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奨学金が間に合わない場合でも、授業料は必ず支払わなければならないでしょうか?

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Q.

 専門学校に通ってまだ2ヶ月ですが、先生に「学校を辞めたい」と話し、「途中で辞めても結局80万円は払わないといけない」と言われました。ですが、私の場合、奨学金の申請に間に合わず、お金が払えなくて学校を辞めることにしました。
 そのため、まだお金を払えていません。授業料は「行った2ヶ月分」ではなく、「年間総額の80万円」を払わないといけないのですか?

(10代:男性)

A.

 ご質問内容をまとめると、入学することを決定した後、通い始めて経済的な事情から在学することを断念した。そして、いまだ支払っていない授業料の年間総額80万円について支払い義務があるのかどうか(実際に通った2カ月分ではなく)?ということだと考えられます。

 これについては、完全に合致する事例ではないものの参考になる裁判例があります。例えば、最判平成22年3月30日が挙げられます。
 この裁判例は、推薦入試に合格し、入学金や授業料を納めた人物が、学校が始まった直後に、通うことを辞め、入学金や授業料の返還をもとめた訴訟です。ちなみに、ご相談者様が通われていた学校でも同様の要項だと思われますが、入学を取りやめた場合、一度納付した入学金や授業料などは返還しない旨の特約(契約条項)の記載がありました。

 裁判は、結果的に入学金や授業料などを返還しない旨の特約は有効とされ、学校側は両方とも返還しないことで決着しました。
 この裁判例では、噛み砕いて言うと「入学前に入学を辞退された場合、学校側としても学生が授業を受ける環境を整えるために必要な準備を本気ですすめる心づもりをするわけではないから、入学金や授業料の返還には応じるべき。しかし、入学後は、そうした準備を本格的に整えることになるから、コストのねん出のためにも入学金や授業料を『収入』として当てにする。
 そのため、不返還条項も理解できるものだから、入学後は返還できないという運用は(初年度に納付するべき範囲を超えない以上)認められるべき」という判断をしました。

 つまり、返還するかどうかは「実際に入学するかどうか」というのが実際上の一つの区切りとなります。

 この裁判例を参考に、ご相談者様の事例を考えると、年間総額の授業料は80万円と、専門学校として決して高すぎるというわけではないですし、入学後2カ月が経過していることも考えあわせると(仮に授業料を支払っていた場合)授業料の返還を求めるのは厳しいものがあると思われます。
 したがって、基本的なスタンスは全額を支払わなければならないとお考えください。

 もっとも、ご相談者様の場合、特殊な事情として奨学金で授業料を賄おうと算段していた事情があります。この点は、支払いなどを行う際に学校側にも説明し、ある程度(学校側が)事情は知っていたものと思われます。
 とすれば、基本的に支払わなければならないことを理解しつつ、学校側に対して「奨学金が手に入らなかったために通学を断念せざるを得ないため、なんとか減額できないか?」ということで交渉をしていくのが妥当なのではないかと思われます。

 この際、独力での交渉は厳しいものがあると思われますので、例えば親御さんの助力を得て学校側に対して相談するなどしてみてはいかがでしょうか?

元記事

奨学金が間に合わない場合でも、授業料は必ず支払わなければならないでしょうか?

関連情報

2ヶ月で辞めた専門学校。前納した学費は一切返還されない?(なっとく法律相談)
子供の教育をめぐる法律(6)(コドモ×法律 ~法とコドモの関わりについて)
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