スーパー・ササダンゴ・マシンさんに聞く! 周りを引き込むパワポの作り方
「煽りパワポ」なるプレゼンパフォーマンスの存在をご存じでしょうか。ネット上で話題を集める煽りパワポとは、覆面レスラーのスーパー・ササダンゴ・マシンさん(以下、ササダンゴさん)が、試合前にプレゼンし、対戦相手を煽るというもの。
本来、プロレスにおける対戦相手への「煽り」は、リング上のマイクパフォーマンスやVTRで行われますが、ササダンゴさんはそれを入念に作り込んだパワポで行うのです。2014年6月29日に開催された「DDT後楽園ホール大会」での煽りパワポは、YouTube(※1)での再生回数が32万回を突破。観客を大爆笑させるだけではなく、ひと目で伝わる図やイラストで、説得力(?)も抜群でした。
※1 参考:2014年6月29日DDT後楽園ホール大会「スーパーササダンゴマシン 煽りパワポ」
社会人向けにDVD『スーパー・ササダンゴ・マシンによるコミュ障サラリーマンのためのプレゼン講座』を発売するなど、プレゼンが得意技というササダンゴさんですが、実はこの春、新潟大学大学院技術経営研究科を卒業されました。学業とプロレスを両立させながら、数々のプレゼンを行ってきたササダンゴさんに、「聞き手を引き込むパワポ資料の作り方」を伺いました。学生のみなさんもゼミのプレゼンの参考にしてみてくださいね。
A4用紙1枚にざっくり構成を書き出してみる
──プレゼンでキモになるのはパワポ資料。作り始める前に事前準備としてやっていることを教えてください。
ササダンゴさん(以下、ササ) 何枚のパワポであっても毎回、A4用紙1枚に構成を書き出しています。それを誰でもいいので、第三者に見てもらう。DDT(DDTプロレスリング)の試合で使うパワポであれば、DDTのスタッフにチェックしてもらいます。
──意見をもらって適宜加筆修正し、ブラッシュアップする、ということですね。
ササ ええ。何かしらフィードバックをもらって、必要があれば資料に反映します。大学生の方であれば、クラスメイトやゼミの仲間に見てもらうのがいいと思いますよ。とくにゼミだと、みんな同じテーマでやっているわけですから、ベースに共通認識がありますしね。一方で、見ず知らずの方から先入観のないコメントをもらいたいなら、「ニコナレ(※2)」など、ネット上のプレゼン共有サービスを使うのもおすすめです。スライドをアップしたら、実際に音声をつけて、ユーザーに対してプレゼンもできるんですよ。たくさんコメントが書き込まれるのはありがたいですよね。
※2 参考:「Negicco 〜もし新潟のローカルアイドルがドラッカーの『イノベーションと企業家精神』を読んだら」
http://niconare.nicovideo.jp/watch/kn1621/
プレゼン中、聞き手に影響を与えるのはパワポ資料
──周りに確認してもらったら、いよいよパワポ資料の作成に入っていくわけですが、枚数や時間で意識していることはありますか?
ササ スライドは多くても20〜30枚でおさめるようにしています。20枚でも十分多いですけどね。個人的には、もっと短くてもいいと思います。20枚のスライドなら、5分間を目安にプレゼンを終わらせるよう心がけています。
──パワポ資料に載せる言葉や実際に読み上げる言葉選びで、大事にしていることはありますか?
ササ プレゼン中、人が見ているのは基本、パワポ資料なんですよね。説明を聞くよりも、資料を見ている。
──確かに……。プレゼンは「話を聞く」というより「資料を見る」みたいな感覚がありますね。
ササ 「メラビアンの法則」ってご存じですか? 話し手が聞き手に与える影響力は、視覚情報(見た目、表情、しぐさなど)が55%、聴覚情報(声の大きさ、声の質、話し方など)が38%、言語情報(言葉の意味、話の内容など)が7%らしいんです。
──見た目と話し方でプレゼンの成否はほぼ決まる、と。
ササ そうです。ですから、パワポ資料に書いてある言葉そのものよりも、全体の見え方、見やすさが大事なんですよね。大学院の先生にも「とにかくわかりやすい資料を」と教わりましたけど、ぼくはフォントの種類は創英角ゴシック、サイズは36ptか48ptを使っています。20pt以下のサイズなんて、引用以外、原則使っちゃダメ。教室の最後列の人は見えませんから。あと、いろいろなフォントを使うのではなく、創英角ゴシック1つだけ。斜体も使わなくていいです。
──複数のフォントが入り混じっていたら、見る側も目が疲れますよね。
ササ 「見やすさ命」ですからね。そういう意味で、3行以上の文章は書きません。多くても2行にしたり、中黒(・)を使ったりして、端的にまとめる。載せ切れない言葉は口頭で補えばいいんです。
フリーの写真素材よりも手描きのイラストを取り入れて
──図表に関してはいかがですか?
ササ 参照ページからそのまま持ってこないことですね。自分が言いたいことを強調するためにグラフを作り直すというか、見せ方を変えるんです。たとえば「体脂肪率3%減」を表すときに、0から30までの目盛り上で見せても、あまりインパクトはありません。それを20から30までの目盛り上で見せると、3%のインパクトが大きく見えませんか? まるで30%減くらいの衝撃ですよ。
──確かに! プレゼンは「見た目が重要」ですから、いかに「おお!」と引き付けられるものを作るか、なんですね。画像についてはどうでしょうか? ササダンゴさんはイラストを多用されていますが。
ササ ぼくが写真ではなく、あえてイラストを使うのは、写真だと情報量が多すぎるから。見る側としては何に注目すればいいのか、わからなくなってしまいます。学生さんにもイラストはおすすめです。イラストにしたいものを見つけたら、写真を撮って、それを元にイラストを描いてみてください。皆が見慣れているフリー素材よりも手描きのイラストのほうが、何倍も味わいがあっていいですよ。
──もうひとつ、伺いたかったのはテンプレート。ササダンゴさんのはオリジナル、ですよね?
ササ オシャレでしょう(笑)? 自分用に作ってもらいました。既存のデザインテンプレートは使っちゃダメですからね!
──使っている人はたくさんいそう……です。
ササ 大学の先生なんて、既存のテンプレートを相当見飽きていますよ。パワポ資料を一番よく見ているのは先生ですからね。大学生なら、大学のロゴを入れたり、ぼくのパワポみたいに「枠」みたいなものを作ったりすればいいと思います。枠くらいなら、簡単に作れるはずですよ。プレゼンは「聞いてもらう」ではなく「見てもらう」もの。ですから、視覚情報に働きかけられる、魅せるパワポ資料を作ってくださいね。
■プロフィール
スーパー・ササダンゴ・マシン @abulasumasi
1977年、新潟県出身。早稲田大学在学中からDDTプロレスリングに参加し、2004年マッスル坂井としてデビュー。2010年に現役引退したものの、2012年スーパー・ササダンゴ・マシンとして新潟プロレスに参戦。「新潟在住の謎のマスクマン」としてDDTプロレスリングにスポット参戦するなか、「煽りパワポ」が話題に。Eテレ『NHK高校講座 社会と情報』にレギュラー出演するなど活躍の幅を広げている。現在、DDTプロレスリングに準所属しながら、実家である坂井精機株式会社の専務取締役を務めている。
公式HP:http://www.shochikugeino.co.jp/talents/10/supersasa.html
Twitter:https://twitter.com/abulasumasi
DVD『スーパー・ササダンゴ・マシンによるコミュ障サラリーマンのためのプレゼン講座』
http://hp.ponycanyon.co.jp/short/sakuhin/PCBC000011194/
東京・両国国技館「両国ピーターパン2016~世界でいちばん熱い夏~」
2016年8月28日(日) 開場12:30 開始14:00 @東京・両国国技館
http://www.ddtpro.com/ddtpro/33603/
構成・取材・文:池田園子 撮影:鶴田真実
“学生生活がもっと楽しくなるお役立ちマガジン” をコンセプトに、ニュースやコラムをお届け。バイトの探し方、履歴書の書き方、面接のコツなどのノウハウ情報や、インタビュー記事、おもしろコラムを配信中。
ウェブサイト: http://www.froma.com/contents/
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。