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法テラスに報酬不正請求した弁護士が懲戒処分

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法テラスに報酬不正請求した弁護士が懲戒処分

 東京弁護士会は依頼人から着手金を不当に受け取ったとして、テレビ番組で活躍する女性弁護士を、業務停止1カ月の懲戒処分にしました。
 弁護士会によると、女性弁護士は平成22年10月、養育費請求の依頼を着手金17万8500円などで受任。代理援助制度においては、法テラスは経済的に余裕のない人のために弁護士や司法書士の費用の立替を行うことをしています。
 この制度を利用する場合は、弁護士は立替分以外の金銭を受領してはいけないことになっているのですが、当該女性弁護士は立替分以上の着手金や顧問料を受領していたとのことです。
 弁護士の懲戒処分と言われても、軽いのか重いのか、いまいちよくわからないという方も多いのではないでしょうか。今回は、弁護士の懲戒処分とはどのようなものなのか、みてみたいと思います。

 戦前は司法大臣が弁護士に対する監督権をもっていましたが、対立する検察官や裁判所の請求によって弁護士の懲戒がなされ、その結果として多くの政治犯や思想犯が投獄されたという過去に反省し、現在は弁護士で組織される弁護士会のみが弁護士への懲戒を行うことになっています。

 弁護士に対する懲戒請求は、日本弁護士連合会(日弁連)の下にある各弁護士会が受け付けをして、まず、綱紀委員会による調査がなされます。
 綱紀委員会の調査の結果、懲戒委員会の審査が必要と判断されたときは、懲戒委員会が懲戒の要否とその内容を決めます。これらの調査・審査はいずれも非公開で行われます。
 弁護士会の判断に不服があるときは、さらに日弁連に対して異議の申出をすることができます。

 弁護士の懲戒事由としては、弁護士法に「この法律又は所属弁護士会若しくは日本弁護士連合会の会則に違反し、所属弁護士会の秩序又は信用を害し、その他職務の内外を問わずその品位を失うべき非行があつたとき」と定められています(法56条)。
 そして、その懲戒の種類については、弁護士に対するものとして、

(1)弁護士に反省を求め諌める処分である「戒告」
(2)2年以内の「業務停止」
(3)弁護士としての身分を失って弁護士としての活動はできなくなりますが弁護士となる資格は失わない「退会命令」
(4)弁護士としての身分を失って弁護士としての活動ができなくなるだけでなく、3年間は弁護士となる資格を失う「除名」
の4つがあります(法57条)。
 なお、弁護士に対する懲戒の請求は事件の依頼者や相手方などの関係者にかかわらず誰でもすることが出来ます(法58条)。

 今回の女性弁護士に対する懲戒処分は「業務停止」です。
 一見軽いようにも見えますが、この「業務停止」は、期間中弁護士業務が一切出来ませんので、受任している事件の代理人を全て辞任しなくてはならず、また顧問契約も解除する必要があります。
 また、業務停止には、法律事務所の看板等の撤去、弁護士の肩書の入った名刺等の使用禁止、ホームページの閉鎖なども含まれるため、かなり重い処分と言えるでしょう。

 日弁連が発表している「2015年懲戒請求事案集計報告書」によれば、2015年に懲戒請求が2681件あった中、懲戒しない2191件、戒告59件、業務停止30件、退会命令5件、除名3件、というデータからも、「業務停止」処分の重さがうかがえます。

 女性弁護士は「制度の内容をわかっていなかった」と述べているそうですが、どのような理由であれ、弁護士への信頼を揺るがせてしまったことには変わりありません。
 弁護士を信頼して相談してくださるお客様のためにも、真面目に業務を行っている多くの弁護士のためにも、今後は全力で信頼回復に努めていただきたいと思います。

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法テラスに報酬不正請求した弁護士が懲戒処分

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