妻・母でも“湘南生活”がしたかった たどり着いた「二地域居住」

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妻・母でも“湘南生活”がしたかった たどり着いた「二地域居住」

近年、新しい暮らし方として注目されつつある「二地域居住」。今回は結婚して20年目にして、妻であり二児の母でもありながら“週末だけ一人でシェアハウス”に入ることで、この二地域居住を実現させたという河本ここのさんに話を伺いに、湘南へ向かった。

まずはシェアハウスから二地域居住をスタート

【画像1】ランニングルートの披露山公園(画像提供/河本ここのさん)

【画像1】ランニングルートの披露山公園(画像提供/河本ここのさん)

2年前、東京と江ノ島での二地域居住をスタートさせた、河本さん。その理由について聞くと、「元々いつかは湘南に住みたくて。ばーーんと海を見渡せる家に住みたかったんです。単純に学生のときから好きだったから」と笑顔で語ってくれた。

40歳の誕生日に「50歳には湘南で暮らしたい」と思っていたんですが…気がつけば47歳になっていました。このままでは実現できないと思い、とにかく湘南暮らしをするには、とネットを活用して調べはじめたんです。でも、賃貸でさえ非常に高くなかなか手が届かない。そして何より私は高校生の息子と中学生の娘がいる「母」でもあったから、やはりまだ無理なのかもしれない、と思いはじめていました。

そんなとき、たまたま一緒にランチに行った友人から「シェアハウスに入ってみれば?」と言われたんです。シェアハウスは全く考えていなかったけれど、初期費用は少なくてすむし、自分が毎日家にいなくても防犯面やゴミ出しということについても問題ないな、と。それで、その友人にシェアハウスのオーナーを紹介してもらって、話を聞いてみたら「これは、本当にいいかも」と直感的に感じました。

ただ…やはり私は「母」だし、さすがに個人行動をしすぎかな、と悩みましたが、さまざまな人に自分の思いや考えを話して、それに対して意見をもらい、ということを繰り返しているうちに、私は今までずっと「夫や子ども、家族第一」と考えて行動してきたけれど、子どもも大きくなった、もうそろそろ、私は私の時間を好きに生きてみてもいいのかな、とじわじわと思えるようになって、最終的に「よし、シェアハウスに入ろう」と決断をしたんです。

家族の反応と、二地域居住を始めて起きたうれしい変化

とはいっても、家族にも相談をしなければならないということで、最初に当時中学生だった娘に「母さん、シェアハウスに入ろうと思うんだよね」と、話をしました。元々いろいろチャレンジするタイプだったとはいえ「今度はいったい何をするの…」とさすがに驚かれました。

娘の中ではシェアハウスといえばちょうどそのころ人気だった『テラスハウス』のイメージがあったようで、さすがにお母さん、恋愛は…と(笑)。そうじゃなくて、母さん元々湘南に住みたいって言っていたじゃん、それを実現させたいんだよね、と説明をしたら、それならいいんじゃないかな、確かにお母さん前からやりたいって言っていたよね、と納得してくれました。

高校生の息子も「どうぞ、どうぞ」、と言ってくれて、夫には「子どもたちOKって言ってるんだけど」と、事後承諾のような感じで話をしたら、「お、おう」というような反応で(笑)。正直に言うと、一時期夫婦関係が良くなく、離婚寸前までいったことがありました。でも、その危機があったから、お互いが自分に向き合ってお互いを尊重する関係になりつつもあったと思います。だからこそ、夫はこのタイミングで私がシェアハウス入りたいと言ったことに対して、「いいよ」と答えてくれたんじゃないかな、と思います。

ではいざ湘南でのシェアハウス生活スタート、といきたいところでしたが、一週間のうちの一部とはいえ母がいなくなると「洗濯」「掃除」「料理」といった今まで自分がやっていた家事を皆で分担しなくてはいけなくなるので、その解決策として、夫の提案で月一回「家族会議」を開き、各自で役割分担をすることになったんですが、結果的にはこれが大成功でした。「やらざるを得ない状況」が発生したことによって、家族の一人ひとりが皆少しずつ自立したんじゃないかな。

特に一番変わった、って思うのが夫なんですが、元々料理なんてしなかったけれど、今では娘のお弁当をつくってくれているんです。料理にハマってしまったのか、最近はガパオなんかつくるように。私的にはそんな凝らないで普通のものでいいんだけれど…(笑)。でも、ちょっと悔しいけれどめちゃくちゃ美味しくて、楽しそうにつくってくれているのが、とってもうれしいんです。

実際に2年間やってみて感じる「二地域居住の魅力」とは?

入居前は「新しい土地で友達はできるんだろうか」、「同居の人とうまくやっていけるのだろうか」、他にも、不安はたくさんありましたが、意外とやってみればできるもので、想像以上に楽しい生活を送れました。基本的に平日は東京、休日は湘南、というようにそれぞれの良いところをバランスよく享受できているので、生活にもメリハリが生まれて、それが心地よいんです。

多くの友人に「湘南にいるときに何しているの?」とよく聞かれるんですが、普通に「生活をしている」んですよね。ただ、東京にいるときと大きく違うと思えるのが、朝起きたらすぐ「自分のために何をしよう」と思えるという点だと思います。これは20代ですぐ結婚して以来、20年ぶりの開放感じゃないかな。湘南は朝がとっても気持ち良いから、寝ている場合じゃない。朝早くから思わず活動したくなってしまうんです。

それから、旅として何度か湘南に来たときと違って、実際に「暮らす」ことによって変わったのが、地域の人々との関係性だと思います。旅で来たときは「大好きでよく来ている」と言っても「そうなんですか」、という感じでしたが、「好きで好きで、暮らしはじめちゃいました」と言うと、この人本当に好きなんだな…と思ってくれたのか、いろんな「人」や「イベント」を紹介してもらえる機会に恵まれるようになり、今では地域で「新しいビールをつくろう」というプロジェクトにも参加させていただいていて、これがまたすごく楽しいんです。

話が変わりますが、湘南で暮らし始めた最初のころは本当に毎日うれしくてうれしくて仕方がなかったんですが、半年したら、その刺激的な気持ちや興奮のようなものは落ち着いたんです。そこで一度この二地域居住を止めてもいいかな、とも思えたのですが、でも、やはり私はずっとこの場所にいたいなあ、と思ったから「自分は本当にこの街が好きなんだ、合っているんだ」と確信しました。だから、東京から離れたいなあ、っていうだけの気持ちだったら、期間的には半年くらいでよかったのかな、と思います。

なので、移住や湘南暮らしに興味ある人は、本当にその場所が自分に合っているのだろうかということを確認するために可能であれば、半年くらいそこに住んでみればいいのかも。シェアハウスでの二地域生活は、そのための良い手段となると思うし、個人的には主婦の方にこそ一度外に出てみてほしいと思います。特にシェアハウスだと色んな人がそれぞれの生活のやり方を持ち込むので、主婦だと「○○はこうするものだ」と普段家事を行う中で知らないうちに自分の型のようなものが出来がちですが、フラットに「あ、こういうやり方もあったんだ」「こんな方法でも良かったんだ」と、いろいろ発見あって、これはすごく良い刺激のように感じました。【画像2】ハンモックで気持ち良いなあとくつろぐ、休日(画像提供/河本ここのさん) 【画像2】ハンモックで気持ち良いなあとくつろぐ、休日(画像提供/河本ここのさん)【画像3】ジョギング後に葉山の朝市で朝食(画像提供/河本ここのさん) 【画像3】ジョギング後に葉山の朝市で朝食(画像提供/河本ここのさん)【画像4】週末は近隣の友人を誘ってイベントを開催することも(画像提供/河本ここのさん) 【画像4】週末は近隣の友人を誘ってイベントを開催することも(画像提供/河本ここのさん)【画像5】お気に入りのお店で仲間と談笑する河本さん(一番手前が河本さん)(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

【画像5】お気に入りのお店で仲間と談笑する河本さん(一番手前が河本さん)(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

長年の夢であった「湘南暮らし」を二地域生活という形で実現させた河本さんは、話の節々から憧れの湘南生活をしているということの充実感のようなものがにじみ出ていて、とにかく話している姿が楽しそうでイキイキとしているのが印象的でした。

河本さんが当初入居したというシェアハウスは共益費込で約5.5万円。そこに東京と鎌倉間を行き来する交通費や食費を入れて、普段の生活プラス「約7万円」で生活をしていたとのこと。決して安くはないですが、シェアハウスであれば1カ月、2カ月単位と短い期間でチャレンジすることも可能なので、自分に合った街と暮らし方を見つけることができるきっかけとなるのであれば、検討してみる価値があるのかもしれません。●参考

河本ここのさんブログ
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