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IoTLTの菅原のびすけ氏、IoTのセレクトショップ「dotstudio」を7月にオープン!

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秋葉原の電子部品店で何を買ったらいいのかわからない

例えば、Webプログラマの中で機械工作も組込みソフトウェア開発も得意という人はそう多くはない。逆にものづくり系エンジニアは必ずしもWeb技術に詳しくない。

両者が協力して新しいプロダクトを生み出すことは可能だが、それでも双方の技術領域がどこかでオーバーラップしたり、つながっている必要がある。

そこでWebエンジニアの立場から、IoTへの参入の“壁”を語るのは、dotstudio株式会社 CEOの菅原のびすけ氏だ。毎回200名以上が集まるIoT縛りのライトニングトークイベント「IoTLT」の主宰者の一人でもある。

▲dotstudio株式会社 CEO 菅原のびすけ氏

「僕らWebエンジニアにとってのリソース、例えばオープンソースのツールやライブラリ、マニュアル類はGitHubなどからすぐにダウンロードできます。ところが、IoTで何かモノを作ってみたいと思った瞬間、どんな部品やツールを揃えたらいいかがわからなくなる。

秋葉原のガード下に行けばセンサーやパーツ類がたくさん売っているけれど、何を買ったらいいのか。たしかにネットにはRaspberry Piの記事はたくさん出ているけれど、いざ自分もこれで何かを作ってみようと思うと、そう簡単じゃないんです。いざパーツを買うにしてもそれが届くのに何日もかかってしまっては、ものづくりしようという意欲も削がれてしまいます」

のびすけ氏がこのほど起こした新事業会社は、IoTの世界の入口で戸惑うWebエンジニアたちの背中を押すものだった。

彼主導でLIGから分社化したdotstudio株式会社は同名のWebメディア「dotstudio」がこの7月からβ運用を始めている。

オフィスは秋葉原電気街のそば。dotstudioはいわば、「秋月電子通商」や「千石電商」に行っても何を買っていいかわからないWeb/IT系エンジニアのために、格好のガイド役を果たすサービスといってもいい。

▲IoTツールやパーツ、センサーなどの情報を楽しく伝えるWebメディア「dotstudio

チュートリアルを用意し、使い方を詳しく解説

マイコン草創期のころは、メカ好きの少年たちにとって基板のハンダ付けとプログラミングは別のものではなく、両方を同時に行うのが当たり前だった。

しかし、機械工作とプログラミングがそれぞれ複雑・高度化するにつれて、ハードとソフトは分業化し、ときに超えがたい溝をつくってしまった。

IoTはそれを再び合体させ、エンジニアたちが創造と変革の喜びをより深く体験しようというムーブメントでもある。

IoTLTイベントに集まるエンジニアの熱気はそれを裏付けていた。同時に「壁を壊せばビジネスになる」ことを、のびすけ氏は直感的に感じていたのだろう。

「IoTは難しいといっても、実はいま世界には、誰もがIoT開発を楽しめるデバイスやパーツ、キット類がたくさん生まれています。その使い方を解説したチュートリアルを用意し、並行してプロダクトの作り方のプロセスを紹介します。そこでユーザーが面白いと思ったらその場でキットやパーツを買えるようにしたいんです。一口で言うと、“IoTのセレクトショップ”。これを事業化することで、IoTの世界をより身近なものにしたかったのです」

オンラインのオウンドメディア展開しながら、ハンズオンのイベントも盛り上げる。

それがエンジニアたちの関心とスキルを高めることになる──IoTLTで培った経験は、事業化を進める上での最大の自信にもなった。

海外のオープンソース・ハードウェアを手軽に買えるように

いま海外のNode.js界隈では、“JavaScript Robotics”とか“NodeBots”と呼ばれる、Node.jsを使ったハードウェアの制御のイベントやコミュニティが流行りつつある。

「Webなエンジニアでもハードウェア制御が簡単にできるというのでハマる人は多いんですが、IoT初心者は、“Johnny-FiveというNode.jsのライブラリを使うのが主流”とか言われても、敷居が高そうと尻込みしちゃったり、ハードウェアは何を用意したらいいか迷う人が多いと思うんです。

そこで、僕らはイベントで使われるチュートリアルツール“NodeBot Workshop”の使い方を、インストールのところから丁寧に解説した記事を提供します。併せてNodeBotsでよく使われる電子工作の入門用マイコンボードの使い方も詳しく紹介します」

NodeBot Workshop自体はオープンソースなのでGitHubから誰でもダウンロードできるが、ハードウェアはArduino、Seeed Studio、Sparkfunなど海外部品メーカーの、いわゆるオープンソース・ハードウェアが推奨されることが多い。

「しかしこれらを国内で揃えるのは結構大変。そこで僕らは国内版キットを用意して、ワンクリックですぐに買えるようにします」

オリジナルのデバイスやガジェット開発にも挑戦

のびすけ氏自らがECサイトを構築するのは初めてだが、決済部分はPayPalを利用するなどラピッドプロタイピングで実装を進めている。

このメディアとコミュニティとECサイトを合体したような “IoTのセレクトショップ“では、IoT周辺のガジェットや興味深いユースケースも積極的に採り上げる予定だ。

「例えば、シリコンバレーで見つけたんですが、バーベキューの肉の焼き具合を温度センサーで測って、パーティの主催者に伝えるデバイスとか、車とWebをつなぐコネクティッドカーの実際の使われ方とか。
あとこれは実際に僕が被験者になったんですが、細菌の繁殖を阻害するナノカプセルの効用で2日連続で服を着ても臭くならない柔軟剤の話とか、硬軟取り混ぜながら、IoTの深くて面白い世界を伝えていきます」

また、国内のメイカーが開発したオリジナルのデバイスやガジェットの取り扱いも進めていく。その一つが、名古屋の学生が自作した「Nefry」というIoTデバイス。

シュガーレスガムの「FRISK」とほぼ同じサイズで、Milkcocoaやmythings、IFTTTなどのインターネットのサービスとハードウエアを簡単に接続できるモジュールだ。

▲上記で紹介したデバイスやガジェットの数々

「dotstudioでしか買えないデバイス。いま、開発者と一緒に量産化の方法を検討しているところ」だという。

のびすけ氏は以前、ファッション・セレクトショップ「BEAMS」などと提携し、ファッション×IoTのハッカソン・イベントを企画したこともある。

「アウトドア」がテーマのコンテストでは、Bluetoothでスマートフォンアプリと連携し、飛んでいる間だけ音楽が鳴り、落とすと音楽が止まるという新しいフリスビーを発掘した。

そんな面白IoTガジェットが、今後dotstudioから次々に登場することも期待できる。

LIGからスピンアウトした新サービス。IoTは走りながら考える

▲株式会社LIG Founder and LIG International CEO 岩上貴洋氏

のびすけ氏と共にdotstudioの共同代表に就任したLIGの岩上貴洋氏は、今回のIoT事業化・分社化についてこう語っている。

「10年前に私がWeb制作会社を創業したときの業界の雰囲気と似たようなワクワク感を、いまIoT市場に感じています。Webの世界のさらに先を手がけてみたいと私も考えていたけれど、IoTはまったくの門外漢。これはその領域で鋭い感性と熱量を発揮している人に任せ、あえて会社を分けたたほういいと判断しました。

IoTはどこまで爆発するかわからない可能性を秘めており、投資などの意志決定はスピードとタイミングが重要。妙に大人な発想で意志決定をしてしまうと、せっかくのスピード感が削がれるため分社化し、スピード感を上げつつ事業展開していきたいと考えました」

LIGは社員一人ひとりの個人ブランディングが得意な会社。のびすけ氏もLIGのブログでは自身のバナーを持ち、際だった存在感を発揮している。dotstudioは、こうした個性的な環境から勢いよくスピンアウトした新事業でもあるのだ。

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