織田梨沙『秘密 THE TOP SECRET』インタビュー

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新たな衝撃作の誕生である。清水玲子の大人気コミックを『るろうに剣心』シリーズの大友啓史監督がダイナミックな演出で映像化した『秘密 THE TOP SECRET』は、脳内スキャンした記憶映像をもとに未解決事件を捜査する警察庁特別機関「第九」の奮闘を描いた前代未聞のミステリーだ。

生田斗真、岡田将生、吉川晃司、松坂桃李、栗山千明、大森南朋を始め日本映画を代表する俳優が揃い踏みする中、本作で驚愕の俳優デビューを迎えた新鋭がいる。その名は織田梨沙。瞳の中に大人の妖艶さと少女の純粋さを同居させた存在感は、まさに本作の秘密兵器と言っても過言でないほど。今後の活躍が大いに期待される彼女に、本作の撮影秘話、演じることへの情熱について話を訊いた。

 

 

 

————『秘密 THE TOP SECRET』、非常に面白い作品でした。織田さんの演じられた“絹子”はとてもミステリアスで強烈なキャラクターですが、完成した映画をご覧になってどう思われました? 

織田「主観が邪魔して、ぜんぜん客観的になれなくて。いまだに自分のことに関しては巧いコメントができないんです(笑)。でも映画のストーリーには完全にのめり込んでしまいました。素敵なスタッフ、キャストの皆さんに囲まれて、素晴らしい映画になったと思います」

————ご自身的にはこの役を演じるにあたって抵抗などはありませんでしたか?

織田「抵抗とか、受け入れるとかよりも、本当に日々精一杯でいつの間にか終わっていたという感じです。気がつくと、あれからもう1年が経っている……」

————まさに夢か幻かといった日々だったんですね。では、もうちょっとだけ時間を戻して……今回、オーディションで役を勝ち取られたわけですが、出演決定の報を受けた瞬間のことは覚えていますか? 

織田「あれは確か、友達とカフェにいる時に電話がかかってきて」 

————最高に盛り上がれる状況じゃないですか。お友達と祝杯をあげたりとかは? 

織田「いえ、ぜんぜん(笑)! あまり言いふらすことでもないと思ったので、あえて黙っていました」

————でも内心は「やったー!」って気分が高揚していたのでは?

織田「最高に嬉しかったんですけど、同時に『えっ!?』という戸惑いもあったというか。正直、素直には喜べなかったかもしれません」

————その戸惑いって、具体的にはどんなものだったんでしょう。

織田「受かったら受かったなりに、今度は監督が求めるものをきちんと出さなきゃ……という緊張だったり、全てが初めての経験なのでちゃんと期待に応えられるかな……という不安だったり。そんな感情がとにかくグルグルとめぐっていましたね」

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絹子という強烈キャラはこうして生まれた

 

————かくして人生初となる長編映画に挑まれるわけなんですが、大友啓史監督の演出はいかがでした?細かい動作やセリフまで指示されたりしましたか?

織田「撮影前に役柄についていろいろお話しさせていただく機会はあったんですが、演出自体はそんなに細かくなかったと思います。監督が描いているものを押し付けるのではなく、一緒に作っていこう、じゃないですけど、キャストの内側から生まれてくるものも見てみたい、拾いたいというのがすごく伝わってきました。『正解なんてないんだから。思った通りにやってごらん』という言葉が心に残っています」

————そのようにして化学変化が生まれていったのですね。一方、“絹子”という役柄は、なんというか、これまでの常識を覆す全く新しい“悪女”に見えました。演じる上で参考にした本や映画はありますか?

織田「そうですね。監督から『これ、見ておいてね』と言われた映画が何本かありました。ひとつ覚えているタイトルは……えーとなんでしたっけ、う、うさぎ、じゃなくって、ひつじ……」

————あ、『羊たちの沈黙』!! 

織田「それです!観ている間、あの主演俳優さんは何を考え、どんなものを参考にして役作りをされたのかなって、すごく興味がわきました」

———— “絹子”を生き抜くことって、織田さんにとって難しかったですか?

織田「ノーマルな人を演じるよりは、特徴のある人を演じた方が演じやすいのかなって思ったり、思わなかったり(笑)。でもとにかく初めての演技経験だったので、何をやるにしても難しかったというのが本音ですね」

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邦画界のトップスターたちとの演技対決

 

————本作ではまさに錚々たる俳優陣との演技合戦があるわけですが、中でも取り調べのシーンで大森南朋さんに厳しく問い詰められるところなどは、もう唾が飛んでくるんじゃないかってくらいに切迫した雰囲気がありました。どんな気持ちで受けてらっしゃったのですか? 

織田「あの取り調べのシーン、実はオーディションでも使われた重要な箇所だったんです。なので、私の中ではいろんな思い入れや緊張が絡まりあって凄い状態でした。大森さんも迫力ある演技で容赦なく攻めてこられるし……(笑)。でも絹子は何にも動じない強い人間なので、私自身のドキドキが表に出ると台無しになってしまう。とにかく個人的な感情を抑えて役になりきるのに必死でした」

————そんな葛藤があったのですね。あのシーンの後、大森さんと何か言葉を交わしましたか?

織田「はい。『大丈夫だった?』とおっしゃっていただきました(笑)。皆さん、本当に優しくって」

————他にも生田斗真さん、岡田将生さんをはじめ、多くの男性俳優が総出演されます。印象はいかがでした?

織田「そうですね。私、緊張しているのに加えて、すごく人見知りなところもあるので、大人の男性たちに囲まれて、ひとりポツンといる感じで。そんな私を見かねて、皆さん『大丈夫だよ!』とリラックスさせてくださったり、冗談を言って笑わせてくださったり……」

————素敵なエピソードですね。そんな和やかなムードもありつつ、けれど本番になると圧倒的な臨場感に包まれる、と。

織田「そうですね、監督が『よーい!』と口にした途端、心と身体が引き戻されて、いつでもどこでも『わたしは絹子!』というスイッチが入りましたね」

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映画初出演を通じて学んだ、演じることの魅力

 

————織田さんにとって俳優というお仕事の魅力って何でしょう。ここが私の心を掴んで離さないという点をひとつ挙げるとすれば?

織田「普段の自分にはできないことを、他人の人生を借りて表現できるっていうのは俳優ならではの特権ですよね。それこそ私が人生の理想とする人間像は“強い人”なんですが、いつの日かチャンスがあれば『チャーリーズ・エンジェル』とか『キル・ビル』みたいな、強い女性の出てくるアクションにも挑戦したいですね」

————今の“アクション”という単語の発音、すごくナチュラルで素敵でしたが、もしかして海外生活の経験がおありですか? 

織田「いえ、ないです。でも中学校と高校の時、それぞれ1か月くらい短期留学したことはあって、高校の卒業後も、アメリカの大学の日本校で真面目に英語を勉強していました」

————日本にとどまらず、機会があれば海外にも視野を広げたいという思いがあったりしますか? 

織田「それはもう素敵なことですよね……私、もともと英語が好きなんです。ただ純粋に、英語をしゃべれたらいいなって。大好きな映画も字幕付きだと文字に集中しすぎて、せっかくの絵作りが見えなくなっちゃう。そこを語学の上達でカバーしたいなという思いがあります。あと、世界中の人たちと直接コミュニケーションできれば、という気持ちもすごくありますね」

————『秘密 THE TOP SECRET』の織田さんを観ていると、本当に日本にとどまらない才能になるんじゃないかとドキドキさせられました。この映画を通じてご自身、今後の俳優としての活動につながる何かがつかめましたか? 

織田「そうですね・・・私はこれまですごく人見知りで、自分の内面を進んで表に出すタイプではなかったんです。けれど、この絹子の役作りや、演じるという行為そのものを通じて、自分から率先してアイディアを発信する大切さを学んだというか。もうちょっとこうしたいなとか、こうできればいいなとか、具体的に考えるようになりましたね。それはすごく大きな一歩だと思います」

————なるほど。

織田「『秘密 THE TOP SECRET』の現場を経験したことで、自信ができた……いや違うな、自信をいただけた。正直、そんな気がします。この経験をこれからのステップに活かせていければ嬉しいですね」

 

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撮影 倭田宏樹/photo Hiroki Wada(TRON)

取材・文 牛津厚信/interview & text  Atsunobu Ushizu

編集 桑原亮子/edit  Ryoko Kuwahara

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『秘密 THE TOP SECRET

8月6日(土)全国ロードショー

生田斗真 岡田将生 

吉川晃司 松坂桃李 織田梨沙

栗山千明 リリー・フランキー/椎名桔平 大森南朋

原作:清水玲子「秘密 THE TOP SECRET」(白泉社刊・メロディ連載) 

脚本:高橋泉 大友啓史/LEE SORK JUN KIM SUN MEE 

監督:大友啓史 

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