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耐震性は大丈夫!? 「瓦屋根」の魅力と注意点とは

耐震性は大丈夫!? 「瓦屋根」の魅力と注意点とは

2度の震度7に見舞われた熊本地震では住宅の倒壊が目立ちました。全壊した瓦屋根の家の映像などによって、「瓦は重いから地震に弱い」という印象をより強くした方は少なくないかもしれません。でも本当にそうなのでしょうか? 瓦屋根の家に住む人、新築やリフォームを考えている人にとって気になる耐震性。この機に改めて瓦屋根の利点や注意点について知っておきましょう。

主犯は瓦屋根ではない! 倒壊の主な原因は構造躯体と地盤の弱さ

「瓦は重いから他の屋根材に比べて耐震性が低い」といった風評がよく聞かれますが、本当に屋根材の違いによって家の耐震性に差が生じるのでしょうか? 屋根と耐震性について、一般財団法人全国工務店協会(JBN)の政策調査委員で、坂下工務店社長でもある坂下託一さんに伺いました。

「屋根の重さによって家の耐震性が変わることは確かです。家の構造が同じ場合、屋根が軽ければ軽いほど建物の揺れは小さくなります。しかし、『瓦屋根だから倒壊する・軽い屋根だから倒壊しない』ということではありません。問題は建物の構造なのです。先日、熊本地震の状況を視察しましたが、倒壊している家のほとんどは構造が脆弱な家や地盤の弱い土地に建っていた家ばかり。地震に弱い原因は屋根だけにあるのではないのです」(坂下さん)

「脆弱な構造とは、[壁の量が少ない][梁が太くない][基礎が堅固でない][開口部の位置やバランスに偏りがある]ということ。こうした構造では、いくら屋根が軽くても揺れが大きくなります」(坂下さん)

また、屋根も含めて建物全体が強固に一体化しているかどうかも耐震性に影響します。

1981年6月に改正された建築基準法では、屋根の重さを考慮した構造計算が義務づけられており、屋根重量に応じた壁量、柱・梁の太さ、強固な基礎等が確保されます。そのため、瓦屋根の家が軽い屋根の家に比べて、耐震性が劣るということはありません。

また、全日本瓦工事業連盟が1999年に定めた「ガイドライン工法」によって葺かれた瓦屋根の場合、従来の瓦屋根に比べて瓦を強固に接続するので、耐震性や耐風性が飛躍的に高まっています。

しかし、改正前の建築基準法は現行法に比べて耐震基準が弱く、その基準に沿って建てられた家は細い柱や梁を使ったり筋交いが少なかったりと、耐震強度に問題がある家が多いのも事実です。

一方、本来の日本家屋は瓦の重さに耐えられるよう太い柱や梁を使って建てられていたため、築35年以上の古い家でも耐震性に問題のない家も多く存在します。

弱い構造の家は、構造の耐震補強や屋根材の葺き替え、減築等の工事が必要な場合もあるので、心配な人は耐震リフォーム、屋根リフォームを行っている工務店・建築会社・屋根職人に相談してみると良いでしょう。

耐震診断や耐震リフォームは思った以上に費用が掛かりますが、自治体からの補助金も受けられます。地震大国の日本で暮らすのだから、安心費用として前向きに考えたいものです。

屋根材はライフサイクルコストで選ぶのがお勧め

そもそも屋根材には瓦を含めてどんな物があるのか、それぞれの特徴は何かを確認しましょう。

主な屋根材は下図の通り、[瓦][セメント瓦][化粧スレート][ガルバリウム鋼鈑]の4タイプあり、耐久性の高さ、メンテナンスの頻度など、素材ごとに特徴が異なっています。【図1】主な屋根材の特徴(取材により編集部作成)

【図1】主な屋根材の特徴(取材により編集部作成)

瓦の最大の特徴は耐久性の高さ。長年に渡って美しさを保ちます。他の屋根材が20〜50年ほどで葺き替えが必要になることを考えると、100年間もつ屋根というのは魅力です。

「初期コストはかかりますが、製造→維持管理→廃棄までトータルで考える『ライフサイクルコスト』で見ると、瓦が一番のお勧めです」(坂下さん)

重量のある瓦屋根にする場合、軽量な屋根の家に比べて耐力壁(建物を支える壁)や通し柱の確保等で、設計の自由度が若干減ったり、構造を強固にするために建築コストが若干増す等の注意点もあります。

「ガルバリウム鋼鈑もメンテナンス性や軽量である点で魅力がある屋根材です。シャープでモダンな住宅デザインに仕上げられるので、特に建築設計事務所等ではよく採用されています」(坂下さん)

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