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日本中に感動を届けたい・・・・・・! スポーツイベントの国際中継を「海底から支える」通信のチカラ

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サッカー、野球、テニス、ゴルフ、陸上などなど……。今では、海外で行われているスポーツの試合をリアルタイムでテレビ観戦するのは当たり前になった。しかも、画像や音声の乱れや遅れはほとんどみられず、快適に視聴することができる。

急に画像が乱れたり音声が遅れたりしていたのは、衛星中継が主流だった時代だ。30代以上なら、海外からの映像に「衛星生中継」というテロップが表示されていた記憶があるだろう。

実は現在、海外からの多くの映像は、KDDIが運用している光海底ケーブルを利用して日本に届けられている。光海底ケーブルとは文字通り光ファイバーを使った海底ケーブルで、日本と海外との通信の99%が利用する、いまや国際間の通信に欠かせない重要なインフラだ。運用を担っているのは、都内KDDI通信センターの一角にある国際テレビジョンセンター。その中核である映像の監視運用室には、数多くのモニターやサーバーが配置され、さながらテレビ局の副調整室の様相を呈する。

左からソリューション営業本部 メディア営業部 技術企画グループ グループリーダー 小島禎文、グローバル技術・運用本部 グローバルネットワーク・オペレーションセンター 映像サービスセンター 映像運用グループリーダー 東條泰英、グローバル技術・運用本部 グローバルネットワーク・オペレーションセンター 映像サービスセンター 映像運用グループ マネージャー 川口博士

「実はKDDIと国際TV伝送の関係は古く、日米間初の衛星TV中継にもKDDIは携わっているんです。1963年に起こった、米国大統領暗殺のニュースです」と教えてくれたのは、海外映像配信に20年以上携わる川口博士(ひろし)だ。映像のデジタル化が進み、データ容量が大きくなった2000年頃から、映像データの伝送は通信衛星から光海底ケーブルに移行が進んだという。

川口と同部署のグループリーダーである東條泰英は、「光海底ケーブルは衛星に比べると高速で大容量のデータを送れます。たとえるなら、衛星は一般道で光海底ケーブルは高速道路。そのため、安定した視聴が可能なんです」と語る。

南米からの映像を届けるケーブルは、地球をひと回りする

KDDI通信センターの入り口には、「無事故完遂」の標語が

「我々の役目は、放送局が制作した映像や音声を劣化させず、途中で途切れることなく確実に日本まで届けることです」と川口。そのため、大きなスポーツイベントが開催されるときには、専用の光海底ケーブル回線を確保し、現地にも担当者を派遣。24時間体制で国際中継をサポートしているのだという。

そもそも、国際的なスポーツイベントの映像は、どのように配信されているのだろうか。ソリューション営業本部の小島禎文によると、「基本は開催国が各国の放送局向けに現地特設スタジオを開設します。ここに集められた映像を光ケーブルでリレーしながら日本まで届けるんです。日本に届いたら、KDDI通信センターの監視運用室で、映像や音声に乱れがないかを自分の耳と目で確認し、放送局へと伝送します」という。

南アフリカで行われた国際的スポーツイベントでの現地特設スタジオ。KDDIは世界的なスポーツの祭典で、そのほとんどの映像を日本へ伝送してきた

日本ともっとも距離が離れているブラジルから映像を届けるケースを例に取って小島が説明してくれた。

「通信経路にバックアップがなければ、地震や海底火山などの自然災害や、不慮の事故が起こって断線した場合、通信が途切れてしまいます。そこでブラジルなどで大きなスポーツイベントが開催されるときには、万が一の事態を想定して、東回りルートと西回りルートの2経路を準備します。

東回りルートはブラジルからニューヨーク経由でヨーロッパ、ロシアを横断して日本へと到着。西回りルートはブラジルからロサンゼルスを経由して太平洋横断光海底ケーブルで日本へと到着します」

東回りルートと西回りルートでつなぐ光海底ケーブルのイメージ

実は、それぞれに予備ルートも準備してあるので、実質的には4重ものルートで映像が届けられているという。「サッカー、テニス、ゴルフなど、国際的で大きなスポーツイベントは視聴率も高い。一瞬たりとも映像を途切れさせないためのリスクヘッジです」と東條は胸を張る。

いまや私たちは、海外で開催されているスポーツイベントのゴールシーンや、勝利の決定的瞬間の感動を、美しい映像とともに、リアルタイムに共有することができるが、その裏には、周到な準備があるのだ。

現地にブースを設置して24時間体制で映像伝送をバックアップ

とはいえ、世界を一周する光ケーブルをKDDI一社で賄うことはできない。その多くは、現地の通信事業者と連携をしている。小島はその業務の前面に立つ。言葉の壁はもちろん、文化の違いから、国内で作業をするのと同じようにはいかないようだ。

「とにかく大変なのが、1カ所も重なることなく、完全に独立した2経路で回線を設計し、調達すること。調達とは、各国の通信事業者に働きかけて、専用の回線を確保することです。KDDIは古くから国際TV伝送に携わっており、さまざまな国の通信事業者とリレーションを築いています。相手がどんな通信事業者かを熟知しており、また相手もKDDIを信頼してくれているからこそ、複数の回線を確保できるんです」(小島)

ルートを決めて、現地の通信事業者と交渉し、送信システムを設計する。これらの作業は実に1年を要することもあるという。回線を調達するだけではない。近年の高画質化の流れのなか、映像や音声の乱れはますます許されない状況だ。より精度の高い映像配信が求められており、スポーツイベントともなれば、開催中は24時間体制で映像伝送をバックアップしているという。

現地に設置された、映像をコーディングする設備などを構築したサーバー。最大1.5Gbpsの画像データを40Mbpsまで圧縮。大容量データを安定的に素早く送信する

「現地で映像データを引き受けてから、日本の放送局に引き渡すまでをトータルにサポートしています。20畳程度の部屋に映像データを圧縮するための設備や映像や音声を確認するモニターなどを設置して、10人が昼夜4交代制で業務を担当することになります。映像を受信する東京側にも同じ設備を設置して人員を配置しているんですよ」(川口)

「テレビで観ているスポーツ中継にKDDIが関わっていることは、ほとんどの視聴者はご存じないでしょうね」と東條。しかし、家電量販店などの店頭で大勢の人がスポーツの生中継に観入っている光景を目にすると、「これは自分たちが届けた映像だ」と少しだけ誇らしくなるという。

私たちがリアルタイムでスポーツの感動を享受できている裏側には、地道な作業で海外から映像を届けているスタッフのたゆまない努力がある。ひとりでも多くの人にスポーツの感動を届けるために、通信のチカラが影で支えているのだ。

関連リンク

日米間を結ぶ光海底ケーブル「FASTER」
KDDI グローバルネットワーク
国際ケーブル・シップ株式会社 (KCS)

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