“暴走シニア”になる前に、誰でも気づきが得られる心理テクニック「エンプティ・チェア」

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“暴走シニア”になる前に、誰でも気づきが得られる心理テクニック「エンプティ・チェア」

「シニア」と聞くと、皆さんはどんなイメージを持たれるでしょうか? 団塊世代によく見られる趣味やレジャーを人一倍楽しむ「アクティブシニア」、あるいはプロゴルフの「シニア大会」などを思い浮かべる人もいるかもしれませんが、これらはいずれも「年長者」「中高年」といった意味合いを持ちます。

 しかし、「英語でseniorというと、確かに年長の意味だが、同時に上級という意味もある」と話すのが、三菱自動車やAIG、ゼネラル・モーターズなどといった名だたる大企業でマネジャー職を歴任してきた小屋一雄さん。

「日本のシニアは、単なる高齢者ではなく、人生の上級者として世の中にもっといい影響を与えられるはずなのに、『シニア』という言葉のニュアンスがそれを阻んでいるのではないか」との思いから、小屋さんは6月、書籍『シニアの品格』を上梓しました。

 同書は、ビジネスマンとして輝かしい経歴を持ちながらあるつまずきで出世コースから外れてしまった主人公・東条進一(59歳)が、「古井戸よろず相談」を行う老人・奥野と出会い、対話をしながらシニアとしての品格とは何かを見出していくストーリー。

といっても完全なるフィクションではなく、ビジネスの世界で活用されている「ポジティブ心理学」や「ストレングス理論」を基に、仕事、人づきあい、そして生き方のヒントを提示する実用的な内容になっています。また、物語の最後には2人の関係に変化が訪れ、涙せずにはいられない場面も……。

 そんな本書の中で紹介されている、すぐにでもできる他者理解のための手法が「エンプティ・チェア」というもの。2つの椅子を用意し、誰も座っていない方の椅子に自分が座っていると仮定。そして、もう一方に座っている自分は、気持ちを知りたいと考えている他者になりきり、空の椅子にいる”見えない自分”に語りかけることで相手の立場が理解できるようになるという、ゲシュタルト療法(心理療法)の1つです。

 ストーリーの中では、奥野老人が東条を演じ、そして東条は会社の年下の上司や自分の妻の本音を知るためにエンプティ・チェアを体験します。他者の気持ちになってみた東条は、ちょっと付き合いづらいと感じている年下の上司については「本当は自分に助言を求めたいのかもしれない」と気づき、奥野に「昔から『人の立場に立ってものを考えろ』ってよく言われましたけど、どうしたらできるのかは誰も教えてくれなかった。今日初めてそれを教わった気がします」と心境を吐露します。

 誰しも持つ「思い込み」が人間関係の妨げになったり、さらには、周囲に迷惑をかける”暴走シニア”となってしまう原因ともなり得ます。しかし、本書の東条が気づきを得たように、ちょっとした工夫で思い込みから抜け出せられれば、本当の品格が身につける第一歩となりそうです。

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