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国民の97%が「私は幸せ」と答える世界一幸せな国ブータン。その「幸せの秘密」とは?

インドと中国の間にあるブータン。経済的には決して豊かとは言えない国ですが、2005年の国勢調査では国民の97%が「私は幸せである」と答えています。現在、東京都美術館で行なわれている「ブータン~しあわせに生きるためのヒント~」展のアートディレクター、松尾たいこさんにブータンのお話を聞き、ブータンの幸せの秘密を探りました。

ブータンってどんな国?

国民の97%が「私は幸せ」と答える世界一幸せな国ブータン。その「幸せの秘密」とは?

ブータンは、ヒマラヤ山脈の南にある王国。面積は九州と同じ程度ですが、人口は九州の1/19の70万人。チベット大乗仏教を多くの人が信仰する仏教国で、チベットとインドの間の自然豊かな農業国です。小さな国ですが、非常に豊かな文化があり、伝統は今なおブータンの人々の日常生活に残っています。

特徴的なのは、GNH(Gross National Happiness)を提唱し、GNP(国民総生産)で測られる経済的な成長よりも、国民の幸せ度を上げることを重視していること。

イギリスのレスター大学の社会心理学者エイドリアン・ホワイトが、健康、富、教育から独自に算出した世界幸福度指数で、北欧諸国などに混じって8位(日本は90位)にランクインしたほどです。

近代化はしても、西洋化はしない

国民の97%が「私は幸せ」と答える世界一幸せな国ブータン。その「幸せの秘密」とは?

Photo by NICOLA MESSANA PHOTOS / Shutterstock.com

そんなブータンは、近代化はするけれど、西洋化はしないという方針をとり、そのための仕組みを作っています。たとえば、ブータン政府は海外からの観光客に1日当たり250米ドル程度の公定料金を制定。公定料金は内国税に加え、食費・宿泊費・ガイド費用・国内移動費用などに充てられるため、旅行者は豊かなガイド付きブータン旅行をすることができ、同時にブータンの文化を知ることができます。このシステムは同時に、外国の情報や文化の急激な流入を防ぎ、国内産業の振興させることにつながっています。

近代化するためには、やはり英語を理解する必要があるため、ブータンの教育は国語と歴史以外は英語で教えられています。一方で、学校など公の場では民族衣装の「ゴ」「キラ」を着ることが勅令で定められています。自分たちのルーツを常に忘れないようにするのと同時に、手仕事で作られる民族衣装を日常的に使うことで、民族衣装に使われる各地の織物の伝統を守っているのです。

多くの国が、近代化の過程で西洋化し、自分たちの持つ素晴らしい文化や自然をなくしてしまうなかで、海外の状況を知りつつも、自分たちの持つ素晴らしいものを知り、それに誇りを持つことが、ブータンの幸せ度の高さにつながっていると言えるでしょう。

自分で「幸せ」を定義する

国民の97%が「私は幸せ」と答える世界一幸せな国ブータン。その「幸せの秘密」とは?

加えて、ブータン人の考える「幸せ」の定義にも、ブータン人が「私は幸せである」という状況を作っていそうです。

松尾さんが感じたのは、ブータンの人々は将来こうなるかもしれないと思い悩むよりも、今この瞬間に心地よいかということを重視している傾向があるのではないかということ。ブータンの現地語ゾンカ語で「幸せ」を示すのは「セムゲェ」という言葉ですが、その言葉は直接的には「心が気持ちいい」「快い」という意味を表します。そのことからも、松尾さんの実感が正しいと言えそうです。

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