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他人事じゃない英国民投票 若者の「民意」をつぶした人たち

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大阪都構想の住民投票とよく似た結果の英国の国民投票

英国において2016年6月23日に実施された国民投票の結果、欧州連合(EU)離脱派が勝利しました。
離脱派52%対残留派48%という僅差で最終的に離脱派が勝利したわけですが、世代別の調査では低い年齢層ほどEUへの残留を望む声が強く、年齢層が高くなるに従って離脱を支持する傾向が強くなっていました。
要するに、若者の意見が高齢者の意見に押し切られた形となったようです。

この結果、なんだかどこかで見たような気がしませんか。
そう、昨年の5月に実施された橋下徹大阪市長(当時)の「大阪都構想」をめぐる住民投票です。
大阪市を廃止して5つの「特別区」を作ることに対する大阪市の住民の意見ですが、結果は、賛成694,844に対して反対705,585で「否決」となりました。
わずかに1万票の差、割合にすると0.76%ですから、もう1%未満という僅差であり、英国のEU投票に比べても本当にスレスレの結果でした。

シルバー世代の投票率の高さが結果に大きく影響することに

ここに興味深いデータがあります。大阪市の住民投票をめぐる年代別の出口調査ですが、ざっと見てみると、20代から60代くらいまでは「賛成」の意見の方が多く、70代以上になると圧倒的に「反対」意見が多くなっています。
そうすると、大阪市の場合は70代以上の市民の人口が圧倒的に多いのでしょうか。実は、そんなことはありません。
「大阪市の人口統計」によれば、70代以上の有権者は21%あまりにしか過ぎず、20代~60代の有権者は78%以上を占めているわけですから、上記の「出口調査」が正しければ、どう考えても「賛成」の方が勝利する結論になったはずです。

ところが、僅差にせよ「反対」票の方が、僅かながら上回りました。
これは何を意味するのでしょう。
結局は「年代別の投票率の差」ということでしょう。
若くなるほど投票率が低く、シルバー世代ほど投票率が高いという現象が、そっくりそのまま、この住民投票の結果につながったとしか考えられません。

ここで「大阪都構想」が正しかったのかどうかを申し上げるつもりはありませんが、ただ一つだけ言えることは、この住民投票は大阪市や大阪府全体の「将来・未来」をどう考えるかという問題でもありました。
「今のままで良い」と考えるのか「いや、新しい大阪をつくるんだ」と考えるのかの問題です。
市民の声の中には、生まれ育った「大阪市」の名前が消えるのは寂しいというものがありました。シルバー世代に多かったようです。
そんな郷愁・ノスタルジーだって、一票を投じる原動力になるわけです。
「我々はかつて大英帝国であった」という古き良き時代への郷愁が英国のシルバー世代の背中を押したように。
しかし、若い世代は「自分たちの未来・将来」に大きくかかわるとは考えなかったのでしょう。
少なくとも自分たちにとって「切実な問題」とは考えなかったと思われます。

若者世代は自分たちの将来のためにも投票に行くべき

民主主義は、結局は「数の論理」です。選挙で勝った政党が「与党」となって政権を握ります。
総理大臣は国会の中での選挙で決まりますが、当然「数の論理」にしたがって与党から出ることは、みなさんご存知のとおりです。
「数の論理」は、政策にたいへん大きな影響を与えます。
数はパワーですから、シルバー世代の投票率が高く、若者世代の投票率が圧倒的に低いということで何が起きるのでしょう。
それは、選挙対策的見地から「シルバー世代が喜ぶ政策」が優先されるということです。
要は、大阪都構想の否決のように、若者世代の将来に「ツケを先送り」するような政策がまかりとおるのです。
つまりは、若い世代が「あとで泣きをみる」と言っても良いでしょう。

ですから、私は、声を大にして言いたいのです。
若者よ選挙権行使を怠るべからず。
そう、投票に行きましょう。誰のために。それはまさに自分たちのためにです。

(藤本 尚道/弁護士)

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