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地下アイドル? いいえ「ライブアイドル」です サエキけんぞう新時代のアイドルを語る

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サエキけんぞう: 1980年に『ハルメンズの近代体操』でデビュー。1983年、パール兄弟を結成。作詞家として沢田研二、小泉今日子、モーニング娘。、サディスティック・ミカ・バンド、ムーンライダーズ、パフィーなど多数のアーティストに提供。現代カルチャー全般に詳しく、多方面で活躍。著作多数。アイドルイベントをプロデュースしているが、メインの活動はニューウェーブ。

 ライブを中心に活動しているライブアイドル。「地下アイドル」や「インディーズアイドル」とも呼ばれる彼女たちは、メディアに露出することはあまりなく、毎日のようにステージでファンと歌い、踊り続けている。この「ライブアイドル」という言葉の生みの親でもあり、ライブアイドルイベント「TOgether」のプロデューサーを務めるサエキけんぞう氏。そして「TOgether」出演経験のある、元アイドルで現在はアーティストとして活動中のJulie Wataiさんに、ライブアイドルの実情と、世にアーティストを送りだしてきたニコニコ動画との、文化の違いについて聞いてみた。

・ライブアイドルたちの写真を見る
http://news.nicovideo.jp/watch/np102458

■事務所のない人がほとんど ライブアイドルの実態

――ライブアイドルは、一般的なアイドルとどう違うのでしょうか?

ライブアイドル「園羽彩音」

サエキけんぞう氏(以下、サエキ): ライブアイドルは、事務所に所属している子もいますが、事務所がない子たちがほとんどなんですね(苦笑)。ですから、やりたいと思い立ったら、明日にもなれる。デビュー間近な人が多くて、年齢は19歳から23歳くらい。東京だと秋葉原が中心になっていますが、ライブアイドルは名古屋や大阪が盛んで、全国的にも増えています。彼女たちは、セルフプロデュースアイドルという概念を下地に持っているアグレッシブなパフォーマーなんです。ライブアイドルイベントを毎日手がけるオーガナイザーがいて、そんなイベントの中から優秀な人間を僕が探して、僕のイベントに出演してもらっています。

――プロデュースされているのはどんなアイドルイベントですか?

サエキ: 「TOgether」というイベントです。2009年2月28日にスタートしまして、場所を替えながらイベントを続けてきました。2011年9月17日に行われた「TOgetherWOMB ~渋谷のAKIBA文化祭~」では、アイドル以外にも、DJやアーティストなどに参加してもらい、幅広いサブカルイベントとして新しい路線を打ち出しました。

――どうしてアイドルイベントを始められたのですか?

サエキ: 2008年9月に秋葉原のアイドルライブカフェ「ディアステージ」でイベントの司会をする機会がありまして、それからアイドル文化に触れる機会が多くなりました。彼女たちは「地下アイドル」なんて呼び方もされてましたが、彼女たちは「地下アイドル」というイメージをあまりよく思っていなくて、今は私がネーミングした「ライブアイドル」という名前が定着しつつあります。

――ライブアイドルは自分のオリジナル曲を持っているのですか?

サエキ: 先月行われた「TOgetherWOMB」のイベントでは大きなメインステージと、4階の小さなステージに分かれていました。メインステージに出ていたアイドルの子たちは自分のオリジナル曲ばかりですね。彼女たちには、バンドと同じで、編曲能力のある音楽プロデューサーがついています。4階に出ていた子たちは、ほぼ事務所に所属せずに、歌もカバーがほとんどだから、カラオケボックスとあまり変わらない(苦笑)。聞いていられる時間の限度はせいぜい10分~30分で、ワンマンライブなんてとてもじゃないけれど無理。みんな事務所に入りたいとは思っているけれど、そう簡単には入れないといった状況です。

――ライブアイドルたちの夢は何でしょうか?

サエキ: みんな水樹奈々みたいなスターを目指しているんじゃないでしょうか。アイドルをやっていれば、いつかいいことがあるのではないかと漠然と考えている子が多いです。僕は100%水樹奈々にはなれないと、はっきり言ってるんですけど、ライブアイドルをやること自体は辛いことではないので、やっていて楽しい程度にやっている子は多いですね。昔のアイドルは、事務所に入って無理やり歌わされていました。ですから、面白くないことが多かったんですね。

 でも、ライブアイドルは自分から歌い始めて、初舞台から5人くらいのオタクファンがついて「私を応援してくれる人のためにも、やっていく!がんばる!」みたいな気持ちになるわけです。周りからは馬鹿げていると思われるかもしれないけど、そこに新しい時代の芽が隠れていて、面白いアイドルが生まれてきたりするんですよ。

■歌い手・踊り手は、ライブアイドルと融合する?

ライブアイドル「でんぱ組inc」

――サエキさんは、ニコニコ動画をよく見られていますか?

サエキ: はい。ニコニコ動画のプレミアム会員ですし、初音ミクのアルバム(『初音ミクsingsハルメンズ』『初音ミクsingsニューウェイヴ』各ビクター)をプロデュースしているのでチェックはしていますよ。最近は、私自身、ニコニコ生放送への出演機会も増えてまして親しんでいます。

――そんなサエキさんがニコニコ動画で興味を持ったコンテンツは?

サエキ: ボーカロイドと東方系は、身近に活躍していた人が多かったこともあって注目していました。初音ミクはすごいのありますよね、『FREELY TOMORROW』とか。うどんゲルゲさんとか、ぶっちぎりPさんとか、キャプテンミライさんとかも面白い。ただし、ニコ動で人気のある楽曲は偏った好みがあるなって思いました。例えば、僕の属しているニューウェーブ(音楽ジャンルのひとつ)だと、動画の80%はP-MODELのカヴァーだったり、好みがはっきりしている。野宮真貴より戸川純のほうが圧倒的に多くて、痛みを共有するメロディが人気という傾向ですね。

――音楽以外で興味を持ったコンテンツはありますか?

サエキ: 「絵師」と呼ばれる人たちが、見返りを考えずに、あれだけのハイクオリティなものを提供している。「歌ってみた」のアーティストに比べると、なかなかニコ動で人気の絵師が一般社会で認められた実例がまだまだ少ないなって思います。あとは「歌ってみた」「踊ってみた」「弾いてみた」のコンテンツが、少しずつ融合してきているのに興味を持って見ています。

――ライブアイドルはセルフプロデュースするということですが、ニコニコ動画の「歌ってみた」「踊ってみた」に動画をアップする人たちも、セルフプロデュースという面では共通点があると思うのですが?

サエキ: 「オタク」という文化でくくる一般人が多いと思うけれど、僕はニコ動の文化は、もっと細かく分かれているという認識なんですよ。初音ミク、東方、歌ってみた、踊ってみた…全部カルチャーが違うんですね。

――ライブアイドルのファンとニコニコ動画のファンは重なるのでしょうか?

サエキ: 同じものに興味はあると思いますが、生活のパターンが違う。ニコ動で楽しんでいる人たちのイベントは、ニコ動ありきでイベントがあるんですけど、ライブアイドルたちは毎日ライブが忙しくて、ニコ動に動画をアップする時間さえもない。ライブアイドルと、ニコニコ動画の歌ってみた、踊ってみたは、そういう意味で別のカルチャーなんですよ。そこに住み分けはありますね。それぞれのカルチャーにスターがいて、それをmixしていかないと、さらに発展していかしない。だから、生活習慣、入り口の違いを融合させていきたいと思って自分でイベントをやっているんです。

――ライブアイドルとニコ動はカルチャーが別ということですが、今後、融合することは増えますか?

サエキ: ライブアイドルの子は(アニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」のED曲)『ハレ晴レユカイ』をまず踊れますし、ニコ動でも人気の(踊り手たちのグループ)M.M.F.Dancersがオタ芸に興味を持っていたり、同じ好きなものは共有していたんですね。そんな中で、M.M.F.Dancersのような本格的なダンサーたちがオタ芸を踊るのは融合の第一歩なんだと思います。次の「TOgether」は12月2日の金曜日に渋谷スターラウンジでライブアイドルベースのイベントをやります。ぜひ、遊びにきてください。

■元アイドルJulie Wataiが見るニコ動とライブアイドル

Julie Watai: 写真家、アーティスト。「天野あい」名義でグラドルとしても活躍。イタリアで出版された処女作品集「SAMURAI GIRL」が120万部の売り上げを記録。ハードウェア×美少女をテーマにしたカラフルポップでエロ可愛い写真集「はーどうぇあ・がーるず」が大ヒット。チップチューンユニット・JulieHallyのヴォーカルとしても活躍中。

――Julieさんは先日、サエキけんぞうさんのプロデュースする「TOgether」に出演されたそうですが。

Julie: はい。今、秋葉原を中心にクラブが盛り上がっていて、人気DJのKo Kimuraさんや、m-froのDJ☆Takuさんなども秋葉原にきて、DJ文化が盛り上がっていまして、そんな中、アイドルとDJの音楽がmixiしたイベントということで出演させてもらいました。

――Julieさんのユニット、JulieHallyはどんな音楽をやるのですか?

Julie: 「チップチューン」と言われる、ファミコン、ゲームボーイの音源で作った曲です。ユニットを組んでいるHallyさんは、チップチューン文化を日本に広めていった人です。

――そんなJulieさんですが、ニコニコ動画をよく見られていますか?

Julie: 超見てます。テレビ代わりに毎日見てますよ。「作ってみた」とか「科学」、ニコニコ技術部の動画をよく見ています。。私もサーキットベンディングの動画を顔出し&メイド服でアップしているのですが、再生数が全然伸びないです。2000再生くらい。私が作るコンテンツはニコニコ向けではないのかもしれませんね。

――Julieさんは、よく海外にも行かれていますが、海外のネット文化とニコ動の文化の違いについて、どう思いますか?

Julie: 欧州で動画サイトといえば、YouTubeとfacebook。ニコニコ動画を見ている外国人はまだまだ少ないですね。派生ネタに外国人はついていけてない感じ。日本語の独特な言い回しもあるので、ちょっと日本語ができる外国人でも複雑すぎて、面白い字幕についていけてないようですね。海外の動画サイトは、日記、ブログ感覚で生放送して育っている文化です。海外にはビデオブロガーと呼ばれていますが、日本には少ないですね。ニコニコ動画は、ビデオブロガーという言葉とは関係なしでやっている感じですよね。

――動画を見て、投稿している子たちをどう思いますか?

Julie: すごいと思います。「踊ってみた」とか、レベルが高いですね。上手な人もそうでない人も同じラインに立っていて、ストリートカルチャーって感じがします。それまでは原宿、渋谷のストリートで踊っていた人たちの場所が、ニコニコ動画というモニターの中で踊っている感じ。派生もあって、元を知らないと動画が楽しめないので、次々に流行を追っていかないとわからなくなる。でも、若い子はそれが苦じゃないし、むしろ楽しいんでいますよね。ニコニコ動画に触れてると新鮮だし、流行がわかります。

――ニコニコ動画からアイドルになりたいと思っている人も多いと思いますか?

Julie: 今のニコニコ動画には、アイドルになってテレビに露出したいという興味は少ないと思いますね。とんがってる人が多くて、売れるか売れないかじゃなくて、いかにとんがっている自分になるかということに賭けている感じ。

――ライブアイドルについてはどう思いますか?

Julie: ライブアイドルの魅力は、すぐ会える、距離が近いから声が届く、握手ができる、話ができる、顔も覚えてもらえるといったところですね。私が10年前にアイドルやっていたころは、こんなにファンがいなかったので、ライブアイドルファンが確実に増えていると思います。

――Julieさん自身は、これからどんな活動をしていきますか?

Julie: JulieHallyで歌をやっていきます。表現することはやめたくないので、カメラマンをしたり、電子工作やったりしていきます。アイドルは与えられた場所を演じる、誰かとの共同作業ですけれど、今私がやってるのは自己責任のセルフプロデュースなので、やりがいがあってとても楽しいです。写真集「はーどうぇあがーるず」の続編が来年の年明けぐらいにできたらいいなと思っています。

◇関連サイト
・ライブアイドルたちの写真を見る
http://news.nicovideo.jp/watch/np102458

(眞形隆之)

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