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【講演レポ】SteamVR向けコンテンツ配信の実情 などVRの知見が共有されたGTMF

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7月15日に開催された『2016 Game Tools & Middleware Forum Tokyo』(以下、GTMF)は、アプリ・ゲーム開発・運営に関わるソリューションが一堂に会するイベント。今年も多くの参加者で賑わいました。今回は、株式会社wise、株式会社ソニー・インタラクティブエンターテイメント、株式会社モノビット、株式会社デジカのVRによる講演を一挙に紹介します。

リアルタイムCG合成のために必要なこと

Unreal Engine 4によるリアルタイムVFX作品『Horizon』のデモ動画:https://vimeo.com/149554968

グラフィック制作を主に行う株式会社wise代表の尾小山 良哉氏は、UE4にリアルタイムVFXワークフロー、360度撮影された背景にリアルタイムでCGを違和感なく合成し、現実感を高める方法など、同社のVRコンテンツ『THE WORLD’S END』『Horizon』を元に紹介しました。


背景動画とCGをそれぞれ撮影したムービーを合成しているのではなく、CGをゲームとしてインタラクティブに動かしても背景と違和感がなくなるような仕組みを作っているとのこと。現実の状態とCG空間の状態の色や明るさ等を合わせるために、VFX撮影と同様のカラーチャート、銀玉、グレーボールなどを撮影して合わせていく必要があります。

現在は2016年にPlayStationVR向けにリリース予定のVR ホラー”Rinko”の制作を行っています。実際の風景をモデルにした制作となり、撮影では、暗い場所での撮影のため、光源やレフ版を用いて撮影を行ったが、360°撮影ということもありゲームに関係のないレフ版や光源が写ってしまった、という360度撮影ならではの苦労もあったとのこと。レフ版や光源を消しても、不自然な光だけが残ってしまうため、その場所に発光体をCGとして置くことで違和感なく表現することができたとのことです。

SIEが考えるれからのVRの在り方


ソニー・インタラクティブエンターテイメントからはSony Interactive Entertainment Japan Asia ソフトウェアビジネス部 次長 兼 SEIJA 制作技術責任者の秋山 賢成氏が、『PlayStation VR』の最新状況について講演を行いました。

Playstation VRのスペックついて説明。高解像度、高描画性能に加え、マイクも内蔵されています。

またソーシャルスクリーンを使ったMIRRORING MODE(ミラーリングモード)では、PlayStation VRをつけている人の画面をモニターに表示して、どんな風に体験しているのかPlayStastion VRをつけていない人でも見ることができるようになっています。また、SEPARATE MODE(セパレートモード)では、PlayStation VRをつけている人とつけていない人とで分かれてゲームをすることができるような設計となっており、1台のPlayStation 4で、ゲームを見ている人も参加できるという新しいスタイルのゲームが可能になります。


また、PlayStation VRが大切にしていることとして”プレゼンス(Sense of Presence)”についても改めて紹介がありました。、”プレゼンス”というのは没入感を高めた先にある「別の世界に自分が存在することを信じてしまうような」感覚・錯覚のことを言っているとのこと。ヘッドセットを使った時に、ヘッドセットを被っているという感覚を忘れてしまうことが重要です。しかしながら同時に、プレゼンスを実現し維持するコンテンツを作ることは大変難しく、ゲームをしていてもちょっとしたきっかけで現実に戻ってきてしまいます。いかにしてプレゼンスを壊してしまうような違和感を感じさせる要素を取り除くかが重要になります。PlayStation VRでは、プレゼンスを得るための要素として、”SIGHT(視界)” “SOUND(音声)” “TRACKING(トラッキング)” “CONTROL(操作)” “COMFORT(快適さ)” “CONTENT(コンテンツ)”の6つを挙げ、それぞれに対して高めるためのアプローチを行う必要があると紹介しました。

モノビット、Monobit VRを使ってVRの多人数チャット環境を簡単構築


モバイルゲームの開発を行ってきた株式会社モノビットは、Monobit VRというブランドを立ち上げて、現在VRの研究開発を行っています。現在取り組んでいるのは、多人数同時接続が可能なVR空間を構築できるミドルウェア。モノビットの代表取締役社長、本城嘉太郎氏によると、「一人向けのものが多いが、複数人でプレイするマルチコンテンツが今後増えて来る」と考えており、次に来るマルチコンテンツに向けて開発を行っています。

その際に特に気にしているのが音声。複数の人間が同じVR空間に入るということは、360度空間が広がっていることを考慮し、声や物音をどこから聞こえてくるのか今まで以上にリアルに作る必要があり、その同期の負荷が大きくなります。Oculusの技術デモ『Toybox』のようなデモをVRの空間を簡単に作成するためのSDKにより、サーバー不要の完全なクラウドサービスを目指しています。最終的には1ルーム1000人以上の同時接続を可能にすることが目標とのこと。Monobit VRは年内リリース、8月のCEDEC 2016での正式発表に向けて現在開発を行っています。

Steam VRを活用した販売戦略と展開

PCゲームの配信プラットフォームSteamの国内パートナー、株式会社デジカの岩永朝陽氏はSteam VRについての講演を行いました。HTC Viveの発売に合わせて、4月よりSteamではSteamVRを通したVRコンテンツの配信が開始されました。現時点(7/15)におけるVRのコンテンツは366作品(HTC Vive対応 306作品、Oculus Rift対応 160作品)。

一か月あたり平均で約150タイトルがリリース出ていることになります。国内でもHTC Viveの流通が始まったこともあり、今年後半のSteamのフォールセール、ウィンターセール(※)などの前にはより多くのタイトルがリリースされることが見込まれ、今後作品数はより加速すると思われます。
(※)Steamのセール期間中は、対象ゲームが値引き中となり、Steamのゲームの売上が爆発的に伸びる

SteamにリリースされているVRゲームで最多のダウンロード数を誇るのはHeaven Island Life 14万DL(有料)、The Lab 20万DL(無料)となっており、岩永氏は「多い」”という印象を受けたそう。同社が今までにVRコンテンツを3つパブリッシングしてわかったこととしては、VRの興味のあるユーザーは、タイトルやゲームの内容に関係なく多くのコンテンツをプレイしていること。

内訳を見ると、ゲームのジャンルに関係なくVRに興味のあるユーザーが大勢を占めています。プロモーション目的で無料でゲームをリリースした場合は、こうした、VRゲームであればダウンロードをするようなユーザー層が内容に関わらずダウンロード、プレイするので、万単位でのダウンロードを狙うことも可能となります。VRゲームのページから有料で販売しているゲームのサイトへのリンクを置くなどのパスをつくることはプロモーションとして効果は期待できるということでした。

VRゲームでは、これまで以上にユーザーからのフィードバックが重要となります。一度コンテンツをリリースしてみると、いろいろな角度から、より良いVRゲームを作るためのヒントを得られるようになります。デジカ社がVR化を行った『Muvluv VR』を例に出せば、マブラブという既にある世界観の中で、VRゲームのコンセプトをマブラブの世界観のどこに置くかによって全く異なるゲームになってきます。

例えば、「女の子と話す」部分をVRにするのか、「戦闘」にするのか、怖い地球外生命体を体感するところにするのか。今回は、「地球外生命体に対するに絶望を味わう」というコンセプトでつくったそう。公開後ユーザーからは、「何で女の子が出てこなかったのか」、「機械に乗って戦うバトルシーンはないのか」という声が寄せられています。作り方や内容によってユーザーの反応も全く違うものになるVR。VRゲームにおいては、一度簡単なゲームを作りユーザーに体験してもらい、フィードバック等を通して対話しながら本格的に商用のゲームを作っていくことが重要ではないかと示唆を投げかけました

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