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第65回 宮崎刑務所生活(その3)

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 宮崎刑務所に入所して3日目の午後と4日目に、初めての刑務作業となったことは、前回に書いた。
 受刑者、いわば拘置所の面倒見さんのような、新入受刑者の面倒をみる受刑者がやってきて、7~8センチ四方の白い紙の束を渡された。鶴を折ってくれという。折り方を図示した紙も渡された。急がなくていいから丁寧にやってくださいと言われる。
 手先が不器用な私に、しかもこんな小さな折り紙をやらせるのかと思いながらも逆らうことなどできない。かなり根性を入れて折ったつもりだが、出来上がりを見て我ながらひどいなと思った。

 木曜日もその作業だった。そして金曜日は矯正指導日でラジオ放送についての感想文を書き、夕食時間となった。
 夕食後刑務官に呼ばれて、身体物品検査室へ行く。月曜日の朝に移監となることを告知され、自分の荷物をまとめておくようにと言われた。
 このとき、水曜日と木曜日の刑務作業の報奨金の告知もなされた。作業時間自体それほどのものではないし、そもそもおそろしく低額であるとは聞いていたが、それでも告知を受けてびっくりした。確か50円くらいだったと思う。書き間違いではないので念のため。

 「行先は大分ですか」と聞いたが、「当日の朝まで教えられない」との返答。こういうところは形式的だと思う。
 たぶん大分だろうなと思いつつ、ひょっとしたら山口かなとも思った。というのも、刑務所というのは、その分類によって収容する受刑者がある程度決まっているからだ。前にも書いたが、もう少し詳しく説明をする。

 いくつかの例をあげれば、A級刑務所は初犯(純粋な初犯以外にも刑の執行後5年以上を経過した者、つまり法律上の再犯者でない者も入るらしい)を、A級に対応するB級刑務所は暴力団関係者や犯罪傾向の進んだ者を収容する。また、L級は刑期の長い者(longの頭文字)、I級は禁錮刑の者をいう。

 F級は外国人を(foreignの頭文字)、W級は女子刑務所(womanの頭文字)という具合である。J級というのもあって、juniorの略で年少者が入る。それに似たY級もあり、これは26歳未満の成人を指すyoungの略である。

 私は初犯であるからA級刑務所に行くはずで、宮崎刑務所はB級だからここに長くはいないはずだと分かっていた。しかも、九州管内のA級刑務所は大分刑務所しかないのである(ただし、大分刑務所はL級でもあるが、Ⅼ級も収容するというにすぎない短期長期混合型施設である)。
 ただ、九州内に限らず、大阪以西の刑務所であればそこでの収容の可能性もないわけではなく、とすると山口県の美禰にある美禰社会復帰促進センターもあり得るが、そこがいいなと思っていた。

 美禰は第三セクターというか官民協同の刑務所で、コンクリートや鉄格子もなく居室もきれいだし、受刑者は無線タグをつけていて、それによって施設側が位置情報を確認するという近代的施設であると、噂で聞いていた。かなり開放処遇に近い施設であるから、そこがいいなと思っていたのである。
 もっとも、後日、山口出身の人に聞いたら、美禰の冬の寒さは半端ではなく美禰など行かなかった方が良いと言われた。なお、美禰ほどハイテク化されてはいないが、栃木県の喜連川にも社会復帰促進センターがある。鈴木宗男氏が入所していたことで有名である。

 金曜日の夜から隣、さらにその隣に人が入った様子である。一つ挟んだ隣の人にどこからか話しかける人がいる。「○○さんおめでとうございます。お世話になりました。娑婆に出ても元気でやってください」「俺も世話になったな~。○○さんはあとどれくらい残っているの」なんて会話をしている。その人はもう出所なんだと、うらやましくなった。
 すぐ隣の人は、どうも二人部屋らしく、ぼそぼそと話声が聞こえる。どうも月曜日に移監のようだ。私と同じく大分かもしれない。実際そうであった。(つづく)

元記事

第65回 宮崎刑務所生活(その3)

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