日産のEV事業は三菱と手を組んで負担軽減

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▲三菱の燃費不正が明らかになってから日産の出資が決まるまで、わずか3週間。驚くほどの早さで提携が決まった状況を鑑みると、ゴーン社長が根回ししていたのでは、と勘繰りたくなる

▲三菱の燃費不正が明らかになってから日産の出資が決まるまで、わずか3週間。驚くほどの早さで提携が決まった状況を鑑みると、ゴーン社長が根回ししていたのでは、と勘繰りたくなる

供給停止で不快感どころか、サポート役を買ってでた

どうもおかしい。何がって、三菱の燃費不正によって、日産は売れ筋である軽自動車の供給が受けられなくなってしまった。今回の一連の騒動を受けて、スクープ班はてっきり日産が激怒するものだと思っていたのだが。

ところが、激怒どころか、日産は窮地に追い込まれた三菱のサポート役を買って出た。約2370億円を拠出して三菱に資本参加し、経営の立て直しを全面的に支援するという。もしかしたら、日産は最初からこれが目的で「燃費データがおかしい」と三菱に通告したのでは? とのうがった見方もできる。

なぜか。ひとつは、軽自動車の開発、設計、生産に深く関わりたいとの狙いが考えられる。日産は三菱と折半で出資してNMKVを2011年に設立した。ここの主要業務は、軽自動車の開発支援で、実際の開発作業と量産は三菱が仕切って行っている。

一方で、日産は本音として、もっとコストダウンを図りたいとの思いを抱いている。NMKVを通じて軽自動車づくりの勘所を吸収した同社は、もっと利益の出る体制の構築をもくろんでいるはずだ。

日産の後ろから見え隠れするルノーの影

日産の背後には、ルノーがいる。ルノーはインド進出に際し、同国のマヒンドラ&マヒンドラと提携。しかし、うまくいっていないのが実情だ。ここはぜひとも三菱を絡ませたい。こんなシナリオにも現実味がある。

▲2011年度から2016年度までの6ヵ年計画、「日産パワー88」では、ルノーと日産で7車種のEVを発売することや、2014年までにインフィニティブランドのEVをリリースする予定が掲げられたが実現されていない

▲2011年度から2016年度までの6ヵ年計画、「日産パワー88」では、ルノーと日産で7車種のEVを発売することや、2014年までにインフィニティブランドのEVをリリースする予定が掲げられたが実現されていない

重くのしかかるEV事業

さらに、EVの問題もある。日産と三菱はともにEVへのシフトが早かったが、当初の目論見は外れっぱなしで利益が出ていない。現に、ルノー&日産アライアンスは、2016年度までにEV累計販売150万台を目指して、数年前に計画をぶち上げたが、到底その目標を突破できそうになく、すでに実現時期を先送りしている。

2011年度から掲げられている中期経営計画、「日産パワー88」に対し、先の決算会見で、「中期経営計画に掲げているグローバルシェア8%と、営業利益8%の達成は難しいのではないか?」と質問されたゴーン社長が、「まだ(残り1年あって)結論を出すのは早い。仕上げの時に結果を見よう」と答えたように、いま結果を予想するのは性急かもしれない。

しかし、インフィニティブランドのEVは2012年にコンセプトカーが披露されて以降、まったく動きがなくて立ち消えになってしまったのでは? と疑いたくなるほどだ。10ヵ月後、「日産パワー88」仕上げの時、コミットメント主義のゴーン社長がどんなコメントを残すのか、興味深い。

▲2012年に発表された、100%電気のインフィニティ LEコンセプト。公開はされたものの、今日現在、市販化されていない

▲2012年に発表された、100%電気のインフィニティ LEコンセプト。公開はされたものの、今日現在、市販化されていない

三菱を巻き込んでのEVコスト削減を画策か

EVに関して、日産はモーター、バッテリー、制御システムなどを三菱と共通のものにして、利益を出そうとの発想に転換している可能性もある。つまり、三菱を巻き込んで、自社に重くのしかかるEVのコストを分担&軽減する策だ。

さらに三菱が持っているプラグインハイブリッドの技術も手に入れたいはず。2016年5月12日に日産と三菱が共同会見を行った日にゴーン社長は、「三菱がプラグインハイブリッドの技術を持っているなら、それを使えばいい。自社で進めているプラグインハイブリッドの開発はやめてもいい(支障はない)」といった趣旨の発言もした。

ここに並べたストーリーは、スクープ班による憶測であり、日産および三菱が正式に発表した内容ではない。しかし、状況証拠が揃いすぎている。三菱への電撃的な資本参加は、じつは以前から計画されていたものだと考えても、まったく違和感はない。日産が欲しいものを三菱はいくつも持っているのだ。

※2016年7月6日現在における予測記事です

text/マガジンX編集部

photo/マガジンX編集部

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