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社長を目指す新入社員は過去最低 増える「ほどほど志向」社員

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社長を目指す新入社員は過去最低 増える「ほどほど志向」

日本生産性本部が平成28年度新入社員を対象にした「働くことの意識調査」で、興味深い結果が発表されました。
「人並みに働ければ十分」と答えた人が58.3%(昨年度53.5%)と過去最高を更新するとともに、「どのポストまで昇進したいか」では、「社長」は、10.8%と、10年前の17.8%から大きく減少し、こちらは過去最低になっています。
加えて、「働く目的」では「楽しい生活をしたい」が、過去最高の41.7%(前年度37.0%)と、これまた過去最高を更新し、「ほどほど志向」の傾向がさらに高まっているようです。
今回の結果をどのように捉え、生かせばよいでしょうか。

時代の流れに伴う働き方の変化

少子高齢化が急速に進むにつれ、出産・育児による女性の負担を減らすべく、男女ともに育児休業の取得を推奨する世の中になってきました。
また、介護の必要性に迫られて、働き盛りの人たちが退職を余儀なくされる状況を鑑み、介護休業の改正も予定されています。

社会全体として、ワークライフバランスを推進し、戦後の人たちには考えられなかった時代へと大きく変わってきているのです。
今後は、男性が育児のために休業することも当たり前になっていくでしょう。
そういう意味では、誰もががむしゃらに働き、ひたすら昇進を目指すこれまでの意識が多様化してきたことは、自然な流れとも言えます。

価値観の二極化

かつて日本では、上位に昇りつめていくことこそ良しとする風潮がありました。
教育現場においても然りです。
しかし、これも変容を見せています。

「個性」を重視し、個々の「価値観」を前面に出して生きることこそ大切だと考えられる世の中になってきたのです。
若い世代において、「ほどほどに働いて、楽しく生活していくことこそ大切だ」と思う人が増える現状も不思議ではありません。
正直に気持ちを発信できる世の中になったということかもしれません。

しかしながら、若者のすべてがそういう傾向にあるわけではなく、たとえば社長を目指したい人だって一定数は必ずいます。
つまり、価値観が二極化してきているのです。

いずれにせよ本来の自分の気持ちを大切にして生きることは重要であり、そういう意味では、現代社会にマッチした状況だとも言えるでしょう。

コミュニケーション力の希薄化

一方、懸念されることの一つが、若者たちのコミュニケーション力の希薄化です。

組織に入れば、年齢、立場、価値観の多様な人たちが大勢いて、その中でうまくやっていくためのコミュニケーション能力は欠かせません。
人事担当者においても、コミュニケーション能力の有無は、採用時の大きなチェックポイントとなっているようです。

ところが、若い世代では、気の合う人との関わりは別として、不特定多数の人との積極的なコミュニケーションを嫌う傾向が強くなってきています。
これまで学生から新卒社員まで、若い世代に対する教育を数多く行ってまいりましたが、電話応対や、業務外での他のメンバーとの関わりにおいては、一層顕著です。

一人一台の携帯電話が普及し、相手はほぼ登録している知人友人であり、電話を取り次ぐこともない時代に育ってきた世代。
また、組織で顔の見える同じ部署に所属していても、用件はすべて便利なメールで行う慣習。
このように敢えて直接会話をしなくても不自由をしない状況に慣れてしまっている世代にとって、コミュニケーション能力の低迷は大きな課題です。

コミュニケーションに対する消極性から、「必要以上に昇進しなくてもいいから、ほどほどに気楽に働いていきたい」という思いになることもあるようですが、どういう働き方を望もうと組織の一員となったからには、克服していかなければならない重要な課題です。

受け入れ側の意識変革が不可避

いずれにせよ、「刻々と変わる世の中」と「人の価値観」をうまく扱っていくことが、企業には不可欠です。
今後は、新たな考え方を拒否するのではなく、時代の流れを受け入れる柔軟性が大切でしょう。
多様化する人材に対して「適材適所」を推進できるよう、コンプライアンスから人事の制度まで、改めて考え直す転換期の到来かもしれません。

(浜田 純子/企業研修講師)

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