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藤沢国際映画祭シンポジウム 『まちに映画館があるということ』レポート

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街の映画館への熱い思いを語る竹中翔子さんと長島源さん(撮影日2016年6月21日。筆者撮影)。

2015年から始まった藤沢国際映画祭、2016年は6月17日から26日まで第二回藤沢国際映画祭が開催されました。

6月21日に行われたシンポジウム『まちに映画館があるということ』は藤沢在住の映画ファンたちへのインタビュー映像から始まりました。藤沢の街から映画館が消えて早6年が経ち、2011年にテラスモール湘南の開業とともに109シネマズ湘南が出来ましたが、

「まちの映画館だった藤沢オデヲンやフジサワ中央がなくなった喪失感を埋める存在がほしい」
「全国ロードショーの大手配給会社の映画ではない映画も映画館で観たい」

そんな藤沢の映画ファン達の映画への思いが場内に満ち溢れました。

彼らの気持ちを代弁するかのように2011年に始まった映画上映プロジェクトが『シネコヤ』(竹中翔子代表)です。始めはパブリックドメインの古い映画の無料上映会から。そして2013年からは鵠沼海岸の『IVY HOUSE』を拠点に上映する映画の雰囲気を食事や演出で楽しめる体験型の映画上映会を行ってきました。さらに2015年から第一回藤沢国際映画祭、今年2016年第二階藤沢国際映画祭とともに、待望の常設映画館のプロジェクトが始動と、藤沢の映画シーンをリードする存在になりました。

シンポジウムは第二回藤沢国際映画祭のイベントの一つとして新堀ライブ館楽友ホールで行われました。ゲストは逗子の『CINEMA AMIGO』代表でもあり、地域コミュニティの仕掛人として『逗子海岸映画祭』の主催や、スペインのバスク地方のサン・セバスチャンで行われる『サン・セバスチャン国際映画祭』にも参加されている長島源さん。地域コミュニティのカルチャーの発信地としての『まちの映画館』についてお二人が存分にトークを展開するシンポジウムとなりました。

シネコヤが常設館の一つのモデルケースとして注目している逗子のCINEMA AMIGO。元々ミュージシャンだった長島さんが仲間たちと映画を観ながら食事ができる新しい形のミニシアターとして立ち上げました。

その後、長島さんたちは逗子海岸映画祭を立ち上げ、「Play with the earth(地球と遊ぼう)」をコンセプトに移動式映画館『CINEMA CARAVAN』というプロジェクトが始動しました。元々町のコミュニティ作りをしていた葉山逗子のミュージシャンやフォトグラファーなどのクリエイター達が始めたこともあり、白川郷、夕張など、他の地域の映画上映会を通じた連携なども始まり、その活動は日本を飛び出し海外へ。その活動の一つがサン・セバスチャン国際映画祭への参加です。『縁日』のような空間を演出して『たこ焼き』などの屋台や、『花魁道中』の演出など、おもしろい試みが受け入れられ、逗子海岸映画祭とともに回を重ねるごとにCINEMA CARAVANスタッフのスキルも充実し、今度はバスク地方にサン・セバスチャン映画祭を楽しみに行くためのツアーも企画中と、その活動はとどまるところを知りません。

そんなCINEMA AMIGOやCINEMA CARAVANなどの各地のミニシアターや映画上映プロジェクトとの交流を重ねながら、藤沢のシネコヤでもいよいよ常設映画館を目指すプロジェクトが始動しました。資金集めはシネコヤのサイトで寄付を募るのと並行してクラウドファンディングサービスの『FAAVO』も活用。常設映画館開設に向けて着実に歩を進めています。

シネコヤの常設映画館は鵠沼海岸の写真館だったカンダスタジオを改装して作ることを目標としています。大事にしたのは『空気感』。IVY HOUSEでのシネコヤ上映会の『空気感』、レトロでオシャレなその『空気感』の延長線上にある『空気感』をカンダスタジオも持っています。

そのイメージは、シネコヤがパブリックドメインの無料上映会から有料での上映会へ以降するときに、箱探しのイメージを伝えるために作った一つのイラストによって表現されています。

(シネコヤイメージイラストより)

このイラストでヴィジュアライズされたことで、IVY HOUSEとの出会い等、今のシネコヤの展開のスピードも加速しました。「非日常」、オシャレでサブカルチャーを感じられる「異空間」としての街の映画館を目指して、シネコヤは大きく前進しています。映画祭に「国際」とつけたのも、カンヌやベネツィア、サンダンスなどの名だたる映画祭とともに「フジサワ」と呼ばれることを目指すというワクワクするような夢の広がりの具現化の一つです。

そんな熱いトークの最後に、藤沢在住だった今も世界に愛される大島渚監督の奥様、俳優の小山明子氏からも、シネコヤへの応援ビデオメッセージが上映されました。

「まちの映画館」のなくなったことに一度は喪失感に静まり返った映画ファンたちが再び「まちの映画館がある」という夢をシネコヤとともに見るために、

「シネコヤの活動に一人でも多くの方々に参加してほしい」

竹中さんはそう語ってシンポジウムを締めくくりました。次回はコンペ部門も始まる予定という藤沢国際映画祭、そして常設映画館に向けて、たくさんの映画ファンたちとともにシネコヤの夢はまだまだ始まったばかりです。

―― 見たことのないものを見に行こう 『ガジェット通信』
(執筆者: 紺野碧) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか

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