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「クレームの多いお客様の方が楽です」 カリスマ販売員の目からウロコの発想法

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どの世界にも「カリスマ」と呼ばれるほど圧倒的な成果を出す人はいる。

以前、山形新幹線の車内販売をしていた、『神対応のおもてなし』(神宮館刊)の著者、茂木久美子さんも、その一人だ。

そのカリスマぶりはといえば、往復の平均売上げが7~8万円のところ、片道4時間で57万円を達成したこともあるほど。

車内販売の商品ラインナップが、どんなに高額なものでも1000円台であることを考えれば、この数字がいかに驚異的なものなのかがわかる。

現在は接客研修の講師も務める茂木さんは、接客において何を大切にしているのか。詳しくお話をうかがった。

■カリスマ販売員がクレーマーに思うこと

――茂木さんは、どのようにして接客技術を磨いていったのですか。

茂木:まず職場環境として、先輩が手取り足取り指導してくれるというような感じではありませんでした。

お客様からのクレームも、すべて自分ひとりで受け止めていかなくてはいけなくて。そのことを辛く感じ、すぐに辞めていってしまう人が多い職場でしたね。

そんななか私のあとに後輩たちがどんどん入ってきたこともあり、彼女たちと一緒に接客技術を磨いていきました。

――「後輩と一緒に技術を磨いていった」とは、どういうことですか。

茂木:お客様のなかには色々な方がいます。当然、お酒を飲んでいるお客様から理不尽なことをいわれるケースもあるわけです。これは自分も含め、高校を卒業して間もない「小娘」には結構こたえるもので……。

そこで後輩たちと「今日はこんなお客様がいて頭に来た」「こういう接客をしたら喜ばれた」といった話をするための場をつくりました。結果的には、この話し合いが、接客技術を向上させるきっかけになったんです。

――なぜそれがきっかけになったのですか。

茂木:当時、販売員の間で有名だった、ちょっと理不尽なお客様がいたんですね。その方にどう応じるべきか、各々の意見を出し合っていました。

すると話すうちに、メンバーの間で「実は、接客する上でいちばんラクなのが、クレーマーなのではないか」という共通認識が芽生えていったんです。

たしかに、クレームをいわれれば腹が立ちます。でも考えようによっては、これほどわかりやすいお客様もいないよね、と。「こうしてほしい」とハッキリ示してくれているわけですから。

その意味では「何も言わない、何も買ってくれない」お客様のほうが難易度は高いよねという話になったんです。

この気づきを得て以来、どうすれば「もの言わぬ」お客様の心を動かすことができるのかを考えるようになりました。

そのころからですね、「お客様はひとり一人違う。だからこそ、ひとり一人、違う対応をしないといけない」と意識するようになったのは。

結果、「ああしたほうがいいんじゃないか、こうしたほうがいいんじゃないか」とアイデアがどんどん出るようになり、接客技術も次第に上がっていったんです。

■「とにかく笑顔で」は思考停止につながる

――いま「ひとり一人に違う対応を」というお話がありましたが、たしかに茂木さんが本書のなかで紹介している接客エピソードはどれも「マニュアル感」がありません。

茂木:マニュアルは大切です。でも同時に、越えなければならないものでもあると思っています。

接客サービスの世界において、研修でいちばん最初に教わるのは「笑顔」。とにかく「笑顔が大事」だと叩き込まれます。

元々、日本人は表情が固いからということで、アメリカ式の「スマイル研修」が積極的に取り入れられてきた背景があります。

たしかに、笑顔がお客様へのおもてなしにつながる面はありますが、行きすぎれば「マニュアルをこなしているだけ」になってしまう。

そこで私は、研修の場などで「笑顔より表情」ということをよく言うんです。「二流は笑顔どまり。一流には表情がある」と。

――笑顔よりも表情、ですか。

茂木:お客様ひとり一人をきちんと見ていれば、自ずとこちら側の表情もできあがっていくということをお伝えしたいんです。

無理に笑顔をつくろうとしなくても、お客様がうれしそうにしているのが見てとれれば自然と笑顔になるものですよ、と。

黒いネクタイをしたお客様がいたとしましょう。ここでネクタイの色にきちんと目がいっていれば、葬儀か法事の道中なのだなと察しがつきます。

間違っても、笑顔で話しかけたりはせず、悲しそうな表情になるでしょう。

これはやや極端な例ですが、お客様の様子をきちんと見ていないばかりに、見当違いな接客をしてしまうというのは、よくあることです。

だから、「とにかく笑顔」と思いすぎるのは危険だといいたいんです。

――たしかに「笑顔になろう」と思っている時点で、無理がある気がします。

茂木:はい、笑顔は「なろうとするもの」ではなくて、「気づいたらなっているもの」だと思っています。

そういえば、この販売員の仕事をはじめて3ヶ月ほど経ったころ、何人ものお客様から「なんでそんなに笑ってるの?」といわれるようになっていました。

傍から見たら、ちょっとこの人あぶないんじゃないかっていうくらい(笑)、ニコニコしていたようです。

なぜそんなにも笑顔になれていたのかといったら、お客様が商品を買ってくださるということを通じて、「ここにいていいんだ」みたいな、何か自分の居場所を見つけられたような感覚があったからでしょうね。

(後編へ続く)

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