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自作素材にこだわり抜いた和風フリーホラーゲーム『物念世界』制作者リリティー氏インタビュー

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2013年9月に完成・公開された和風フリーホラーゲーム『物念世界』。主人公の少女「凛」が、不思議な世界に迷い込んだことから始まる物語を描いた本作は、先日8月2日に小説版の発売も行われ、公式ページとプロモーション動画の公開も行われている。


『物念世界』小説版公式ページ
http://www.amgakuin.co.jp/amg-books/butsunen/


『物念世界』小説版プロモーションムービー


『物念世界』小説版

本作のゲームシステムとしては、アイテムを拾って謎を解いていく探索アドベンチャーとなっているが、特徴的なポイントとしては、作中で見ることの出来る自作素材の美しいマップや、オリジナルのキャライラスト、そしてそれら自作の素材と組み合わさったホラー演出などだ。こういった要素から、和風ホラーとして作りこまれた作品となっており、ゲーム実況動画についても、再生数100万を超えるものも存在する。

【ニコニコ動画】【実況】不思議で不気味な物念世界 Part1

今回は、このゲームの制作者であるリリティー氏にインタビューを行ったので、公開したい。自作素材へのこだわりのほかに、ゲームを制作するに至るまで、どういったコンシューマゲーム、フリーゲームを遊んできたのか?といったことも伺うことが出来たので、ぜひお読み頂きたい。

「マップやイラストを自分で作る」ことへのこだわり

――今回はインタビューをお受けいただきありがとうございます。さっそくですが、先日リリティーさんのフリーゲーム作品『物念世界』が小説化されました。そのきっかけについて教えてください

リリティー
AMG出版の方から小説化のお話を頂いたので、それがきっかけでした。ゲーム公開から3年も経っていたので、お話を頂いた当初は驚きました。だけど、話が進むにつれて嬉しくなってきましたね。自分の作ったゲームが本になるのは夢のようです。


『物念世界』の主人公の少女「一ノ木 凛」

――小説化にあたってリリティーさんご本人が協力されたとのことですが、原作者としてどんなことを行ったのでしょうか

リリティー
アレンジが必要な部分でも変えないでほしい箇所や、キャラの細かい設定を伝えたり、キャラのセリフなどの修正を行いました。それと、小説のプロモーションビデオの一部で流れる自作BGMの作成など行ないました。

――『物念世界』は様々なプレイヤーの方に遊ばれていますが、作品のどんなところがポイントだったと思いますか?

リリティー
マップについて、実際の写真を加工するなど含めてゲーム用に全て自作したので、その世界観を評価して頂けたのかなと思います。あとは、実況して頂いた動画の存在もあるのかなと。実況動画は、ゲームが苦手、プレイする環境が無い人にもゲームを知ってもらうきっかけになると思うので、自分の作品に関しては実況OKとしています。ただ、製作者側が実況などを制限・禁止している作品に関しては、そのルールに則るべきだと考えてます。

 

ゲームの舞台となる世界は、日本画のような美しいマップが特徴的となっている
 

 
――マップをすべて自作したことには、何かこだわりがあったのでしょうか?

リリティー
物念世界の前に作ったゲームで自作マップに挑戦して「マップや雰囲気が良かった」とプレイヤーの方から感想を頂くことが出来ました。それがきっかけで、物念世界も全て自作マップにしました。自作のマップであれば、自分の作りたい世界がより鮮明に表現できるとも感じています。

――マップの他にキャライラストなども自作されていますが、こういったイラスト制作やデザイン作りも好きだったのでしょうか。

リリティー
ドット絵などについては知識も無く、ゲーム製作を始めた頃には全然作れませんでした。ゲームを作りを始めてからwebなどで調べたり、自分なりに勉強しましたね。個人的にはイラスト製作もマップと同じで、真に自分のゲームの世界観に合うキャラは自分で作るしかないと感じているので、自作しています。そのほうが愛着もわきますし。絵はまだ勉強中なので、ゲームのバージョンアップで描き変えたりしています。物念世界の開始時にグラフィックを選ぶ場所で旧グラフィックと新グラフィックを選べるのも、それが理由ですね。


ゲーム開始時に、それぞれ特徴のあるグラフィックを選択することが出来る

――ゲームに限らず、これまで見たホラー作品で、印象に残っている作品や場面があったら教えてください。

リリティー
映画の『リング』で貞子が井戸から這い上がってきてテレビから出てくる演出は本当に怖かったです。音や残酷描写に頼らないでじわじわとくるジャパニーズホラーの恐怖演出が好きですね。ホラー作品の経験はいろいろ受けていまして、『物念世界』でも、恐怖演出のシーンでは画面を主人公目線にして、主人公に向かってくるホラーキャラをアップにしたり、どうすれば怖くなるかを考えて作りました。


ホラー要素のある場面は、主人公の主観視点に変更される

――なるほど。では『物念世界』で和風の世界観を舞台にしたのは、『リング』などのジャパニーズホラーが好きだったからでしょうか?

リリティー
和風の世界観を舞台にしたのは、純粋に和道具が好きだからです。日本家屋とか古い家なども好きで、趣味で写真を撮りにいったりしていました。

心に残ったゲーム作品と『コープスパーティー』の存在

――物念世界は「ゲーム」という媒体で制作されましたが、小説、音楽、絵など、様々な創作活動の中から「ゲーム」を選んだ理由はありますか?

リリティー
子供の頃からゲームを遊んでいて、ゲームが好きだったからです。好きすぎて作る方になってしまいました。プレイする楽しさと作る楽しさは別だと思っているので、ゲームで遊びながら自分のゲームを作るという感じで、両方楽しんでいます(笑)


 
――おお、昔からゲームが好きだったのですね。これまでに遊んできた中で、思い出のゲームや、好きなゲーム作品はありますか?

リリティー
市販ゲームですと、思い出のゲームは『ヴァルキリープロファイル』『幻想水滸伝2』です。

『ヴァルキリープロファイル』は、キャラクターのドット絵がすごく滑らかに動くんですよ!あとマルチエンディングシステムで、ベストエンディングルートのシナリオが心に残りました。個性的なキャラも多くて楽しかったですね。

『幻想水滸伝2』もシナリオが素晴らしく、悪役が魅力的なのも印象的で、こちらもベストエンディングを迎えたときに、ゲームで初めて感動して泣いたと思います。

シリーズだと『ドラゴンクエスト』ですね。モンスターが憎めない感じでかわいいのが多くて、どのシリーズも音楽が好きなんです。他のジャンルもやってるけど、RPGばっかりですね……。

――なるほど、どれも名作と言われるRPGですよね。「これを遊んでいなければ、ゲームを作ろうとは思わなかったかもしれない」という作品はありますか?

リリティー
「RPGツクールDante98」で作られた『コープスパーティー』です。人生で初のフリーホラーゲームで、人体模型が追いかけてくるシーンはゲームなのに画面の前で大騒ぎしていまいました(笑)あの後すぐに学園系のホラーゲームを作り、今の私がいます。

いまもプレイしている数々のフリーゲーム

――『コープスパーティー』ですか!他の作者さんが作ったフリーゲームはいまでもプレイされるんですか?

リリティー
他の作者さんの作ったフリーゲームはかなり遊んでます!ホラーに限らず、面白そうだと思った作品は片っ端からプレイしていますね。

衝撃を受けたフリーホラーゲームは『Ib』『魔女の家』です。どちらもバージョン1.00で出てすぐに遊びました。当時、ブログで感想を書いたぐらい楽しかったです。『Ib』はツクール2000の可能性を感じましたし、あの世界感とほどよいゲームバランス、何週したか覚えていません!『魔女の家』は先に進む事が楽しくて、休むこと無くやってました。隠しエンディングを見たときは、ホラーアドベンチャーの奥深さを知りました。

雰囲気や世界観が好きなゲームは『bury』で、自作のマップや、小物が美しい切ないストーリーも好みでした。

あと、好きなRPGは『ふしぎの城のヘレン』です。適当にコマンドを選んでいては絶対に勝てないバランスで、戦略をじっくり考えるゲームでやり応えがありました。ストーリーも良かったです!


『Ib』
 

『魔女の家』
 
――すごい、次々と出てきますね(笑)『Ib』などの探索アドベンチャーに加えて、やはりヘレンなどの戦術を考えるフリゲRPGもプレイされているんですね。

リリティー
はい、他に去年はまったRPGは『嘘つきジニーと磔刑の国』で、これも難易度の高め戦闘で戦術をじっくり考えるゲームで面白かったです。隠しボスを何度も挑戦して倒せたときの達成感は最高でした。


『嘘つきジニーと磔刑の国』
 
――『嘘つきジニーと磔刑の国』は、装備の組み合わせなどを考えるパズルのようなRPGで、隠しボスも相当な強敵です。かなりやりこまれたんですね。

リリティー
今年の一押しはアドベンチャーの『狂い月』です。美しいグラフィックが動く動く!エンディングでは鳥肌がたちました。衝撃のエンディングはぜひプレイして楽しんでほしいです。

それと、今後期待しているのは海外のフリーゲーム『Pocket Mirror』の日本語翻訳版です。本家の方を少しプレイしましたが、英語が苦手なため、翻訳版が出ないかなと待っています……。この作品はシステムの作りこみとダークな雰囲気、美しいグラフィックが魅力で、日本でも人気が出ると思います!

――『Pocket Mirror』は先日、英語版が完成しましたが、たしかに期待のアドベンチャーゲームです。フリーゲームもかなりプレイされているんですね……。


『Pocket Mirror』

『物念世界』のテーマに込めた思いとは


 
――いったん、『物念世界』の話に戻すと、本作は「モノの思念」というテーマの和風ホラー作品となっていますが、このテーマに決めた理由はありますか?

リリティー
ゲームを作る前、仕事場で整理整頓が行われていた時に、まだ使えるモノでも処分されていたことがありました。使える物でも捨てる、使い捨てが当たり前の現代ですが、改めてそこを見つめなおすことも大事なんじゃないかと思って、ゲームのテーマにしました。

――なるほど。ゲームの中で巡る全3つの世界ですが、作っていて一番楽しかった世界はありますか?

リリティー
最終ステージの花札の世界です。この世界では「花札」を使った謎解きも入れ込みました。絵札をモチーフにした世界観を探索するだけではゲーム性も無いので、花札の『役』を取り入れて探索ゲームの『謎解き』をミックスしようと思ったのがきっかけです。この最終ステージは難易度も高く、多くのプレイヤーを悩ませたと思います。バージョンアップを重ねてヒントを増やし、今の形になりましたが、それでもまだ難しいと思います。最終ステージと言うこともあり、今より難易度は下げない予定です。


「花札」を使ったギミックが特徴となる後半ステージ
 
――プレイヤーの方からもらった反応の中で、一番印象深かったものはありますか?

リリティー
作中に出てくる「異界のねずみ」の謎解きの感想が、感動した人と理不尽に思った人で二つに分かれた事です。受け取り方は人によってそれぞれなので、皆が納得するものを作るのは難しいと感じました。


発想の転換が必要となる「異界のねずみ」の謎解き
 
――物語のエンディングの一部は分岐は、作中の重要キャラである雪慈に関するものとなっていますが、この分岐を作られた背景などはありますか?

リリティー
ネタバレになるので伏せますが、凛にとって雪慈は大切な………です。作品のテーマの部分なので、結末はプレイヤーに選んでもらえるように分岐を作りました。

――「これからフリーゲームを作りたい」という方へのメッセージをお願いします

リリティー
ゲーム作りはモチベーション維持が大変です。作り途中で挫折してしまう事もあります。でも、頑張って作ったゲームが完成した時の達成感は、難しいゲームをクリアしたときの達成感以上だと思いますので、ぜひやり遂げてみてほしいです。

――最後に、これからのリリティーさんのご活動の予定をお聞かせください

リリティー
のんびりペースですが今後もフリーゲームを作っていく予定です。まだまだ修行中なのでさらにレベルアップしていきたいですね。

終わりに

今回、インタビューを行って感じたのは、制作者としてゲームを作るリリティー氏ご本人が、プレイヤーとしても本当にゲームを愛しているということだ。コンシューマゲーム、フリーゲーム問わずプレイされており、ジャンルもアドベンチャー・ホラーに加えてRPGなど、幅広い作品を楽しそうに語って頂いたのがとても印象的だった。今後の作品も楽しみにしたいところだ。


『物念世界』小説版公式ページ
http://www.amgakuin.co.jp/amg-books/butsunen/

[作品情報]
タイトル 『物念世界』
制作者 リリティー(制作者様サイトはこちら)
対応OS Windows XP/VISTA/7
プレイ時間 3~5時間程度(謎解きの所要時間による)
価格 無料

ダウンロードはこちらから
http://www.freem.ne.jp/win/game/5515

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