料理&営業時間が一目瞭然! その名もずばり「カレー屋3時まで。」【荻窪】
中華、バー、そしてカレーという三兄弟
「カレー屋3時まで。」
提供している料理と、営業時間がズバリとわかる。これほどわかりやすい店名はないだろう。痛快!
場所は東京、JR中央線の荻窪駅北口から徒歩5分。個人経営の飲食店が並ぶ、天沼八幡通り。ここを通って帰路に着く住民が多いため、多くの人で賑わっている。その一角で営業をしている。いわずもがな営業時間は……もちろん11時~15時まで。
店舗まで足を運んで取材を進めていくと、特殊なのは店名だけではないことがわかった。まずは店舗の遠影写真を見てほしい。
隣が中華料理店なのだ……!
1階の中華料理「啓ちゃん」。隣の建物の2階にバー「Bar Soar」。バーの昼営業として「カレー屋3時まで。」。
実はこれら3店舗はすべて同じ経営者が切り盛りしているのだが、それぞれが隣接しているばかりか、味の秘密につながっているというのは、のちほど紹介する。
経営者の幸田啓さんは、中華料理店で修行後、2011年7月に独立。最初に始めたのが中華料理店だった。
さらに飲み屋さんにも興味があり、2015年10月にバーを開店。
そしてバーの昼営業として、「カレー屋3時まで。」が2016年3月から始まった。
つまり、どんどん拡張している!
カレー店と中華料理店、バーを一緒に経営しているのはここだけだろう。さっそく店内へ。
隣接した建物の2階に登ってみると、洋酒のビンが並ぶ小綺麗なバーがお目見え。昼営業として「カレー屋3時まで。」が営業しているのだ。
中華仕込みの濃厚なオリジナル洋風カレー
さてこちらがレギュラーメニューのカレーである。
▲カレー並盛り(650円)。さらにフライドオニオン(100円)、チーズ(100円)をトッピング
一見、普通の洋風カレーに見えるが、口に含むと実にしっかりとした味。密度の濃いカレールウで、他では味わったことのない謎のズッシリとした重みが感じられる。そしてチーズが風味、フライドオニオンが香ばしさを演出してくれる。
この濃厚さの秘密は、1階の中華料理店にある。実は、中華スープやラーメンのカエシなどを使い、中華料理の味を取り入れているのが特徴。あれこれ研究した結果、鳥ガラ、豚ガラ、にんにく、ショウガなどを煮詰めたものがカレーのベースとなっている。
ダシが出ているので旨味が違うんです。ぼけていて味がはっきりしていないカレー屋さんってあるじゃないですか。自分の場合、あくまで自分が美味しいと思えるようなモノを作りたい。だから、パンチがあって、また行きたくなる味を目指しました。ある意味で「クセになるような」味わいを出せればと。(幸田さん)
そう、ハマる人はハマるオリジナリティのある味わいだ。
カレー店と中華料理店を一緒に経営するお店は、少ないだろう。中華料理店のメニューでたまに見かけるカレーの多くは中華鍋で作られるが、それらと違ってカレー専門店の味を基準にしているのも個性のひとつといえよう。
ガッツリいきたいなら、「特盛り」がオススメだ。
▲カレーの特盛り(850円)に、ソーセージ盛り合わせ(350円)をトッピング
値段の割に、けっこうな量(500グラム!)で満足度が高い。トッピングで乗せたソーセージ盛り合わせはチョリソー、ハーブ系が合わせて5種類。2杯分食べた気分で、午後も乗りきれる!
普段使いしてもらえるように価格設定は安め。この他にトッピングも豊富。ちなみにテイクアウトも可能だ。
スプーンもこだわって食べやすいものをセレクト。このレンゲスプーンは柄が普通よりも幅広に作られており、それなりの重さもあるので安定感バツグン。
中華料理店で修行を重ねた幸田さん。ただ昔からカレー好きでカレー店もやってみたかったという。
お昼時になると、近隣の会社にお勤めのお客さんがどっといらっしゃって、1階の中華料理店が満席になっちゃうんです。そうしたお客さんの流れをどうにか呼び込もうと、普段お昼の時間は閉めているバーをカレー店として開店しました。開店からまだ数カ月ですが、「カレー屋3時まで。」に、ほぼ毎日きてくださるお客さんもいらっしゃいます! (幸田さん)
中華料理は、厨房に立つ料理人によって味がずいぶんと変わってしまう。しかし、カレーは完成品を盛るだけで出せるので、味がブレる心配もなく、比較的開店もしやすい。お互いの長所をいかしつつ、うまく両立させている。
夜のバー営業ではカクテル&中華メシも堪能できる
この「カレー屋3時まで。」、19時からは「Bar Soar」として営業している。
バーテンダーは、その道8年の地元の後輩。バー開業後「僕に任せてください」と直訴してきたそうだ。
ちなみに、バータイムは夜中の3時までカレーが食べられるだけでなく、1階の中華料理店が23時まで営業するため、バーに居ながらにして中華料理も注文できてしまう。
一風変わったというか、便利すぎる業態だ。カレーや木耳と玉子炒め、麻婆豆腐なんかをつつきながらカクテルをたしなめるので、会社帰りに晩ごはんを頼むお客さんもよく来るそう。納得!
▲スタッフの幸田葉子さん(左)と、脇田木綿子さん(右)。ふたりは中学の同級生。このユニークな店名はスタッフみんなで考えたという
最後に「3店舗を同時に経営するのは大変ですか?」と幸田さんへ問いかけると、「やはりスタッフがいてこそ成り立っています」と模範解答のような答えを頂いた。店長をこなせる人間は、懐の広さと人徳あってのこと。このお店の居心地の良さは、切り盛りしている人々の繋がりから生まれるのかも……。
近所に住んでいる方は、味覚以外の何かも得られるものがあるはず! まずは近所でなくとも濃厚なカレーに舌鼓を打ってほしい。
ただし、営業時間は「3時まで」!
お店情報
カレー屋3時まで。
住所:東京都杉並区天沼3-31-35 2F
電話番号:03-3393-2922
営業時間:11:00~15:00
定休日:無休
ウェブサイト:https://www.facebook.com/3jimade/
※金額はすべて消費税込です。
※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。
書いた人:高岡謙太郎
オンラインや雑誌で音楽・カルチャー関連の記事を執筆。共著に『Designing Tumblr』『ダブステップ・ディスクガイド』『ベース・ミュージック ディスクガイド』など。
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