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できているようでできていない?高齢者と話すときの3つのポイント

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約20年にわたり、グループホームをはじめとした施設で、介護職に従事してきました魚谷です。今回は私が施設職員だったときに、部下や後輩に伝えていた高齢者とのコミュニケーションの取り方、その中でも話し方についてお話します。

3つのポイントを知る

話し方のポイントは、大きく分けて3つあります。
適切な大きさで話す
ゆっくり(はっきり)話す
わかりやすい言葉で話す

適切な大きさで話すとは?

当たり前と思われるかもしれませんが、意外とできていないことが多いです。年を重ねると誰でも耳が遠くなるという思い込みから、極端に大きな声を出し、話し相手の高齢者はもちろん、近くにいた私自身もびっくりしたことがあります。

つまりは、ただ大きくしゃべればよいというわけではなく、とくに難聴でない方の場合は、普段よりも少し大きくと考えると良いでしょう。なお元来、声が大きい方は、逆に普段よりも少し小さくと考えると良いでしょう。

ゆっくり(はっきり)話すとは?

これは意識しないと難しいです。まず、友だちとのおしゃべりを想像してみてください。最初のうちこそゆっくり話していたものの、盛りあがってくると自然と早口になってきます。しかし、多くの人は早口になっていると意識することがないのです。なぜならば、内容を理解する速度が話す速度に追いついているからです。

では、高齢者に置き換えて考えてみましょう。やはり、最初のうちこそはゆっくり話していても徐々に早口になってきます。しかし、高齢になると、内容を理解する速度が話す速度に追いつきません。困った顔をしていらっしゃる高齢者をよそに、早口のまま話し続けている方をよく見受けます。

早口が日常的な癖になってしまっていることが考えられるため、口を大きく開けて、ひとつひとつの言葉がはっきりわかるように「話し続ける」ことを「意識して」みると良いかと思います。ただし、ゆっくり過ぎてもいけないので、その微妙な速度感覚が大切です。

適切な大きさでゆっくり(はっきり)話せているかチェック

まず大前提として、人によって左右で聞き取りやすさに差があります。そのため、聞き取りやすい方の耳で話すことを忘れないよう注意しましょう。その上で、話の途中で答えに困らない程度の質問をしてみてください。ただその質問は、「はい」か「いいえ」で答えられる内容ではいけません。

話の内容が聞こえていなくても、何かを言っていることはわかっていて、聞き返すのも失礼なのでうなずくだけとなっている、そんな経験をしたことは皆さんないだろうか?

話の内容を理解いただけたかチェックする

ひとつの例として、出身地を聞くことを挙げます。ここで重要なのは、その答えが合っているかではなく、通じているかです。大体の方が、どこかの地名を答えるか、「どこやったかなぁ」等と答えるはずです。そうでない場合は、適切な大きさでゆっくり(はっきり)話せていなかったと言えるので、日々チェックしてみてください。

わかりやすい言葉で話すとは?


私たちが、日ごろ何気なく使っている言葉の中に、高齢者にとっては理解しにくい言葉が意外とあります。そこで私の経験談をひとつ話してみましょう。

ある日、新聞の記事を題材に話をしていて、あるテーマパーク(具体的な場所は忘れました)が儲かっていると話し始めたところ、一人の決して理解力が難しくなっていない方に、「テーマパークって何やの?」と言われたのです。「それはディズニーランドとかの…」とは言ったものの、後の説明に困っていると、「ディズニーランドなら知っているけど…」と言われる中で、豪華な遊園地と考えてもらえればという言葉をやっとの思いで出しました。

「へぇ~そんなのがあるんやねぇ…」その返事を聞き、伝わったという喜びを強く感じました。同時に、昔は使っていなかったと思われる言葉に関しては、多少意味が違ってしまっても、わかりやすく言い換えて話をしようと決めた瞬間でもありました。

あとがき

話し方のポイントを3つに分けて説明しましたが、相手の表情を見るという、話をする上での大前提を忘れないようにしてください。「当たり前のことじゃないですか」そんな声が聞こえてきそうですが、私の経験上、できていない場合が多く見受けられます。表情を見ることで、話をしている内容が相手に伝わっているかを知ることができ、状況に応じて声の大きさや速度、説明の仕方を変えていってみてください。

認知症の方が不穏となるのは、理解や判断ができなくなっているなど認知症を原因とするものだけではありません。話の内容が理解できない状態で行動をとらせている、私たち介護者側にも不穏となる原因の多くがあると思っています。

この記事を書いた人

魚谷幸司

昭和47年生まれ。東大阪市在住。大学在学中よりアルバイトで介護に従事する。卒業後は特別養護老人ホームやデイサービスセンター、認知症グループホームにおいて主任や副管理者等で勤務した後、本年1月に認知症支援事業所を起業。500人、20年以上に渡って認知症と呼ばれる方の声を聴き、今も向き合い続けています。また社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士、介護支援専門員を所持し5人の成年後見人としても活動しています。

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