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摩天楼オペラが現体制ラストの単独公演『飛翔』で刻んだ8年間の集大成

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摩天楼オペラが7月22日、渋谷TSUTAYA O-EASTにてワンマン・ライブ『飛翔』を開催した。

突如オフィシャルサイトにてギタリストのAnziが脱退することが発表されたのは、昨年から行われていたワンマン・ツアー『”地球 -The Elements- TOUR”』ファイナル公演から1週間ほどたった、5月15日。

Anziは脱退理由について“意識や信念の違い”とオフィシャルサイトでコメントしたが、ライブ終盤にはメンバー全員からそれぞれの想いが語られた。現体制5人でのラストライブ。セットリストは、インディーズ時代も含めAnzi加入後の約8年にわたる楽曲で構成された。フロアから大きな合唱が幾度も響きわたった『飛翔』の全容を徹底レポートする。

客電が落ち、ベートーベンの「第九」交響曲にあわせ幕が開くとステージからは光があふれ、フロアにはたくさんのメロイックサインを掲げるオペラー(=ファンの総称)たちの姿があった。チケットはソールドアウト。平日にもかかわらず会場には多くの人が駆けつけ、客席は2階まで解放された。

メンバーを迎える手拍子が鳴りやむと、同時にステージ上でスタンバイしていた5人が最初に選んだ曲「Faust」を聴かせる。激しさと美しさが同居する得意のシンフォニックロックで、ベース・燿とAnziがテクニカルなタッピングを聞かせると、紡ぐサビではフロント・マンの苑がのっけから途方もない存在感を見せた。そこから「落とし穴の底はこんな世界」「RUSH!」とAnzi作曲のナンバー(「落とし穴の底はこんな世界」は苑との共作)で畳みかけると、フロアの熱量は急上昇。いきなりの全力でステージに挑んだメンバーに圧倒された。

「飛翔にようこそ!」と苑が第一声を張り上げた後は、「この日が来るのが怖い気がして。どうやってライブをもっていこうかな、“行くぞ”なんて言えるのかなと思ったけど、みんなの声と顔を見たら、ふっきれた。いつも通りのライブにしたいね」とひとこと。観客と同じように晴れやかな声と表情で、いつも通りフロア全体を煽った。

続く「Justice」は、彼らのメジャー1stツアーで冒頭を飾っていた曲。力強い苑のハイトーン・ヴォイスにあわせ、Anziがエモーショナルにチョーキングを響かせると、続いてドラム・悠のビートを軸とした「Psychic Paradise」。栄光の裏に潜む“影”にフォーカスを当て、その葛藤を描いた「Innovational Symphonia」など、現代の象徴である“摩天楼”と古き良きものの象徴である“オペラ” の魅力を存分に引き出すナンバーを次々と披露した。常に“瞬間”へと最高のプレイを届けてきた彼らのステージには、自然と拍手が巻き起こる。途中エレガットギターの音色が印象的だったのは、最新アルバム『地球』の中から配信シングルとしてもリリースされた「靑く透明な神秘の海へ」。壮大なメロディーに異国情緒漂うアプローチ、ダイナミックなドラミングが海路を先導していった。

その後は、キーボード・彩雨が鍵盤の音を鳴らすと会場の視線がステージへ集中した。「Utoipa」は、楽器陣4人の音が重なるインストゥルメンタル。ステージ中央でメンバーと呼吸をあわせながら弾くAnziは、鳴きのギターで空気を一変させ、観る者を魅了した。そこからメジャー1stシングルでもあった「Helious」をプレイ。

「序盤から攻めたオレははじめてだと思う」

一歩も譲らない熱量を互いにぶつけあう中、ライブは折り返し地点へ到達。「Sexual Entrapment」では彩雨がショルキーを抱えステージ上を駆け回り、苑がドラム台に上り悠と掛け合うように両手の拳を掲げ、さらに「Jolly Rogerに杯を」では自らヘドバン。荒々しいメタル・チューン「BURNING SOUL」でも勢いは止まらずステージ上で激しい演奏バトルを繰り広げた。苑も魂の叫びを振り絞り、観客を熱狂させた。タオルを振りまわし煽る「悲哀とメランコリー」、インディーズ時代からの定番曲「ANOMIE」を歌い終えると、ここでMCを挟む。

「人の人生こんだけあるとみんながずっと前を向けるわけがなく、うちのメンバーみんながみんな違うとこに出て、まずはここまでやってこられたこと、みんながいたからです。感謝しています」

苑が感謝の気持ちを述べると、メンバーそれぞれの想いが直接ファンへと届けられた。

「今日が最後だけど、5人で音出すのが楽しみでやってこられたから、みんなのおかげですごい楽しかった。またAnziくんとは野球も観に行くし、音楽を続けていればスタジオでも音を出せると思うから、イングウェイのコピーとかやれると思うので。Anziくん、ほんとうにありがとう。ここにいるみんなも」(悠)

「この前のツアーからいろいろあって、みんな納得したから発表して、今日を迎えたんだけど、いろんな思い出を思い出したけど。Anziくんに無茶ぶりをされたのを思い出して、すごい楽しい8年だったなと(笑)。俺ベースの位置だといつもライブの視界に(Anziくんが)入るから、ギターソロとか後ろから聞いてるのがとても楽しくて。これが正しい選択だったと……これから続けるバンドもそうだけど、Anziくんも続けていくので。そう言えるように最後まできっちり楽しみたいと思います」(燿)

「皆さんの前で5人最後の姿が見せられたこと、うれしく思います。方向性の違いで先輩が解散したりしているわけで、今まで“方向性の違い(笑)”くらいにしか思ってなかったけど、今回ばかりは誰が悪いとかでは無い。2月末にスタジオでもめたり、あの言い合いが無かったらとかこればかりは避けられない。“ロック感”の違い。辞める、残る、続けるのも正解。それぞれの“ロック感”を信じて、Anziくんも僕ら4人のことも、これからよろしく。」(彩雨)

「ここに想いを届けてくれてる世界中の皆さんに、ありがとうございました。8年でこうなったけど、自分の中で悔いも残りもありません。このメンバーじゃなかったらいまだにしょぼいバンドしてアルバイトしてたかもしれないし、このメンバーたったからメジャーデビューできたし。それは感謝しています。俺は真摯にに音と向き合っていきたいと思います。これからもみんな好きな、それぞれの音楽を愛して下さい。」(Anzi)

「来ちゃったね、こんな日が。伝えたいこと表現したいことの違い、我慢しちゃいけないことなんだよね。俺は歌詞で“やりたいようにやっちまえばいい”、“自分を信じていけ”、“自分の力を信じ未来を見据えて”っていっぱい歌ってきた。彩雨もそれを貫いた結果だと思う。摩天楼オペラは家族よりも誰よりも長く5人で過ごしてきた“疑似恋人”みたいな感じ(笑)。こうなったのもお互いが愛情を持って信頼してやってきたからこそ、そういう結果になった。たぶん今日いろんなところからいろんな人が来てくれたでしょ? その気持ちがうれしいです。どうもありがとう。左から聞こえる音が最後かと思うとAnziくんでよかったなと思います。恥ずかしいね。でも本当の気持ちなんで、どうもありがとう。これは俺たちのワガママなんだけど、みんながいないと音楽できません。これからのAnziくんと摩天楼オペラをよろしくお願いします」(苑)

そしてメンバーが出会ってみんなで作った思い出深い曲、とインディーズ当時を振り返りながら久しぶりに「瑠璃色で描く虹」が贈られた。「GRORIA」の合唱からすべてが共鳴し、一点の曇りも無くひとつになっていく様子が感じられた、この日。勢いはアンコールまで続き「INDEPENDENT」で歓声が巻き起こり、80年代のギター・サウンドが心地よい「21mg」「天国の在る場所」と最後まで駆け抜けた。ラストでは再び“合唱”を通し音楽を共有。「喝采と激情のグロリア」を終えると応えきれないほど彼らを求めるアンコールが鳴り響いてたのが、印象的であった。

なお今後4人体制で活動することが決定している摩天楼オペラは、10月19日(水)にメジャーデビュー以降の軌跡を集約した2形態のベストアルバムとミニアルバム(タイトル未定)のリリースが決定している。また本公演『飛翔』の模様をなんと全80ページにわたり収めたフォトブックの受注も受付中。詳しくはオフィシャルサイトで確認を。

撮影:土屋良太

取材:後藤千尋

【セットリスト】
1.Faust

2.落とし穴の底はこんな世界

3.RUSH!

4.Justice

5.Psychic Paradise

6.Innovational Symphonia

7.青く透明なこの神秘の海へ

8.Utopia

9.Helious

10.Sexual Entrappment

11.Jolly Roger に乾杯を

12.BURNING SOUL

13.悲哀とメランコリー

14.ANOMIE

15.瑠璃色で描く虹

16.GRORIA

<ENCORE>

1.INDEPENDENT

2.21mg

3.天国の在る場所

4.喝采と激情のグロリア












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