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「教え子に国会前の熱気伝えたい」投票よりデモ勧める教師も

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 18歳選挙権のスタートで教室に異変が起こっている──公職選挙法の一部改正により、6月19日以降の国政選挙などで18歳以上20歳未満の人も投票することが可能となった。70年ぶりとなる選挙権年齢の引き下げで約240万人が新たに有権者となった。

 とりわけ注目されるのは18歳の高校生だ。文部科学省は昨年10月、大学紛争の高校への波及を抑えるために出した1969年の「高校生の政治活動の禁止」通知を廃止し、各学校で政治的中立に留意した上で主権者教育に努めるよう求めた。が、一部ではお墨付きを得たとばかりに特定思想を植え付ける洗脳まがいの「政治教育」に突っ走るケースが続出。そんな日本の教育現場を蝕む偏向教育の数々をフリーライターの森下毅氏がレポートする。

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 主権者教育への関心が高まる中、教育関係者を唖然とさせる授業実践が今年2月に岩手県で開かれた日教組教育研究全国集会(教研集会)で報告された。

「デモという表現方法について、過度にネガティブなイメージが強いのが我が国の特徴だが、授業を通じて、前向きに捉え直す子供たちも出てきた」

 自らの授業実践を自画自賛したのは鳥取県の公立高校の男性教諭だ。「表現する主権者」を目指したという授業は計5時間。昨年の安全保障関連法制へのデモ映像のほか、原水爆禁止運動、安保闘争、ベトナム反戦運動、沖縄米兵少女暴行事件など国内外で過去にあったデモや市民運動の写真を見せたりしながら、デモの意義を考えさせる内容だ。しかしその実態は授業を装った、高校生のデモ参加を促すアジテーションと言わざるを得ない。

 そもそも授業計画を思いついたきっかけが、安保法制審議中の昨年7月に国会前の座り込みに教諭自身が参加し、そのときに感じた“熱気”を伝えるためというから、狙いは明らかだ。主権者教育とはほとんど関係ない世界史の授業時間に実施されており、学習指導要領ともほど遠い。

 さらに問題なのは、政治的中立性を装っていることだ。例えば安保法案に関するデモについては賛成・反対の双方の立場のデモに言及しているが、授業の最後に、デモ行動のヒントとして自民党の憲法草案を批判する弁護士グループのホームページをさらりと紹介するなど、学校現場で求められる政治的中立からの逸脱は明らか。

 デモの問題点を考える授業では、騒音や交通など周辺住民の生活への影響を指摘し、その上で「地域の理解と協力が必要」とデモの〝実践マニュアル〟ともいうべきアドバイスまで盛り込んでいる。この教諭にとって、主権者教育とは選挙で一票を投じるよりも「デモ」を行うことを意味するのだろうか。

【PROFILE】森下毅●1970年東京都生まれ。学校現場や行政機関に幅広い取材源を持ち、経済から教育まで幅広く取材、執筆している。

※SAPIO2016年8月号

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