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【『美味しんぼ』海原雄山のモデル】ビジネスパーソンが見習いたい!美食家・北大路魯山人の飽くなき探求心

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【『美味しんぼ』海原雄山のモデル】ビジネスパーソンが見習いたい!美食家・北大路魯山人の飽くなき探求心

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夏が近づいて、薄着と体型が気になる季節に入りました。健康と財布にやさしい、納豆の力を借りる日々へと、今年も突入したわけですが、いくらおいしかろうと毎日では飽きてしまいます。そこでまだ試していないレシピを探していると「納豆茶漬け」なる食べ方を見つけました。なんと作り方を書いているのは、美食の大家である北大路魯山人です。京都生まれなのに納豆好き? ともすれば贅沢なものばかり食べていると思われかねない美食家・魯山人先生の、食に対する強烈なこだわりや人となりを少し紹介します。

Dang Dang 気になる嫌われ魯山人の一生

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唯我独尊を貫いた毒舌家&芸術家

魯山人は明治、大正、昭和の三代を生きた人物で、1883(明治16)年に京都で生まれ、1959(昭和34)年に横浜で亡くなりました。

自らの美的欲求の赴くままに、料理、陶工、書、茶を究めんとし、42歳の時に東京・永田町でオープンした会員制の高級料亭「星岡茶寮」を舞台に、料理をとりまく総合的な美を築き上げたことで有名です。

性格は無遠慮で気難しく偏屈、口を開けば他人の悪口ばかりの毒舌家であったため、敵も多かったといわれています。現代では、マンガ『美味しんぼ』のラスボス・海原雄山のモデルとして知られているため、私たちも何となくイメージがしやすいのではないでしょうか。

激烈な個性は非常に複雑な家庭環境などが影響しているとされますが、星岡の成功後も、星岡の解雇、戦争と困窮、人間国宝の辞退、没後に起きた一大贋作事件とエピソードには事欠かない壮絶な人生を歩んでいます。

魯山人、オオサンショウウオを鍋にする

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鍋にすると翌日の方がうまいらしい

『山椒魚』といえば井伏鱒二を思い出しますが、魯山人も同じ題名の文章をしたためています。ただし内容は「オオサンショウウオを食べたらとてもおいしかった」というグルメ批評です。

本人によれば味はスッポンを上品にした感じで、非常にうまく、汁もうまいと味を絶讃。ぶつ切りにして長時間煮たものの、なかなか柔らかくならず苦心していますが、一晩寝かせたオオサンショウウオはやわらかくなり、不思議と皮がとろとろになると書いています。そして特筆すべきは香りに関する記述です。

腹を裂いたとたんに、山椒の匂いがプーンとした。腹の内部は、思いがけなくきれいなものであった。肉も非常に美しい。さすが深山の清水の中に育ったものだという気がした。そればかりでなく、腹を裂き、肉を切るに従って、芬々ふんぷんたる山椒の芳香が、厨房からまたたく間に家中にひろがり、家全体が山椒の芳香につつまれてしまった。ー『山椒魚』より、1959(昭和34)年

オオサンショウウオはその内に保護動物となり、限られた地域にしかいないので入手が困難でしたが、偶然手に入った時はおいしく食べていたそうです。国の特別天然記念物に指定されてからは、捕食が完全に禁止されましたので現在では幻の珍味となりました。もし鴨川付近を這ってる子を見つけても、晩のおかずにしてはいけません。

現代でいえばディレクターorプロデューサー? 魯山人に学ぶ『仕事の成し方』

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既存の価値観に囚われない”独自の視点”を持ち、理想を実現するために”人を動かす”

魯山人の有名なエピソードのひとつに、フランスの有名なレストランを訪れた際、出された鴨を、持参したわさび醤油で食べたというものがあります。これは単純な傍若無人さとは違い、自らが信じる美食の価値観に従った結果でした。他にもガマガエルを煮付けにして食べてるなど、魯山人はいわゆる悪食にもチャレンジしています。

魯山人にとって料理は、自身を大いに楽しませてくれる、美しい物のひとつでした。料理に対する姿勢は、美術品を愛でて追い求める姿勢と同じです。料理についていえば、いったい何がうまいのかを考えるために、あらゆる物を食べることが必要で、魯山人はそれをひたすら実践していたのです。

強烈な”個”のエピソードに事欠かない魯山人ですが、いっぽうで創作においては、大勢の料理人や陶芸家の力を借りる方法をよく採りました。作りたい料理・器のビジョンを腕の立つ料理人・陶芸家に示し、彼らの技術を使って形にしてもらうわけです(もちろん自ら台所に立つ・器に筆を入れることもありました)。

既存の価値観に囚われない”独自の視点”を持ち、理想を実現するために”人を動かす”。今風に言うとアートディレクターや総合プロデューサーといった振る舞いは、現代を生きる我々ビジネスパーソンも学ぶべきところがありそうです。

ビジネスパーソンの夏バテ対策に効く! 納豆茶漬けは、ねって、ねって、ねりまくるのが”魯山人流”

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最初から醤油を入れてねるようなやり方は下手

最後に我々でも食べられるものも紹介。美食を追求するために、何でも食べる魯山人でしたから、一般に京都人が苦手とされる納豆だって平気で食べました。むしろ「納豆の茶漬けは意想外に美味いものである」と語り、細かくこしらえ方を解説しています。

基本的には、よく練った納豆をご飯にのせて、お茶をかけてできあがりですが、いくつかポイントがあります。

(納豆のねり方)

・納豆は糸が出るほどうまくなるから、不精をせずに極力ねりかえす

・かたくねりあげたら醤油を数滴落としてさらにねる

・それを繰り返してねりまくる

・どろどろになったら辛子を入れて混ぜる(薬味を入れてもよい)

・ねる前に醤油を入れてはいけない

・通は醤油の代わりに塩を使うが、一般には醤油の方が無難なできあがり

(お茶漬けのやり方)

・納豆茶漬けをやる時はとりわけ熱い飯がよい

・煎茶をかける

・味が薄ければ醤油をたらしてよい

・飯の中に入れる納豆の量は、飯の4分の1程度がもっともうまい

ところで魯山人は納豆の善し悪しについて、ねっても糸をひかないのは発酵が不十分な未熟な品で救い難いと言い放ちます。一番おいしいのは、仙台、水戸などの小粒納豆とのことです。

納豆のネバネバ成分は夏バテにも効果的。よければお試し下さい。

参考文献:『魯山人 味・陶・書・花・人・・・業深く崇高な芸術家』河出書房新社

底本:青空文庫

文:本山光

編集:大山勇一(アーク・コミュニケーションズ

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