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じゃんけん必勝法?

サイエンスあれこれ

今回は神無久さんのブログ『サイエンスあれこれ』からご寄稿いただきました。

じゃんけん必勝法?

必勝法とまではいかなくても、じゃんけんに勝つための秘策は、誰にでもありますよね。腕を交差させて握った手の中をのぞいて、向こう側に見えた形から自分の 出す手を考えるといったおまじないのような方法から、「私は次にパーを出しますから」と宣言して、相手の顔色をうかがうなんていう高度な心理戦に持ち込むものまで、世の中には実に様々な秘策が存在するようです。そんな秘策の中に、ロンドン大学ユニバーシティーカレッジのCecilia Heyes氏らによって、英国王立協会紀要の7月20日付け電子版に掲載された研究成果*1 を取り入れるのも悪くないかもしれません。

*1:「Automatic imitation in a strategic context: players of rock?paper?scissors imitate opponents’ gestures」『PROCEEDINGS OF THE ROYAL SOCIETY』
http://rspb.royalsocietypublishing.org/content/early/2011/07/12/rspb.2011.1024

Heyes氏らの得た結果は、単純なのですが、実に意外なものだったのです。2人の被験者にじゃんけんをしてもらったのですが、両者に目隠しをして行ったときにあいこになった回数は、普通にじゃんけんをしてあいこになる極々平均的な数だったのに対し、1人が目隠しをして、もう1人がしなかったときにあいこになった回数は、平均的な回数よりずっと多かったというのです。

これは、目隠しをしていない方の人が、している方の人の出し手を、無意識に真似ていたせいだと考えられます。恐らく、目隠しをしている人の出し手と関連したちょっとした癖を見抜いて、真似てしまったのだろうと推測できますが、不思議なのは、あいこでは勝ったことにはならないので、真似た人にとっては真似ても何の得にもならないのに、身体が勝手に真似てしまったという点です。

どうしてこうなるのかはさておいて、これを応用すれば、自分は目隠しをしてじゃんけんをするという、とんでもない秘策が考えられるかもしれません。これで、あいこになる(負けない)確率を高めつつ、あいこになることを予想して、その裏をかく手を出すというのはどうでしょうか。本番のじゃんけんの前に、練習じゃんけんをやって、相手に自分の癖を学習させ、あいこになる確率を高めておけば、申し分ないでしょう……なんて、あまりに非現実的でしたね。

それにしても、世の中には、たかがじゃんけん必勝法を、随分熱心に研究している人もいるのかと思われたかもしれませんが、一応学問的にはこういう意味があったようです。人はよく、目の前の他人の動作を真似してしまうことがありますよね。足を貧乏ゆすりしている人を見ると、気づいたら自分も同じリズムで貧乏ゆすりしていたとか。この物真似行為が、本当に無意識に行われているのか、それともそれが心地良いから好き好んで行われているのか、その区別をするための実験だったのだそうです。

で、その答えはもちろん、無意識の行為ということになります。なぜなら、わざわざ好き好んで、じゃんけんのあいこを求める人はいないでしょうからね。というわけで、今回のHeyes氏らの研究は、別にじゃんけんの必勝法を見つけるための研究でも何でもなかったのですが、得られた結果自体は、実際に応用できるのではないかと私が勝手に舞い上がってしまっただけなのでした。お騒がせしました。

執筆: この記事は神無久さんのブログ『サイエンスあれこれ』からご寄稿いただきました。

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