「趣味」と「実用性」を兼ねた家づくり・空間づくりのコツは?

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【画像1】レール用の溝をつけた柱と梁を設置し、扉を入れるだけで仕切れるようにした空間。ワンフロアとしても3つの個室としても使える(画像提供/Half& Half HOUSE)

遊び心のある趣味スペースに憧れながらも、「子育てや家事との両立は難しそう」と諦めている人は多いのでは? しかし、アイデア次第で遊びと実用性を兼ね備えた住まいはできるはず。子育てや家事のしやすさに配慮しつつも、趣味を楽しむためのスペースを実現するポイントを建築家の中佐昭夫さんに尋ねた。

フリースペースを設けて、スペース不足を解消

最近は「広さや間取りといったスペック面だけでなく、家に『個性』や『面白さ』を求め、自由に家づくりを楽しむ人が増えている」という建築家の中佐昭夫さん。

とはいえ、中には広さがネックになって、「欲しかった趣味空間を断念した」という人も。子育てや家族だんらんと、趣味空間を両立するためには「スペースの解決」がカギとなる。中佐さんがその解決策として提案するのが、ライフスタイルの変化や子どもの成長に応じて、変化させられる自由度の高い空間をつくっておくことだ。

「例えば子どもが小さい時期はワンフロアの広い空間として子どもの遊び場や趣味空間として使い、成長後は個室として仕切れるような空間をつくることは、省スペースに役立ちます。ただし、そのためには現在の暮らしだけでなく、20年、30年後の暮らしを想像することが重要。その上で、どこで趣味と実用性のバランスを取るか決めていくといいでしょう」【画像1】レール用の溝をつけた柱と梁を設置し、扉を入れるだけで仕切れるようにした空間。ワンフロアとしても3つの個室としても使える(画像提供/Half& Half HOUSE)

【画像1】レール用の溝をつけた柱と梁を設置し、扉を入れるだけで仕切れるようにした空間。ワンフロアとしても3つの個室としても使える(画像提供/Half& Half HOUSE)

一緒に遊べる空間をつくって、親子の時間をより楽しく

音楽やスポーツ、読書など家族が共通の趣味をもっているなら、その趣味を一緒に楽しむための専用空間をつくるのもよいだろう。例えば吹抜けを利用したクライミングウォールやみんなで演奏できる音楽室があれば、子育てをしつつ、趣味の時間をシェアできる。自分の趣味や嗜好を思い切り表現した空間をつくることで、家への愛着もより深まるだろう。【画像2】ポーチから外部吹抜けを経由し、屋上へとつながるクライミングウォール。太陽光や外気の通り道も兼ねており、通風と採光のためにも役立っている(画像提供/3Way House)

【画像2】ポーチから外部吹抜けを経由し、屋上へとつながるクライミングウォール。太陽光や外気の通り道も兼ねており、通風と採光のためにも役立っている(画像提供/3Way House)

「家族」と「個人」の空間を分けて、気持ちを切り替える

普段は家族とにぎやかに過ごしつつ、時には1人で趣味に集中する時間も欲しい。そんな人は「家族と個人」「大人と子ども」「来客に見られるパブリック空間と家族だけのプライベート空間」など、それぞれの空間でがらりと雰囲気を変えてみるのも手だ。

「空間ごとに内装の素材や色、天井高を変えれば、コンパクトな空間でも気持ちを切り替えられます」

互いの趣味に興味をもてる空間づくりを

プライベートでは、10歳と5歳の息子の子育て中でもある建築家の中佐さん。2009年に建てた神奈川県の自邸では、「車」「料理」「音楽」という夫婦の趣味を存分に楽しみながらも、毎日の暮らしやすさや子育てのしやすさに配慮したアイデアを実験的に取り入れている。

そのひとつが、家族みんなで過ごすLDKを中心に、右側には夫のガレージ、左側には妻のキッチンを配置した間取り。LDKの両脇にガレージとキッチンを配置し、家族の空間と趣味空間を完全に切り離すのではなく、見える場所に置くことで、家族が互いの趣味を好意的に受け入れられるという。

「例えば僕が車の手入れをしていたり、妻がパンを焼いていたら、子どもたちも自然と『何してるのかな?』と興味をもつし、親がどんなものを好きなのか、自然と理解する。それも家族のコミュニケーションのあり方だと思います」【画像3】子どもがリビングで遊んでいるときも、自然と趣味を楽しむ両親の姿が目に入るようにしたLDK。正面の棚は家族で共有し、家族それぞれの本やおもちゃ、要理道具などを収めている(画像提供/中佐昭夫)

【画像3】子どもがリビングで遊んでいるときも、自然と趣味を楽しむ両親の姿が目に入るようにしたLDK。正面の棚は家族で共有し、家族それぞれの本やおもちゃ、要理道具などを収めている(画像提供/中佐昭夫)

また、敷地内に母屋と離れという2つの建物を作ったのも特徴。もともと離れは二世帯住居の予定で建てたものだが、現在は夫のホビールームとして使っている。

「将来は子ども部屋や、人に貸したりすることも考えています。こうした“流動性のある空間”をつくっておくのも、趣味と実用の両立につながります」【画像4】敷地内にある左側の離れは、愛用の自転車や家具を並べた夫のホビールームとして使用中。母屋と離れているため、夜間でも気兼ねなく音楽を聴いたり、DVDを鑑賞したりできるのが利点だ(画像提供/中佐昭夫)

【画像4】敷地内にある左側の離れは、愛用の自転車や家具を並べた夫のホビールームとして使用中。母屋と離れているため、夜間でも気兼ねなく音楽を聴いたり、DVDを鑑賞したりできるのが利点だ(画像提供/中佐昭夫)

どんな趣味空間をつくるのかを決める過程も、家づくりの楽しさ。家族でじっくり話し合い、遊び心のあるわが家を手に入れよう。

文/工藤花衣 撮影/矢野紀行、相馬ミナ●取材協力

中佐昭夫さん

71年広島県生まれ。95年広島大学工学部卒業、97年早稲田大学理工学研究科修士課程修了。山本理顕設計工場勤務を経てナフ・アーキテクト&デザインを共同設立。妻、10歳の長男、5歳の次男との4人暮らし。車と音楽が趣味で、自邸にも専用のスペースをつくったHOUSING●HOUSING by suumo 9月号

とじ込み付録

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9月号の特集は

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