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安倍首相主張の憲法改正の手口はナチスと同じと大前研一氏

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 改憲論議が高まっている。安倍晋三首相は憲法審査会での議論を優先するというが、すでに「第9条」や「緊急事態条項」などについて詳細な改憲草案を出している自民党が“数の力”で議論を主導していく可能性は高い。最新刊『君は憲法第8章を読んだか』が話題の大前研一氏が、安倍首相が唱える憲法改正のやり方について警鐘を鳴らす。

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 安倍首相は憲法改正に向けて、第1次政権時代に国民投票法を成立させ、昨年は安保関連法を強行採決した。そして今夏の参院選で改憲の発議に必要な3分の2以上の議席を改憲勢力で確保した。この勢いで一気に改憲へ、と考えているかもしれないが、「Gゼロ」時代(※)になった今こそいったん立ち止まってアメリカとの戦後70年を再考し、国際社会の中で日本はどうあるべきかということを、もっと真摯に議論しなければならない。

【※「Gゼロ」時代/アメリカの政治リスク分析の専門家イアン・ブレマー氏が提唱している概念。東西冷戦時代のG2(アメリカとソ連)、冷戦終結後のソ連崩壊によるG1(アメリカ一極支配)を経て、G7もG20も機能しなくなり指導国が存在しなくなった現在の国際情勢を指す】

 もともと安倍首相は「戦後レジームからの脱却」を主張していた。しかし、アメリカとの関係を見直すことの難しさに直面し、中国、韓国との関係悪化を経て結局、アメリカにすり寄った。

 昨年4月、連邦議会上下両院合同会議の演説で「日本にとって、アメリカとの出会いとは、すなわち民主主義との遭遇でした」などと歯の浮くようなおべんちゃらを言ったのは記憶に新しい。要するに安倍首相は、実は腰が定まっていないのである。だから現在の日本の状況は、なおさら危険だと思うのである。

 安倍首相は2014年の衆院選、そして今夏の参院選で国民の信任を得たと言う。実際は民進党などの野党が自滅しただけだが、選挙での勝利を、安保関連法やアベノミクスなどの“錦の御旗”にしている。

 実はこのやり方は、かつてのナチス・ドイツと同じである。ナチスのアドルフ・ヒトラーも国民が困窮する中で失業・景気対策や移民排斥を訴え、選挙のたびに国民の支持を拡大して強大になっていった。

 やはり自民党の憲法改正草案に盛り込まれて改憲の焦点となっている「緊急事態条項」は、まさにナチスを彷彿とさせる。

 その中では、我が国に対する外部からの武力攻撃や大規模な自然災害などが起きた時に首相が緊急事態を宣言すれば、内閣が法律と同じ効力を持つ政令を定めたり、首相が財政上必要な支出を行なったり、地方自治体の長に対して必要な指示をしたりすることができ、国民は国や公の機関の指示に従わなければならないとしている。
 
 これは1938年に制定された「国家総動員法」のようなもので、すこぶる危険だ。現在のドイツにも緊急事態条項があるというが、ナチス台頭の反省に基づいて厳しい条件が付いており、自民党の憲法改正草案とは似て非なるものである。

※週刊ポスト2016年8月19・26日号

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