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乳がんの小林麻央 全摘出しなかったのはなぜなのか?

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 会見に挑んだ歌舞伎役者・市川海老蔵(38才)の顔は神妙だった。「麻央から聞いて途方に暮れました」、「進行具合に関してはかなりスピードの速いもので、なかなか大変なもの」、「比較的深刻な状況」──。1年9か月前に人間ドックで発覚した妻・小林麻央(33才)の乳がん。突然の発表と、病状について語られた内容に世間からは驚きと心配の声があがった。

「比較的深刻」とはどの程度なのか。抗がん剤治療を続けているものの、手術にいたっていないと海老蔵が発言したことで、「乳房を全摘出していない、切っていないということは、見つかった時点でもう手術できないほど進行していたのではないか」という憶測の声もあがった。しかし、ある関係者はこう言う。

「“切らない”と決めたのは麻央さんや海老蔵さん、家族で話し合ってのことだったという話も聞きました。乳がんが発覚した時点では摘出手術は可能で、医師からも抗がん剤治療と手術を勧められたそうです。ただ、切らずに温存する治療法もないわけではない。そしていろいろ調べるうちに切らずに治す方がリスクが低いのではないかと思うようになったのではないでしょうか。できる限り乳房を切りたくないという女性としての思いもあったかもしれません」

 現在の医学の“常識”でいえば、乳がん治療はまず手術をすることが第一に検討され、その次の段階として、抗がん剤投与やホルモン治療といった薬物療法や、放射線治療などが行われる。手術には、患部のみ部分切除して乳房そのものは温存する部分切除か、乳房全体を切除する全摘出がある。その内容は進行度合いや乳がんのタイプによって異なる。乳腺外科「ベルーガクリニック」の富永祐司院長が解説する。

「基本的に、ステージ0の乳がんなら切除手術を受けるだけです。乳がんの大きさが2cm以下で、かつリンパ節に転移していないステージIなら、手術をした後に抗がん剤など薬物療法を行います。転移が考えられる進行がんの場合は、まず抗がん剤治療を行いがんを小さくしてから手術する場合もあります」

 部分切除して乳房を「温存」するか、全摘出するケースとなるか、その選択は進行ステージとは関係ない。

「がんができた場所にも関係します。がんが乳頭の周囲にあった場合は、ステージ0でも全摘になるケースもあります」(富永院長)

 数年前までは乳房を残す「温存」ができるか否かが、乳がん患者にとって重要な問題だった。女性として、乳房を残したいから全摘をしたくないという患者も少なからずいた。しかし、2013年7月に人工乳房再建への保険適用が始まり、患者の金銭的、精神的負担は軽減され、全摘して乳房を再建する道は大きく開けた。

「全摘すれば乳房からの再発がほぼなくなるので、温存よりも局所再発率が3%下がるんです。そういったことも説明した上で判断していただくことになります。近年、乳房の全摘と同時に再建する同時再建手術が可能になるなど、再建技術も向上しているため、全摘を選択する患者さんも以前に比べて増えてきました」(前出・富永院長)

 現在麻央は、乳がん治療に特化した「ブレストセンター」が設置される都内の病院に通院し、放射線治療を受けながら手術に備えているという。

「手術すれば100%治る、切らなくても抗がん剤治療で助かるなどと断言することはできない。医療には正解がないんです。摘出したのに転移してしまった、抗がん剤がうまく体に合わなかったなど個人差もあります。だからこそ、“あのとき手術していれば”“もしかしたら切らなくてもよかったのかもしれない”と自分が選んだ治療法に迷い続けるかたは少なくありません。どんな治療法と生きていくか、その選択は非常に難しいのです」(都内の乳がん専門医)

※女性セブン2016年7月28日号

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