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第69回 刑務所の一日(出房)

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 時系列からすれば、新入訓練及び当初の雑居時代から始めるべきだが、それは別稿として、まずは刑務所での一日の一般的な流れを書くことにする。大分刑務所独居での一日である。
 平日は6時30分に起床となる。「おはようございます」というような声がスピーカーから流れてくることは拘置所と同じである。
 独居は幅2~3メートルの廊下を挟んで向かい合わせに並んでいる。向かい合わせといっても、若干ずれていて、前の房の内部すべては見通せないようになっている。

 独居の並ぶワンフロアーは、ほとんどが同じ工場での刑務作業に従事する者のためであって、私のフロアーの独居は主として木工工場独居であるものの、出入り口近くには医務衛生係の独居が4室ほどあった。出房入房時間が異なるためあまり会うことはない。

 朝起きると、直ちに布団を片付け、トイレ、洗面、簡単な掃除をする。掃除の際に、向かいの人と斜め左右前の人と顔が合うので目礼し手を挙げて挨拶。親しくしたくないといっても、その程度の挨拶はしなければならない。
 その後点検があり、朝食となる。7時の朝食は、そのフロアーの出入口を出た踊場スペースに、炊場受刑者がエレベーターで上げてくる。
 このとき、ご飯は個別のご飯茶碗に入っているが、汁物は大きい寸胴に、副食は大き目のタッパーに入っている。

 独居の中から4~5人ほど選ばれた人によって、汁物と副食は、それぞれ味噌汁茶碗と小皿に取り分けられ、それぞれ分量が均等かの刑務官による検査を受け(もちろん、副食が納豆のような場合は一人1個だから検査はない)、台車に乗せられて、各人に配布される。
 ちなみに雑居の場合、味噌汁については雑居にいる人数分がタッパーに取り分けられるが、刑務官は物差しを入れて深さを計測する。

 朝食時間が短いことも拘置所と同じである。朝食後、用便や歯磨きをしていると、当番の刑務官が各部屋の錠を外して回る。もちろんドアの外にある取っ手を回さないと開かない。

 しばらくすると、刑務官から「出房準備」との声がかかる。概ね7時30分ころである。冬でも窓は全開にして出る(台風の日は閉めておくように指示があった)。
 点検のときは廊下側を向いて正座をするのだが、出房準備のときは、持ち出す物をそばに置いて、逆に廊下を背にして正座して待つ。なぜだかは分からない。
 「出房」との声で順にドアが開放されていくので、開いた順に廊下に出る。ドアを出たところの左下部分にスリッパを入れる部分があり、ここからスリッパを出して履く。

 部屋を出るときには、ごみ箱がいっぱいであれば、これを出して置く。内装工場の人が回収してくれる。
 また、読み終わった雑誌や新聞を捨てるためにこれらを持って出たり、あるいは洗濯する靴下やハンドタオルを持って出たり、曜日によっては枕カバーやシーツなども洗濯のために持って出る。
 同じ工場の担当者(衛生係りなど)がかごを持っているので、そこに雑誌や新聞、靴下やハンドタオルを入れ、後で説明する通役袋も入れて2列となって整列する。

 持ち出すもので忘れてならないのは、3点セットと言われる、タオル、石鹸、通役袋と言われる袋であり、必ず持って出る。石鹸箱はタオルで巻いて左手で持つ。これは工場まで持って行くことになる。
 通役袋は、縦50センチ、横30センチほどの厚手のビニール袋で、底面にはまちがあって、ある程度の物が入る袋である。これが重要である。これは、刑務所側との連絡に使用する。発信する手紙を入れたり、前日にもらった願箋を入れたり(前日の願箋もこれに入ってくる)、歯ブラシなどの廃棄物も入れたりする。
 受信の手紙は帰房後に刑務官が手渡してくれることも多いが、この袋に入ってくることもある。洗濯済の靴下などもこの袋に入って戻ってくる。また、購入した日用品もこの袋に入ってくる。

 この袋を取り扱うのは計算工や衛生係と言われる人なので(同じ工場で働く受刑者ではある)、その人たちが手紙や願箋についてはその宛先などを見ることができないように、これらのものは、書類袋に入れてから通役袋に入れる。
 この通役袋は、朝出房して所定のかごに入れ、夕方には、この袋が戻ってくるという仕組みである。(つづく)

元記事

第69回 刑務所の一日(出房)

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