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PL野球部員 感謝の気持ち込めてと「おやしきり」行なう

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 甲子園制覇7回、春夏通算96勝を誇るPL学園野球部が“廃部”に追い込まれた。12人の3年生の中に、かつて当たり前だった特待生はいない。いわば普通の高校生である彼らはこの1年、「超強豪校の最後の部員」の看板を背負う重圧と戦い続けてきた。

 PLに起きた異変を2年にわたって追いかけてきたノンフィクションライター・柳川悠二氏が、「最後の夏」が終わった日の様子をレポート。PLは2015年度からの部員募集停止を2014年に発表し、2016年夏の「休部」が既定路線となった。そして、この夏の大会で、初戦を7-6で落とし、「PL野球部最後の夏」は幕を閉じた(文中敬称略)。

 * * *
 夏の大阪大会初戦(対・東大阪大柏原)の前日、セカンドの河野友哉と、控え外野手の正垣静玖(しずく)がフライを追って激突。河野が左足大腿骨の骨折、正垣が左肩亜脱臼という大けがを負ってしまう。試合に出られるのは9人ギリギリとなった。

 PLは初回に2点を先制。しかし立ち上がりに不安を抱える先発のエース・藤村哲平の制球が定まらず、すぐに同点に追いつかれてしまう。2回裏、走者をためたところで主将・梅田翔大にスイッチ。3点の勝ち越しを許したが、その後は好投が続いた。春からの試行錯誤が、実を結んでいた。

 4対5で迎えた7回表。藤村がバットで借りを返した。レフトに2点本塁打をたたき込み、6対5と試合をひっくり返したのだ。春先までは、先制してもいつの間にか勝ち越しを許している「逆転されるPL」だった62期生が、土壇場で往年の「逆転のPL」を再現してみせた。

 スタンドも沸き立った。しかし、8回に再び逆転を許し、12人の夏は終わった。

 日が沈みかけていた。チーム一の元気者、森實尚之がホームベース付近でアミュレットと呼ばれる首からぶら下げたお守りを握りしめ「おやしきり」を行っていた。

 この所作は、学園の母体であるパーフェクトリバティー教団(PL教団)における「おやしきり(祖遂断)」という宗教儀式で、部員たちがアミュレットを握るもの。心の中で「お・や・し・き・り」と唱え、普段の力が発揮できるように祈りを捧げる。

 落ち着いた頃を見計らって声をかけると、森實はこう話した。

「自分たちは、PLの信仰を通じて、野球をやらせてもらっていました。こんな苦しい状況でも、みなさんの応援と支援をいただきながら、頑張らせていただいたので、みなさんに感謝の気持ちを込めていました」

 12人の夏は、こうして終わりを告げた。

※週刊ポスト2016年8月5日号

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