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トーク番組はオワコンか さんまのまんま終了に見る苦境

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 インタビュアーがゲストと1対1で話を展開するトーク番組がめっきり減っている。明石家さんまが司会を務める長寿番組『さんまのまんま』(フジテレビ系、関西テレビ)も長い歴史の幕を下ろすことに。トーク番組はもう終わりなのか? 減少している背景と、その新潮流についてテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。

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 先日、約31年半に渡って放送されている『さんまのまんま』の終了が明らかになりました。今後は特番として年2回程度の放送を予定しているそうですが、トーク番組の定番でファンも多いだけに、寂しさは否めません。しかし、ネット上には、「話を聞くだけのトーク番組なんて時代遅れ」「もはやオワコン。終わって当然」という否定的な声も上がっていました。

 レギュラー放送終了の理由は、番組の内容ではなく制作費。司会の明石家さんまさん自ら、「もう制作費が出ないんですね。今の放送局は不景気だから。俺、ギャラが高いねんな。頑張って下げたりもしたんですけども、もう下げ切れずという感じ」とラジオ番組で明かしました。

「それなら、もっと制作費の高いゴールデンタイム(19~22時)に放送すればいいのに」と思いがちですが、そう簡単にはいきません。現在のゴールデンタイムには純粋なトーク番組がなく、『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)や『ダウンタウンDX』(日本テレビ系)などのひな壇に多くのタレントが座るグループトークばかり。

 司会者がインタビュアーになって話を聞き出すのではなく、あらかじめ用意された台本に沿ってエピソードを披露していく形式のため、深く掘り下げた話が聞けたり、思わぬ一面が発掘されたりするシーンはほとんど見られません。

 もう1つ、ゴールデンタイムで目立つのは、『ぴったんこカン・カン』(TBS系)や『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)のような、街ぶら、グルメ、お酒を絡めたトーク番組。かつてのように、トークだけで視聴者を魅了するカリスマ性や話術を持ったタレントがいなくなったため、テレビ業界の鉄板コンテンツである「街ぶら、グルメ、お酒を絡めて、何とか視聴率を稼ごう」と苦心しているのです。

 1人のゲストを招いてのトーク番組は、22時台の『おしゃれイズム』(日本テレビ系)と23時台の『A-Studio』(TBS系)くらいですが、どちらのゲストもドラマ・映画・舞台の宣伝絡みがほとんどで、トーク内容は必然的にそれらが中心。その他では、“変人”にフィーチャーした『アウトデラックス』(フジテレビ系)と『有吉反省会』(日本テレビ系)がありますが、この2番組は「ここまでぶっ飛んだ内容でなければ、ゲスト1人のトーク番組は難しい」ということを表しています。

 しかし、「純粋なトーク番組がなくなってしまったのか? 本当にオワコンなのか?」と言えば、そうでもありません。土曜朝放送の『サワコの朝』(TBS系、毎日放送)と『あさイチ』(NHK)の金曜コーナー「プレミアムトーク」は、宣伝絡みのゲストこそいますが、司会者がインタビュアーとなってゲストの人となりを引き出す、良質なトーク番組。

 ともに朝の時間帯に放送されていますが、仲のいいタレント3人がフリートークする『僕らの時代』(フジテレビ系)も含めて、他番組やネットではお目にかかれない素顔が見られるため、密かに人気を集めています。

 さらに、昼の時間帯に目を移すと、『徹子の部屋』(テレビ朝日系)、『スタジオパークからこんにちは』(NHK)の長寿番組が今なお健在。往年の名タレントや中堅俳優など、夜の時間帯には見られないゲストも多く、時間をたっぷりかけて話を引き出しています。

 つまり、現在のトーク番組は、「朝・昼はじっくりトーク。夜はトーク+エンタメ(グループか街ぶら・グルメ・お酒)」という形に二分化されている、ということ。いずれも限られた制作費の中で、「どんなゲストを呼ぶか」「どんなトーク内容にするか」、それぞれ試行錯誤している様子がうかがえます。

 パソコンやスマホが普及して“ながら視聴”が普通になり、「しっかり話を聞いてもらわなければいけない」トーク番組にはつらい時代になりました。だからこそ、パソコンやスマホの手を止めさせるような、「この番組でしか聞けない」希少性の高いトーク内容が求められています。

【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本前後のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』『TBSレビュー』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。

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