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EU離脱で話題になったイギリス、その住宅事情とは?

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2016年6月、世界中を騒がせる大きなニュースとなったのが、英国の「EU離脱」問題。ニュースが発信された日、インターネットはもちろん、その後も各メディアでの報道が続いた。大方の予想を覆し、英国国民が「EU離脱」を選んだ背景には、どうやら苦しい英国の住宅事情が影響したという声がある。庶民にはちょっとやさしくない(?)、ロンドンの住まい事情について聞いてきた。

離脱派が訴えた「移民が増えたから家賃が上がり、生活が苦しい」

今回、英国の住宅事情について教えてくれるのは、ニッセイ基礎研究所の佐久間誠さん。各国の不動産市況をREIT(不動産投資信託)や経済指標などのデータをもとに分析しているアナリストだ。さっそく聞いてみましょう、今回の英国の国民投票の結果に、住宅事情は影響しているのだろうか。

「結論からいえば、イエス、です。ただし、それは移民が増えて家賃が高騰した! だから離脱だ! というEU離脱派のロジック/アジテーションが受け入れられてしまったからなのですが、冷静に見てみると、実はそうでもないのです」と解説する。

というのも、英国の住宅事情は2000年代に入ってから活況が続き、住宅価格はなんと2.5倍にも上昇。これに賃金がともなっていれば問題はないのだが、特にリーマン・ショック以降、賃金の上昇率が住宅価格の高騰に追いつかなかった。こうした「家が買えない」「家賃が高くなる一方だ」という不満・不平のはけ口として、「こんなに住宅価格が上昇したのは移民のせいだ!」と離脱派は主張したのだ。

だが、実際に住宅価格の高騰要因となったのは、主に(1)海外からの投資資金の流入、(2)2000年代の金融緩和などによって金利が下がり、住宅ローンが借りやすくなり、住宅需要が高まった(3)新築が着工できず、そもそも需要と供給のバランスが合っていない、という点にあるという。

「ロンドンの住宅価格の上昇が続いたことで、各国の投資家、具体的にはロシアや中国、中東の富裕層がロンドンの住宅を購入するなど、資金の流入が続きました。世界中の富裕層がロンドンの物件を購入しており、立地によっては1600m2で250億円の値段がついたという話も。ちょっと想像がつかない世界ですよね(笑)」

日本では200m2で15億円という物件が話題になったが、ロンドンのそれは同じ200m2に換算しても約30億円と倍の差。これは確かに庶民には手が届かない世界といえる。

需要があるのに新しく物件を建てられない

もともと、持ち家志向が強いという英国人。現在、持ち家率は65%と日本とほぼ同程度だが、一時は70%を超えたこともあったという。

「イメージとしては、日本より一次取得の年齢が早く、30歳〜35歳くらいまでに一度家を買い、その後、売却してどんどん広い家に住み替えていく、という感じでしょうか。日本にかつてあった “住宅すごろく”そのものですよね。10年間所有していたら不動産価格が2倍になるんですから。早く買おうとなるのが自然だと思います」

加えて、前述したとおり、金利の低下や住宅ローンの積極的な貸し出し、政府による住宅取得施策などもあり、家を買わねばソン! という認識になっていったようだ。確かに、筆者にも資産に余裕があれば買いたくなるほどである。

「英国では、景観や環境を守るための建築制限が厳しいうえに、市民の反対運動もあり、年間新しく25万戸必要だといわれているのに、実際に着工できるのは15万戸ほどだといいます。日本でいうなら各種景観規制のある京都で、さらに反対運動を盛んに行う市民がついてくる感じでしょうか」

投資家や実際に住みたいという人の需要が根強い一方で、新築が供給できないとあれば、さらに住宅価格も高騰するというもの。すでに不動産を所有している人はいいが、持たない人、購入したい人にとっては、これは苦しいところだ。

一番被害を受けるのは、英国の若者たち。今後はどうなるの?

こうした状況のなかでいちばんの問題点は、若い世代は「住宅すごろく」のスタートさえできないこと、だと佐久間さんは指摘する。

「収入のうち1/3を家賃に充てる、というセオリーは各国共通ですが、家賃が高騰しているロンドンでは、半分以上が家賃という人もいるそうです。すると住宅購入資金の頭金が貯められない。英国では日本以上に頭金が重視されるので、これは非常に痛いことで、家を買うという、住宅すごろくのスタートラインにも立てないんです」

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