。あくまで、行政側からの「情報提供」としての位置づけです。
 したがって強制力はありませんし、根拠となる法令もありません。

 というのも、背景には憲法上の権利として、国民には「海外渡航の自由」(憲法22条などが根拠とされる)が保障されており、法による規制は控えなければならないという考えがあるためです(もっとも、渡航に際してパスポートが必要であったり、パスポートの発給制限があるのは合理的な制限として認められているのが実情です)。

 もっとも、この危険情報、強制力はないといっても、外務大臣の命令でパスポートの返納を命じる(旅券法19条1項4号)根拠にもなりえます。
 また、海外旅行の企画を行う旅行代理店は、危険情報のレベル3以上が発せられると、パッケージツアーの催行中止などを行うため、実際上の影響はあると言わざるを得ません。

 しかしながら、基本的に法的強制力はなく、あくまで情報提供の一貫ですので、外務省でも『法的な強制力をもって皆様の渡航を禁止したり、退避を命令したりするものではありません。同様に旅行会社の主催する旅行を中止させる効力もありません』と明言しています(参照)。

 にもかかわらず、国民はわがままなようで、『旅行会社によっては,外務省の危険情報のレベルに応じて,企画旅行の旅行の取り止めや顧客からのキャンセル料徴収の要否を決めているようですが,これらは旅行会社が自らの判断で行っていることです。 国民の皆様から外務省に対して,「危険情報のレベルが低いから旅行会社からキャンセル料を取られてしまう。レベルを上げて欲しい」といった要望や照会が度々あります』との記載もあります(参照)。

 外務省も適切に情報提供をしよう、国民の安全を確保しようとして呼びかけているにもかかわらず、こんな反応が来るとは。ちょっと同情してしまいますね。
 現地で観戦、応援を出来る方は大変うらやましく思いますが、旅行の際は、こうした情報をしっかりと把握して、安全に旅を楽しんでいただきたいものです。

元記事

リオに行くことを”国が”おすすめしないって?

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