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白鵬「P.ローズに意見されたイチローさんの気持ちわかる」

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 7月10日に初日を迎えた大相撲名古屋場所。史上3人目となる1000勝に挑む横綱・白鵬は昨今、横綱らしからぬ言動を指摘され、バッシングされている。これまで批判に対して彼は多くを語らず、貝になった。真意を聞くべく、ノンフィクションライターの武田葉月氏が直前合宿に密着取材した。「沈黙の横綱」の衝撃の独白である──。

 琵琶湖の北東に位置する滋賀県長浜市。毎年6月中旬、横綱・白鵬が在籍する宮城野部屋が名古屋場所を見据えた直前合宿を行なう場所だ。

 午前7時から若い力士たちが稽古を開始。後援者や地元住民たちも稽古場に集まり、白鵬の登場を心待ちにする。午前9時過ぎ、白い稽古まわしの白鵬が姿を現わすと観客たちは「おぉー!」と大きな歓声をあげた。

 四股を中心とした入念な準備運動に時間を割く白鵬は、夏場所で負傷した足の具合が思わしくないのか、時折、足を引きずるような仕草を見せていた。

 2009年、白鵬は年間86勝(年間の取組数は90)という大記録を打ち立てた。翌2010年には、双葉山の69連勝に迫る63連勝を達成。そして2015年、大鵬の32回という歴代最多の優勝回数を抜くと、その後も優勝を重ね37回まで記録を伸ばしている。現在31歳にして全てを手にした大横綱は、怪我を押してまで戦う理由について語り始めた。

 * * *
 私は心から大鵬関を尊敬していて、恐れ多いと思いながらも目標にさせていただいていましたから、32回の優勝を超えてからは、正直なところ目標を見失っていました。

 ここからどこに走っていけばいいのか──自問自答の結果、辿り着いたのが、「目の前の1勝を大事にする。1勝の積み重ねしかない」という境地でした。その中で具体的な数字として見えてきたのが、通算1000勝です。

〈白鵬は、5月の夏場所で通算987勝を挙げている。名古屋場所で千代の富士(現九重親方、通算1045勝)、魁皇(現浅香山親方、通算1047勝)に続く、史上3人目の通算1000勝が懸かっている〉

 そんなことを考えている時に飛び込んできたのが、メジャーリーグで活躍されているイチローさん(マーリンズ)の日米通算4257安打という世界新記録でした(6月15日達成)。

 私は1000勝を目標とし、自分自身を奮い立たせていますが、きっとイチローさんも同じだと思うんです。野球界では既にレジェンドであることに疑いようがない彼は、誰かから「続けろ!」と言われているわけではないのに、40歳を過ぎても体をいじめて現役を続けている。明確な目標が彼を奮い立たせているのだと思う。

 彼は記者会見で、「子供の頃から、人に笑われてきたことを常に達成してきた自負はある」と話していましたね。メジャー挑戦の前には、「アメリカでは通用しない」と笑う人もいたでしょう。言葉も環境も違う異国の地で、人知れず悔しい思いもしたはず。それでも一生懸命努力し続けて、イチローさんは世界一になった。

 その後、前記録保持者のピート・ローズ氏や一部メディアから、「日米通算」だからこの記録は認められない、という声が出ました。そんな心ない声にイチローさんは傷ついたと思う。私はイチローさんの気持ちがわかる。なぜなら、私も同じ立場にいるからです。

 大鵬関の優勝記録を超えたにもかかわらず、私の記録は「認められない」という人もいました。相撲は勝負の世界でありながら、伝統文化の側面もあり、ただ勝てばいいわけではない。

 外国人に対する風当たりが強くなることがあり、時にバッシングに変わることもある。

●撮影/ヤナガワゴーッ!

※週刊ポスト2016年7月22・29日号

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