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生前退位

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 天皇陛下が、生前退位の意向を、宮内庁関係者にお話しされたとの報道がなされた。その結果、皇室典範の改正といった問題が浮かび上がっている。
 かつては、司法試験の短答式試験の憲法で、皇室典範からの出題もなされていて、妙に懐かしい気持ちになってしまった。

 今回は生前退位にかかわる皇室典範の話である。
 皇室典範4条は、即位を規定しており、「天皇が崩じたときは、皇嗣が、直ちに即位する。」とあり、天皇がお隠れになった場合の即位のみを定めていて、生前退位について触れるところがない。
 解釈としては、4条は、天皇陛下がお隠れになった場合の皇嗣の即位時期だけを規定したもので、生前退位について禁止したものではないとの解釈もあり得るかもしれない。

 しかし、皇室典範16条以下、特に16条2項は、「天皇が、精神若しくは身体の重患又は重大な事故により、国事に関する行為をみずからすることができないときは、皇室会議の議により、摂政を置く。」としている。
 今回の生前退位は、天皇陛下の国事行為の多さからくる天皇陛下の心身のご疲労に端を発している。とするならば、摂政を置く理由にはなり得るのであって、生前退位ではなく摂政をもって国事行為をさせることを予定していると考えられるから、やはり皇室典範は生前退位を認めていないと考えるべきであろう。

 しかも、皇室典範を改正して生前退位を規定することはかなり大変なことだと思われる。というのも、おそらくそのようなことはないだろうが、時の天皇陛下に対して含むところがあって、何の問題もなく生前退位を求める権力が出現する可能性がないとはいえない。
 そこで、生前退位の実質的要件である、いかなる事由が発生した場合に生前退位を認めるのか、生前退位の形式的要件である、誰が発議をして誰が決定をするのか(決定は皇室会議となるか?)という手続要件を規定する必要が出てくるからである。
 さらには、生前退位なされた天皇陛下を事後的にいかにお呼びするのかという問題がある。かつては上皇だとか法皇という呼称もあったが、皇室典範にはない。

 そして、いかなる事由が発生した場合に生前退位を認めるのかという実質的要件を考えてみると、それは、結局、摂政を置く皇室典範16条2項とほぼ同じ要件とならざるを得ないのではないだろうか。私の能力では、それ以上の(摂政を設置する要件以上の)要件を想定することができない。

 とすると、生前退位と摂政とが要件的に重なり合うわけで、摂政制度がある以上、生前退位を新設する意味はほとんどないことになる。
 つまり、生前退位の導入自体に立法目的が欠如とするということになり、生前退位を新設する必要性はないということになる。
 天皇陛下の激務のご苦労はよく理解できるが、悩ましい問題である。

 話はかわるが、ニュースソースとなった宮内庁関係者というのがよく分からない。天皇陛下のお言葉を、そんなに簡単に外部に漏らすような輩がいるとすれば大問題である。
 宮内庁関係者に知人がいるので、聞いてみると、すでに犯人探しが開始されているようである。ニュースソースが特定されたならば、すぐにでも辞めてもらうことだ。

元記事

生前退位

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