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長谷川幸洋氏「タクシー料金を役所が決める仕組みはやめよ」

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 イギリスのEU離脱で改めて注目された「国民投票」という手段。国論を二分するテーマについて、国民の意見を直接反映させるという方法に好感を抱いた人もいるだろう。一部の既得権者の専横や不合理な慣習のために変革が進まないテーマについては、日本でもこの最終手段で決着をつけたほうが、世の中スッキリするはずだ。東京新聞論説副主幹の長谷川幸洋氏は、タクシー料金の決め方について国民投票の必要性を訴える。

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 日本のタクシー料金は、とても歪なやり方で決められている。本来、モノやサービスの値段は、供給が少なく、需要が多ければ上がる。逆にお客にあまり必要とされず、供給ばかり多ければ値段は下がる。当たり前のことだ。

 ところがタクシー料金については、霞が関の役人が料金の下限を決めており、価格競争を促すはずの新規参入も規制で制限されている。2002年に当時の小泉政権が規制緩和に踏み切り、いったんは新規参入が増えて競争が進んだが、その後、タクシー業界は「運転手の給料減や事故増加を招く」と永田町や霞が関に猛烈なロビー活動を展開した。

 結果、揺り戻しで規制強化が進み、2014年に改正タクシー特別措置法が施行された。これにより大都市での運賃の引き上げが事実上義務付けられた。大阪で話題だった初乗り500円の「ワンコインタクシー」など格安業者も値上げを迫られたのである。

 なぜそんなことになるのか。それは政治家がタクシー業界の利益を代弁する見返りに、票をもらう構造があるからだ。地場のタクシー経営者の支持を受ける自民党と、労組の支持を受けて規制緩和に反対する民進党とが、現状維持で手を結び、その結果、日本のタクシー運賃は高止まりしてきた。内外価格差調査(消費者庁調べ)によれば米国やフランスより4割も高い。

 つまり、政治が利用者のほうを向こうとしないのだ。間接民主主義が機能していないといってもいい。ならばいっそのこと、国民投票で直接、民意を示し、需要と供給で値段を決める仕組みを考えたっていい。

 奇しくも既得権まみれの市場に風穴を開けそうな、世界を席巻するライドシェア(相乗り)最大手のウーバーテクノロジーズが日本に上陸した。

 今のところ、ウーバーの参入には地元のタクシーやバス事業者らで構成する会議体の同意が必要とされ、既得権益者が“拒否権”を持つ参入障壁の高さは相変わらずだ。しかし、世界の流れを見ても、役所の胸三寸で料金を決める制度は時代遅れである。

「英国民の判断は世界経済に混乱をもたらした」と批判する人がいる。しかし、そうした批判は「国民はバカだ」というエリート主義の“上から目線”にしか思えない。重要な問題ほど、国民投票による判断を尊重するのが当然ではないか。

※週刊ポスト2016年8月5日号

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